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【料理本2】小林カツ代と栗原はるみⅡ
新潮社の『小林カツ代と栗原はるみ』を借りて読んでいます😊
前回は小林カツ代の一段階革命について記載しました。
今回は栗原はるみの二段階革命について記載していきます😊
栗原はカリスマ主婦と呼ばれたゆとりの空間の社長である。栗原は技法の料理というより生活様式としての料理を重んじる。なのでどちらかというと生活デザイナーなんだろふと思います。
栗原はるみ、加藤千恵、山本麗子、藤野真紀子は料理研究家である前にカリスマ主婦として脚光を浴びていた。その中でも栗原は家族に支えられて一躍トップに躍り出たのだった。
栗原を一躍有名にしたのが『ごちそうさまが、ききたくて。』(文化出版局 1992年)というレシピ本である。
このレシピ本は今まで出たレシピ本と様相が明らかに異なっていた。
主に栗原の写真、キッチン・リビング、生い立ちを綴るエッセイにより構成される。食器類は栗原の私物であり料理は家族に振舞ってきた創作料理が紹介される。これは料理の本ではなく栗原の生活の本だった。
これぞ栗原の料理革命なのだ。
2000年2月28日『AERA』の「現在の肖像」で栗原はこう語っている。
「暮らしの中から発想したレシピには読者も共感するし、私の顔が見えると思う。でも撮影のためのレシピにはそれがない。名前を隠すと誰の料理かわからず私は私である、ということが表現できない」
だから『ごちそうさまがききたくて。』では「私らしさ」を前面に出しているのだ。それは家族や遊びに来た人に好評だった料理である。
前の晩出すと、翌日必ず、家族にあれないのと聞かれる「なすの揚げ煮」
娘が「今日からダイエット」が口癖の「ポテトグラタン」
初めて食べた仕事仲間の女性が感激してくれて何度もおかわりをした
「千切り人参とツナのサラダ」
中学を過ぎた息子が急に友達を連れて帰ってきた時に好評だった
「中華混ぜご飯」「春雨とひき肉の煮物」「豚ヒレとしめじのハヤシ風」
栗原は日常生活そのものをレシピ化した。
小林が起こした時短革命を継承しレシピの民主化を成就したのだ。
小林カツ代と栗原はるみは守破離の体現者だ。料理にはジャンルやレシピがあるがジャンルやレシピに無理にこだわる必要はない。時と場合によって柔軟に料理をし、新しい技法やメニューを自然に考案していく。
この本を読んで思うのは誰もが生活の中で気軽に料理を楽しむ気概である。
この本は他にも江上トミ、飯田深雪、入江麻木、城戸崎愛、有元葉子
土井勝、土井善治、村上昭子、辰巳浜子、辰巳良子、ケンタロウ
栗原心平、コウケンテツ、高山なおみなど著名料理家の方々の分析がなされており本当に面白いです。ぜひ読んでみてください(^-^)
■参考文献 『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』阿古真理 新潮社
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