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イメージと体が比例しない奏法を

トランペットは拡声器やアンプのような役割も持っています。
歴史を遡ると、トランペットは多くの人たちに何かを知らせるために作られた道具であって、例えば王様が登場するから刮目せよ、とか、戦争で突撃の司令を出すとか。士気を高めたり威嚇したり。

「道具」と書きましたが、道具というのは人間が苦労しなくても目的を果たせるために作られたもので、トランペットという道具は大声を張り上げなくても多くの人に何かを伝えることができる道具でした。

そうした歴史があっての現在のトランペットである、と理解しておくことは演奏する上での体のコントロールに関するヒントになると考えます。

例えば、フォルテシモで演奏しようと体をこわばらせて一生懸命頑張っている方が結構いらっしゃいます。しかし、実際この状態でフォルテシモのサウンドは出せません。トランペットは「人間が苦労しなくても大きな音が出せる楽器」であると理解していれば、的確な体の使い方を工夫して見つけることでフォルテシモのサウンドが実現する、と考えることができます。

楽器をコントロールする、ということは楽器を理解することです。人間のエゴや主観で道具を完璧に操ることはできません。道具の特性や正しい使い方を理解し、その道具が機能するよう人間が自分の体の使い方を工夫するという構図で、ぜひトランペットも演奏してみてください。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。