【投機の流儀 セレクション】大相場につきものの不動産価格上昇、これの終わりについて
一つは2022年の東京五輪の終わりである。
もう一つは「2022年問題」と言われた生産緑地法の時限立法の終わりである。
都会にある宅地は生産緑地として届ければ農地並みの課税にする(固定資産税が極めて安くなる)という時限立法を30年間有効として1992年に定めた。
これの終結が2022年に来る。
すると財政難の自治体が生産緑地を公共用地として買い取ることは少なく、宅地並み課税になるから所有者は無秩序に宅地として放出し不動産市場に大きな影響を及ぼすのではないか。
不動産市場には宅地の供給過剰が起こり大きな影響を及ぼすのではないかと言われているのが「2022年問題」である。
2022年に自治体に買取を申し出る生産緑地は限定的で不動産市場に多大な影響を及ぼす懸念はないとする意見もあるが、これを需給の大きなマイナス要因と見なす意見もまたある(「マイホーム価値革命 2022年不動産の常識が変わる」〈牧野知弘著、NHK出版、2017年刊〉)。
その頃アベノミクスと称してきた大相場の「終わりの始まり」は過ぎ去っているであろう。
「2022年問題」は単に需給関係の悪化と見なして済む問題ではなく、次のような都市農業の在り方を見つめ直す好機でもある。
都市農業は都市住民に対して農産物の供給の他、緑地空間の提供、災害時の防災空間の確保といった多面的な役割を担っている。
また、都市農業自体を次の世代に継承し活性化していくかという問題の黎明期にもさしかかることになる。
【今週号の目次】
●当面の市況
・2日シンポは荒れるか
・当面の市況:2万3000円の上値抵抗線
・当面の市況:海外勢の日本株売りが10年ぶりの最高ベース
・当面の市況:機関投資家の中小型株の保有比率を下げている
・当面の市況:環境汚染の観点からの各国ファンドの株式売却
・当面の市況:NY高はアップル1社で上昇幅の半分を占めた
・当面の市況:自民党総裁選
●「少なくとも中勢的には上値はとってこられない」(5月13日号再現)
●好業績を裏付けにした年末高のシナリオ
●「いずれ転換点を迎えるとの警戒感が背景にある」
●生かされなかった金融庁内・専門家チームの忠告
●投資信託投資者の評価損
●「レベル」でなく「トレンド」こそ重要だ
●景気動向に敏感な指数が8月末に下落
●「晴れた日には3万8千円が見える」(1年前の大和証券・木野内氏)、「晴れた日にはGMが見える」(40年前のJ・パトリック・ライト著作)
●原油価格高めに推移する可能性と嘗ての教条主義者の言い分
●中国人民軍の正体
●NY市場のプレイヤーたちは見通しが甘すぎる
●トランプのCIA総括の波紋は前米国民に及び「理念の共和国たる米国」は崩壊寸前にまで行く恐れあり
●安倍3選の実現と石破氏の正論
●マクロの景気の見方
●「2%目標」が達せられない背景
【来週以降に掲載予定の項目】
○北朝鮮の非核化は信用できるか(6月米朝会談の直後の本稿再現)
○「失われた20年」と近年の日銀総裁就任期間中の株価騰落
○不規則衝撃に対する学界の考え方
【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。
デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/
【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
https://amzn.to/2AebYBH
『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
https://amzn.to/2vd0oB4
『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
https://amzn.to/2AeQ7tP
『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
https://amzn.to/2vbXpZm
その他、著書多数。以下よりご覧ください。
https://amzn.to/2va3A0d
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?