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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、… もっと読む
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#コラム

【投機の流儀 セレクション】世界の主要企業の4割の株価が弱気相場入りだが日本の「官製相場」は底入りしにくい

世界の主要企業の4割の株価が過去1年間の高値から直近まで2割以上下がり、弱気相場入りしたと見なされる水準となっている(日経新聞11月21日号)。 米国で1896年に、ウォールストリートジャーナル紙編集長のチャールズ・ダウ・ジョーンズがダウ平均の計算法を開発して以来122年間、20%超の下げは16回しかない。20%までの下げは数十回あった。米国は20%超を下げると弱気相場入りしたとすることになっている。 筆者は景気循環と株価変動のタイムラグを戦後50年にわたって調べたことがある

【投機の流儀 セレクション】消費税はどうするか

筆者の私見によれば再々々延期になる。これを強行にやれば景気を破壊する。よって株価も下降色を強め→逆資産効果で→消費激減→GDPほぼ6割を占める消費激減すれば→景気崩壊→2%目標達成不能→デフレに逆戻り。 この経路を辿る。財源はどうするか?未解決の日本が残る。 1回目の消費増税はバブル景気の真っ最中だったが4半期別のGDPは減った、2回目の94年も減った、3回目の2014年もアベノミクスの壮年期だったがGDPは減った。来年は景気寿命も老年期だから景気を破壊する。内閣官房参与の

【投機の流儀 セレクション】「裏の裏は表だった」による大いなる安堵感

この項目は8日収録の「動画」で述べた内容です。よって動画視聴者の方々には二番煎じになり恐縮ですが、動画以外の方々に是非ともお伝えしたいことですから、敢えて詳しく文字にいたします トランプは御承知の通り、多くのメディアと喧嘩している。 喧嘩を売ってきたトランプのことをメディアは悪い面だけを伝えたがる。 我々のトランプ像はそのメディアを通して知るところであるから、トランプの実態は、我々の知るところよりも少しはマトモな人なのかもしれないと、少なくとも筆者は“裏読み”してきたが、今

【投機の流儀 セレクション】株は「将来の期待を買い」「将来の不安を売る」ものだが、「実証を伴う現状の実勢」に惑わされる

日銀は10月31日の金融政策決定会合で、金融緩和の現状維持を決めた。 2%の物価目標達成が遅れ、金融緩和は長期化する方向である。 日銀は7月の決定会合で副作用に配慮して長期金利の上振れを容認するような政策を調整した。 緩和の効果と副作用を両方とも見ながら政策の方向性を慎重に判断していく。 故に日銀の決定会合は市場に対しては無風状態となる。 日銀は現状を追認して「総じてみれば着実な成長を続けている」と言うが、これは現状の追認である。 株は「現状」を買うのではなく「将来の期待」を

【投機の流儀 セレクション】さて、ここから先が賢愚を分ける

さて、ここから先が賢愚を分ける 大相場の終焉というものは各回が前例を辿ることが多い。 直近の大相場「小泉郵政改革相場」を見れば、07年7月の大天井から同年8月17日までの下げは▲16.3%(値幅▲2,988円)、これを機械的に今回に当てはめれば、次のようになろう。 10月2日大天井からの▲16.3%=20,314円≒3月26日ザラバ安園20,347円となって目先のダブルボトムとなる(終値ベースとザラバとを使った)。 先週末ザラバ安値は20,972円だった。 即ち、大天井

【投機の流儀 セレクション】「グローバル・システミック・リスク」「世界のカオス化」を予言する“欧州の知の巨人”

この項目で要約するのは「欧州の代表的な知性」とされているジャック・アタリの著書の要約である(「新世界秩序」ジャック・アタリ著、作品社、2018年刊)。 彼は仏ミッテラン政権の大統領特別補佐官の頃から筆者は関心を持っていた。 欧州復興開発銀行の初代総裁であり、経済学者・思想家として一目置いてきた人物であった。 彼はこう言う。 2030年においてであるが、世界秩序は大きく転換する。 その理由はアメリカ発の孤立主義にある。 アメリカの同盟国は安全保障の上で重大な危機に直面する。

【投機の流儀 セレクション】大相場に付きものの不動産価格上昇の終わりの始まりか

日経平均の不動産株は週末の日経平均がプラスに応じた現象に反して、主力不動産株は全部安かった。 特に家賃収入が相対的に少なく積極的活動を旨とする東急不動産や野村不動産は年初来安値を更新した。 家賃収入が相対的に多い三菱地所や三井不動産も下降傾向にある。 背景にあるのは米長期金利の上昇を受けた金利先高観が根幹にあるが、一部の新興企業で融資資料の改竄が発覚したことなどで不動産株全体に敬遠ムードが広がった。 こうしたことは大相場の終末に起きがちなことだ。 【今週号の目次】 (1)

【投機の流儀 セレクション】今はバブル的要素はないが、過去から学ぶこと

かつてグリーン・スパン元FRB議長は「根拠なき熱狂」(Irrational Exuberance)と警告し(★註1)熱狂するNY相場を一時落ち着かせたあと、配下のエコノミストに命じてバブルを定義させようと探究させた。 その時たたき台になったのは、日本の平成バブルとその崩壊であった。 当時の仮の結論は「バブルは崩壊して初めてバブルと断定できる」(この言葉は後に日本で有名になった)。 またはグリーン・スパン自身は「潮が退いた後でなければ誰が素っ裸で泳いでいたかは判らない」と言っ

【投機の流儀 セレクション】大きな金融危機が起きる3つの条件

野村総研のリチャード・クー氏は米国のバランスシート不況と日本のバランスシート不況(「失われた20年」)を両方とも体験し、日本のその処理の方法について時の政権に苦言を呈してきた。 彼は、大きな金融危機が起きる3つの条件として次のことを挙げている。 (「マンデー・ミーティング・メモ」2018年9月18日号)。 筆者が要約する。 大きな危機が発生するには、 ①利上げのような金融環境の変化 ②評価の定まっていない新金融商品の出現(過去の例で言えば、サブプライムローン、中国のシャ

【投機の流儀 セレクション】バブル崩壊の前に現れる共通現象ともう一つのシナリオ

中曽日銀前副総裁は「金融危機は違った形で現れる」と述べている(日経新聞9月13日号)。 また筆者は「お化けは同じ顔では出てこない」と常々述べてきた。 しかし歴史上、バブル崩壊前には共通の現象があった。 それはアメリカの短期金利が長期金利を上回るという「逆イールドカーブ現象」である。 米国景気拡大の最終局面であった1980年、90年、2000年、07年、これはNY株の暴落寸前の時点であったが、その時には逆イールド現象が発生した。 その後世界の株価は急落した。 短期金利が長期金

【投機の流儀 セレクション】AI投信で利益を上げられるか

筆者は生半可な知識であるがAI投信には信頼を置いていなかった。 これは一口で言えば、株式市場は「知能よりも知性が重要である(知能と知性の区別は既報で既述してきた)」ということが基本にある。 AIが駆使するのは知性ではなくて知能だ。 膨大な情報を読み込んで瞬時に最適解を探す、そういう知能である。 この、知能よりも知性が重要であるということは次の一事でもって筆者は脳裡に鮮明に残った。 97年にノーベル経済学賞を受賞したマイロン・ショールズとロバート・マートンのヘッジファンドの

【投機の流儀 セレクション】大相場につきものの不動産価格上昇、これの終わりについて

一つは2022年の東京五輪の終わりである。 もう一つは「2022年問題」と言われた生産緑地法の時限立法の終わりである。 都会にある宅地は生産緑地として届ければ農地並みの課税にする(固定資産税が極めて安くなる)という時限立法を30年間有効として1992年に定めた。 これの終結が2022年に来る。 すると財政難の自治体が生産緑地を公共用地として買い取ることは少なく、宅地並み課税になるから所有者は無秩序に宅地として放出し不動産市場に大きな影響を及ぼすのではないか。 不動産市場には宅

【投機の流儀 セレクション】アベノミクス大相場は夙(つと)に終わっている

冒頭から暗い話しで恐縮だが、筆者と読者諸賢とは、市場という戦場で共に戦う、損得を共にする戦友だと思っているので、常にホンネを語ってきた。 本稿では平均株価が2倍か3倍になる相場を「大相場」と言ってきた。 数年に一度しかない。 これは1965年以降6回あった。 アベノミクスはそのうちの一つである。 その都度2倍にすれば金融資産は必然的に64倍になったはずだ。 始動期は2012年11月衆院解散の日8,665円→2013年5月末16,000円弱までの上昇これが「青春期相場」だ

【投機の流儀 セレクション】世界新秩序の確立か乱雲乱流突入か

第二次世界大戦後3分の2世紀を経てきた「戦後秩序」が大きく変わろうとしている。 世界新秩序(The New World Order)の確立なのか乱流が乱雲の中に突入したのか。 いずれにしても戦後の世界秩序が大きく変わろうとしている。 この秩序を変えているのはトランプ大統領のように見えるが、それならば大統領が代われば秩序はもとに収まることになる。 しかし、トランプを大統領に選んだアメリカ合衆国そのものが変わったのかもしれない。 筆者は一昨年の選挙中から新大統領はヒラリー・クリ