須恵村

南東北の盆地住まいで、音声書き起こし(反訳)の仕事をしています。 仕事関係の文章サンプ…

須恵村

南東北の盆地住まいで、音声書き起こし(反訳)の仕事をしています。 仕事関係の文章サンプル置き場的に使う予定ですが、時々小説的なものも投稿するかもしれません。

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  • コトバのコネタ

    日々文字起こしの仕事をする中で、「言葉」をテーマにしたエッセイと、ちょっとした仕事術的なものをまとめております。

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「あなたの知らない物語」リンク集

 『あなたの知らない物語』は、筆者が高校を卒業後の2年間を過ごした衆議院速記者養成所の学校生活を書いたものです。  序章から(4)までの5本で完結していますが、実は番外編的なエピソードもあります。ちょっとエグい話なので、それを公開しようかすまいかを悩んでいるところです。  気が向いたら、あるいは「読みたい!」とおっしゃる奇特な方が現れたら、そのときアップしようと思います。  一応、独自ハッシュタグ「#あなたの知らない物語」「#シリーズ」を付けていますが、全部のリンクをこち

    • 書くこと・書かないこと【20220530】

      前回の『時代考証リアリティー』に引き続き、他のサイトで書いていた創作日記のサルベージです。 お気軽にどうぞっ。 あるテスト問題 中学2年のとき使っていた国語の教科書に、「買い物」(長谷川四郎)というタイトルの読み物が国語の教科書に載っていました。  これは学年もタイトルも著者名も明確に思い出したわけではなく、光村図書のページで該当年度の教科書を当たったら、「2年生」のところに心当たりのあるものを見つけたので判明しました。  オー、インターネッツ スゴイデスネ!  ちなみ

      • 時代考証リアリティー【2022.1.26】

        今回は、別の小説サイトで一時期書いていた『創作日記』のサルベージです。 タイトルの後ろについている日付は初出の年月日ですが、よほどの不都合がない限り、そのまま引き写します。 皆さんの学校に「アレ」ありましたか?  先日ツイッターで、「今の小中学校には視聴覚室というものがない。学園ものの小説などを書いている人は描写に注意」という趣旨のつぶやきが少しバズっているのを見かけました。  よくよく考えると、そもそも自分が通っていた小中学校には視聴覚室と呼ばれる部屋がなく、2教室ぶち

        • 【小ネタ】何となく好きな言い回し

           今回は文字起こしや速記の話を離れ、小説・創作について書きたいと思います。  素人弱小文字書きとはいえ、日常的にあれやこれや書いて読んでいただいているのだから、ある意味仕事だ!という自負というか勘違いに基づく戯言ですが。 ◇◇◇  当地の方言で、「うるかす」という言葉があります。  「水につけておく」とか「水につけてふやかす」という意味です。  「ご飯を食べた後の食器を、水の入った洗い桶に入れておいてね(そうすればご飯粒などが取れやすくなるから)」が、「うるかしとして」

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          13本

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          「あの頃に戻りたい」なんて、言わないよ、絶対

           私の仕事は在宅請負業、いわゆる内職おばばです。  音声をもとに文書データをつくる、いわゆる「文字起こし」「反訳」と言われる仕事を中心にしております。  “デビュー戦”は1992年2月、北関東にあるダムに関する委員会の会議録調製でした。  前職が地方議会速記士だったので、仕事の性質はかなり近いものでしたが、実際に着手してみると、たった60分の書き起こしに、ちょっと大きな声では言えない時間数を要し、力不足を痛感したところです。  今回は、「音声はテープ録音(時にはオープンリ

          「あの頃に戻りたい」なんて、言わないよ、絶対

          いつも選ばれるとは限らないけれど  諏訪部順一さんの言葉に思う

           声優・諏訪部順一さんの「週刊オジサーチ」(HAKUNA)が好きです(**下記注)。  ライブではなく1日遅れのものをアーカイブスで聞くのですが、2021年8月25日ライブ(26日配信)を聞いていたら、「次に来るマンガ大賞2021」の結果について触れていました。  マンガ好きの上に声優というご職業柄、何かと思うところが多いようで、時間全体の3分の1強、話されていました。  そもそも話題も知識も豊富で頭の回転が速い人なので、話は広がりまくっていたのですが、印象に残ったのは次の発

          いつも選ばれるとは限らないけれど  諏訪部順一さんの言葉に思う

          妖精さんのしわざ

          2007年05月19日(土)のWeb日記からの転載です。 ***  仕事机の片隅にメモ用紙が落ちていました。  どうやら少し前に某文化人の講演録をつくったときに、不審点を調べるために表記のわからない言葉などをメモったもののようです。  どうしても聞き取れない言葉の場合、 周辺の文から関連のありそうな語をピックアップして、何とかそれっぽい言葉をウェブ上から見つけ、一番音が近く(聞き取れないながらも聞き取って)、また文中にぴしゃっと合う言葉を探します。勝率は6割ってところで

          妖精さんのしわざ

          朝っぱらから美人速記者

          2010年07月02日(金)の日記からの転載です。 ***  CSのTBSチャンネルで、朝っぱらから31年前のドラマ「水中花」を見ました。  たまたまだったのに、運よく第1話からありつけました。  網タイツのバニースタイルで「愛の水中花」を歌い踊る松阪慶子さんが、子供心にもそれはそれは妖艶で美しかった記憶しかなかったけれど、劇中の松阪さんは、「25歳の美人速記者」だったのですね。  私も一応速記士なのですが、今は音声反訳しかやっていないし、そもそも田舎在住だし、作中の

          朝っぱらから美人速記者

          言葉は生きている――からこそ

           かつて星セント・ルイスという漫才師がいました。  背の高いセントさん(ボケ)と、小さなルイス(ツッコミ)さんのコンビで、お二人とも20年ほど前、56歳の若さで亡くなりましたが、テンポよく言葉を操る芸風で大人気でした。  と書きながら、90年代に人気のあったフォークダンスDE成子坂を思い出してしまったのは、ツッコミの村田さん(2006年・35歳)・ボケの桶田さん(2019年・48歳)の2人とも若いうちに亡くなったという共通点があるからですが、ややシュールな芸風ではあるものの

          言葉は生きている――からこそ

          その場で消えてゆく言葉

           まず、何の変哲もない一文を投下してみましょう。 「私には双子の妹がいます」 (1)私は女。自分と双子関係の妹がいる。 (2)私は男。同上。 (3)私は女。下に「双子の妹」がいる。 (4)私は男。同上。  この四つのうち、どの意味に解釈しますか?  実は私、知人やかつての知人(口を利いたことがあるレベル)にこの4パターン全員います。  なぜか男同士の双子の兄弟というのは全く縁がない妹ちゃんパラダイス。『ぺとぺとさん』の「女未の里」状態です。  一人称の主語に関しては、

          その場で消えてゆく言葉

          【短編小説】Your ears only ナイショの話

          穂波ちとせ、30歳ぐらい。職業、インタビュアー兼ライター。 「王様の耳」を見てしまったら… 「聞いて」 穂波ちとせ 身長167センチ 推定年齢30歳前後 聞き取りやすく落ち着いた声色 涼しげな一重の目と 色白できめ細やかな肌 さらっとした質のいい髪を、無造作なショートボブにしている 美形というよりも、無駄がなく均整のとれた嫌味のない容姿 人の話を真摯に聞く表情はごく感じがよく、相槌を打つタイミングも完璧 話し手が「この人は私の話をきちんと聞いて、理解してくれている」と思

          【短編小説】Your ears only ナイショの話

          「ひとのこえ」が好きな筆者の「推し」

          今日はちょっとした思いつきで書き下ろします。 ここから…どこから?  私は趣味の一つとして、「映像鑑賞」を挙げています。  1987年~2002年までは、ごく普通に実写の映画をよく見ていました。  今は、見る気がないわけではないけれど…、視聴傾向としては、ほぼ日本のアニメーション一辺倒です。  娘が2人いるので、彼女らが幼い頃(90年代~00年代)はお付き合い視聴だったものの、今は完全に自分の好みだけで見る作品を選んでいます。  きっかけは、アニマックスでたまたま見た『ハ

          「ひとのこえ」が好きな筆者の「推し」

          あなたの知らない物語(4)

          1980年代後半、ちょっと特殊な学校の、ちょっとおかしな青春の記録 前章はこちら ↓ 昭和の夜と平成の朝平成初日のデート  本章タイトルは、アラン・シリトーの『土曜の夜と日曜の朝』のもじりですが、実際、昭和最後の日である1989年1月7日は土曜日、平成の1日目である1月8日は日曜日でした。  ちなみに…というほど因んでもないのですが、私は1月6日、日比谷シャンテ・シネ(現・TOHOシネマズ シャンテ)で、ラッセ・ハルストレムの映画『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』を見ま

          あなたの知らない物語(4)

          あなたの知らない物語(3)

          1980年代後半、ちょっと特殊な学校の、ちょっとおかしな青春の記録 前章はこちら ↓ タダで勉強できるかな?【後編】学校生活・進路ハイハイ期~ヨチヨチ期  1年前期は、速記法という科目の時間に、速記の歴史や理論と符号教程を教わっていた。  別方式には詳しくないので分からないが、衆議院式では「あ・い・う・え・お」の順ではなく、まずは「あ・か・さ・た・な…」の順で教わった。「が」「は」「(語尾の)だ」などが比較的早く書けるようになるため、簡単な文章を作ることもできる。

          あなたの知らない物語(3)

          あなたの知らない物語(2)

          1980年代後半、ちょっと特殊な学校の、ちょっとおかしな青春の記録 前章はこちら ↓ タダで勉強できるかな?【中編】寮生活80年代学生寮事情(ただしちょっと特殊?)  中編は寮での日常生活に特化して書いているため、速記者養成所の授業内容は一切書いていません。  したがいまして、速記や文字起こしに興味があってこちらを読んでくださっている方には、オチもなく退屈な話かもしれません。何とぞご了承ください。  また、最後の方でインキュバスがどうのという頭煮えたことを言っておりま

          あなたの知らない物語(2)

          あなたの知らない物語(1)

          前章はこちら ↓ 1980年代後半、ちょっと特殊な学校の、ちょっとおかしな青春の記録 タダで進学できるかな?【前編】大学に行きたい  1986年。  私こと須恵村、当年18歳。市内二番手レベルの公立女子高校(**下記注1)3年に在学中。  卒業後はごく普通に大学に行きたいと思っていたが、どうやらウチには金というものがないらしい。  金がないだけならまだしも、3年上の兄は1年浪人の後、金のかかる芸術系の学部に入学していた。  兄が金食い虫だから貧乏なのではない。もともと

          あなたの知らない物語(1)