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精神的に追いつめられたときにそこから脱けだす方法

 「精神的に追いつめられて、出口がないように思えたとき、そこからどうやって脱け出すか」についてわたしなりに考えたことを述べます。  えーっとですね、こういう事を悩む人は真面目な人です。悩んで落ち込んだ真面目な人は必ず段取りを踏みます。そして落ち込んだときにまず避けなきゃいけないのは「人生をプロセスで考えること」です。以上を私なりにまとめると「真面目なバカは落ち込むと段取りにハマる」になります。  リピートアフターミー。「真面目なバカは落ち込むと段取りにハマる」。  落ち

    • 小説 『クリシュナの娘』

       開けっ放しにしたままの部屋のドアを、誰かが遠慮がちにノックする音がした。 「はーい、どうぞ。開いてるよ」  答えるわたしは、ベッドの上に投げ出したキャリーケースのふたに、両膝をのせかけているところだった。オリテの前に歯ブラシだけでも出しておこうと、中途半端に荷物をあさったのが間違いだった。六日分の下着、着替え、化粧品、学参、教科書、その他もろもろでぱんぱんに膨れあがったキャリーケースは、いちどひらいた口をなかなか閉じようとしない。  三分の一あたりまで進んで動かなくなったジ

      • 小説 三階女子トイレのトシオさん

         ママはわたしが素直で真っ直ぐな女の子に育ったと褒めてくれる。  自分より成績の良い子はだるい。自分より可愛い顔の子はうざい。自分の親より金を持ってる家の子はもっとうざい。“素直で真っ直ぐ”な感じ方ってそんなもんだと思うんだけどこれってそれほど褒められたもんなんだろうか?  よくわかんないけどひとつ確かなことがある。素直で真っ直ぐなわたしの感じ方は“普通”ってこと。  世の中の11歳の女の子を集めて順番にならべていったら、わたしはど真ん中の平均ラインの上に立っている、きっと。

        • 小説 『眠り姫の寝台』

           女子高生が我が家に泊まりにくることになった。間の悪いことだ。冷ややかな空気が漂うわたしたち夫婦のあいだで爆弾が破裂したのはほんの数日前のことだった。  台所に置いた燃えないゴミ用のペールには、妻が恩師からもらったという薩摩切子のグラスが粉微塵になって堆積している。結婚記念の皿立てつきコペンハーゲンもだ。ゴミの回収日まではそのままだろう。うっかりそんなものを見られたらどうするつもりなのか。  ホテルにでも泊まらせたらどうだ、そんなわたしの提案を妻は無碍にした。 「あの子が家に

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        精神的に追いつめられたときにそこから脱けだす方法

          小説 『あたらしい街』

           陽の光にすべてが暴かれているような街だった。だからわたしたちの街にはぜひとも隠れ家が必要だ、とうちの店長は判断したらしい。入り組んだ路地の奥にある知る人ぞ知る居酒屋というやつ。避難所(シェルター)。その意気は見上げたものだと思うけれど、“入り組んだ路地”なんてものがそもそもこの街にはない。夏になればあたり一帯をシロツメクサが覆う荒野に一件だけぽつんと建った居酒屋は、やはり過剰に晒されていて、隠れ家というより灯台に見えた。夕方になって自転車でバイト先に向かうときには、坂道のて

          小説 『あたらしい街』

          「アネノデンチ」 あらすじ

          姉・天羽夏湊は先天的な心臓の病気を持って生まれてきた。 このままでは二十歳まで生きられない。生き延びる方法は心臓移植だけ。 夏湊の母親は、夏湊のドナーとしてもう一人の子供を産む。 妹・天羽美凪は姉にいつか自分の心臓を渡す、そのためだけに産み落とされた。 高校生になり、夏湊は無謀な冒険を繰り返すようになり、美凪は陰で“電池”と呼ばれ友達の一人もいなかった。 主人公、岩倉悠希は普通の高校生。所属している軽音楽部が壊滅の危機に陥り、悠希は美凪をバンドにスカウトする。姉妹は文化祭で対

          「アネノデンチ」 あらすじ

          「アネノデンチ」 本編

           誰だって人生の脇役(モブ)になんか生まれたくない  自分は大したもんだ、って心の底じゃそう思っていたい  でも、この学校じゃ一人を除いて全員が知っている。自分は主役じゃない、って  たった今  この学校の主人公が、校舎の窓の外を地面に向かって落ちていった *  高校の授業中。ノートを取っている岩倉悠希(いわくら はるき)。  ふと教室の窓に目を向けたとき、窓の外を落ちていく少女と目が合う。  この学校のスーパースター、天羽夏湊(あもう なつみ)だ。  少女はゴーグル

          「アネノデンチ」 本編

          『ちはやふる』とはどんな物語だったのか?

           2022年8月1日発売の『BE・LOVE』9月号で『ちはやふる』(末次由紀・著 講談社)が15年の連載を終えて最終回に至った。  ずっと好きだった漫画連載が見事に完結したことを言祝ぎたい気持ちと、あの愛すべきキャラクターたちとこれでお別れになってしまうことの寂しさにこころが引き裂かれ、3ヶ月経ってもわたしはこの作品を語る糸口さえ見つけられないでいる。それでもちはやふる全二四七首のすべてのページをひっくり返しても「おまえは何もしないで寝転んでいていいよ」と甘えた唆しをしてくる

          『ちはやふる』とはどんな物語だったのか?

          空の牛乳瓶に差したコスモスの花について

           わたしはかつてビル管理員という仕事をしていた。  とあるオフィスビルの空調・電気・水道などの設備を管理し、保守点検をするのがメインの仕事だけれども、電球の交換やら蛇口の水漏れの修理などの軽い仕事でも呼ばれる何でも屋である。当然、ビルのすべての部屋に出入りすることができる。そうでないと仕事にならない。ノックスの十戒に『ビル管理員を犯人にするな』という項目はなかった気がするが、このコンプライアンス厳守のご時世、重度のセキュリティに守られたクリーンルームやサーバールームにでも気軽

          空の牛乳瓶に差したコスモスの花について

          生きてるうちに自分の墓穴を掘っておく~『肌寒い』のあとがきに代えて

          (以下にアップする文章は2014年の10月に自分のブログにアップしたものです。以前にアップにしたnoteよりも前に書いたものなので、この中ではまだ猫は存命中です。 今回読み返してみて、拙作『肌寒い丘の上をきみと歩いていく』のあとがきとしてこの文章がふさわしいのではないかと判断して、ここに再アップします。もちろん小説未読の方でもそのまま読んで頂いて大丈夫です) * 盆すぎに、うちの飼い猫の様態が急変した。 ここ十七年、仕事から帰ってきたわたしを猫が出迎えてくれるのが日常に

          生きてるうちに自分の墓穴を掘っておく~『肌寒い』のあとがきに代えて

          FEELYOUNG 2月号 『違国日記』Page43.感想

          (ネタバレはなるべく回避しますし、物語の展開などについても書きませんが、行間から匂ってくるものに関しては責任が持てません)  これは。今月の『違国日記』は雨宮まみへの追悼ではないかなぁ。  何の根拠もなく、そう思った。著者のヤマシタトモコさんと雨宮さんのあいだに交流があったのかどうか、わたしは一切知らないけれど。  このマンガは『ちはやふる』と同じく1巻1話へ還る構成を取っている。未来の主人公に読者が“ひとめぼれ”することを見越した大胆でリスキーな構成だ。読者は未来で待

          FEELYOUNG 2月号 『違国日記』Page43.感想

          夢日記を二年間記録しつづけていたら精神崩壊しかけた話。

          (ご注意:「他人が見た夢の話ほど退屈なものはない」と申しますが、当記事の性質上、ここにはわたしが過去にみた夢がいろいろ記されています。また人によっては非常に気味が悪いと感じる話をすることになると思います。そういう話が苦手な方はご注意ください) 福岡湾で泳いでいたら、青いウツボがすごい数こちらに泳いできて、このままでは危ないと思って円柱にしがみつく。そのまま円柱をのぼっていくと高速道路の橋の真ん中に出る。このままでは家に帰れないので、婆ちゃんに電話して迎えをよこしてもらう。ウ

          夢日記を二年間記録しつづけていたら精神崩壊しかけた話。

          かつて本と出会うためには“冒険”が必要だった。

          先日タイムラインに流れてきた、このツイートに胸を打ち抜かれた。  ちょっと自分でも面食らうくらい感動して、いますぐ長野県に飛んでいきたい!と涙ぐんでしまった。そこまで動揺した自分に戸惑った。  どうして、ここまでこのツイートが響くのか。  AmazonがKindleを開始したのは2007年の11月。わたしがKindleのタブレットを入手したのはたぶん2014年あたり。それからのわずかな年月はわたしにこんな傲慢なツイートを呟かせるに至った。  当時頂いたリプライによれば電

          かつて本と出会うためには“冒険”が必要だった。

          オリンピック開会式はオタクを行進に巻き込んだ(さて何の行進?)

           オリンピック開会式が賛否両論だ。  「笑顔を向ける海外のアスリートたちを視ているともう批難する気にならないよ。始まったものはしょうがないじゃないか」「とにかくあの場を成立させるために頑張った人たちがいるんだから」。そんななし崩し的な擁護に傾く人もいれば、北野武のように罵声を浴びせる人もいる。  わたしといえば24日土曜日の朝から寝込むくらい、超絶に具合が悪くなった。むろん開会式のせいである。  選手行進に被せられたゲームミュージックメドレー。あれは強烈だった。悪い意味で

          オリンピック開会式はオタクを行進に巻き込んだ(さて何の行進?)

          シン・エヴァンゲリオン雑感

           宝島社時代の町山智浩さんの出世作『おたくの本』(1989)は今となっては貴重な「エヴァがかけらも存在しない時代のおたくを扱った本」だけれども、そこに所収された浅羽通明『「おたく」という現象』にはこうある。 「子供部屋のTVの前に座った中高生たちにとっては、残業で遅い父親や、キッチンで冷凍食品を解凍している母親や、お愛想ていどにしか口をきいたことのない教室の隣の席の友人よりも、同じ時間(平日の夕方)に勉強部屋のTVで『ヤマト』や『ガンダム』を観ている全国のアニメマニアの同世

          シン・エヴァンゲリオン雑感

          放課後の国から、ずっと。

           この屋上と渡り廊下に見覚えはないだろうか?  「ある」と即答した人はかなりの日本映画・ドラマ通か、さもなくば2009年以前に栃木県足利市で女子高校生だったという人だろう。  写真に写っているのは足利市の旧足利西高校だ。2009年に廃校が決まったが、新市長の方針で撮影のロケ地として残され、様々な撮影に貸し出されてきた。足利市は「映像という視点を街づくりに生かした」映像のまち構想を推進していて、「映像のまち推進課」のホームページには綺羅とした撮影実績がならぶ。  ドラマ

          放課後の国から、ずっと。