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【投機の流儀 セレクション】バブル崩壊の前に現れる共通現象ともう一つのシナリオ

中曽日銀前副総裁は「金融危機は違った形で現れる」と述べている(日経新聞9月13日号)。
また筆者は「お化けは同じ顔では出てこない」と常々述べてきた。

しかし歴史上、バブル崩壊前には共通の現象があった。
それはアメリカの短期金利が長期金利を上回るという「逆イールドカーブ現象」である。
米国景気拡大の最終局面であった1980年、90年、2000年、07年、これはNY株の暴落寸前の時点であったが、その時には逆イールド現象が発生した。
その後世界の株価は急落した。
短期金利が長期金利を上回る現象はFRBが急速に利上げすることによって発生する。
世界最大の金融市場を持つ米国が過度に利上げをすれば、世界全体の株価が大きく崩れるのは当然である。

トランプは自ら任命した重要閣僚であっても躊躇なく解任してきた。
連邦準備法によれば、FRB議長解任の規定がないものの、実質的には解任は可能である。
カーター大統領は「何もしなかった大統領」として有名だし、「いい人だった」ということで有名であったが、金融政策に失敗したミラーFRB議長を在任期間1年半足らずで財務長官に配置転換した。
これは事実上のFRB議長の更迭であった。
したがって、FRB議長はトランプの政治圧力を受けて利上げベースを遅らせて、その結果長期にわたって逆イールド現象は起きない可能性がある。
米国が金利上昇を抑制するのであれば日本や欧州もそれに追随するだろう。
そして不安定であった新興国通貨も安定すると考えられる。

【今週号の目次】
●当面の市況
・機関投資家
・日経平均6日続伸、ジャスダックも連騰、東証マザーズも連騰
・TOPIX、200日移動平均を回復
・波静かに見えた木曜日も水面下での闘い
・円安傾向
・上海株の最安値更新したが一旦落ち着く
・乖離率
●今、世界経済が金融危機に突入したらリーマンショック時のように日・米・中の協調による危機脱出は不能であろう
●日銀の出口戦略についての安倍首相と黒田総裁
●安倍政権、史上最長政権、今後の3年で日本の針路が決まる
●全国の基準地価格が上昇
●トルコリラは決して安定したとは言えないが、世界の金融市場への影響はない
●植草一秀氏の「アベノリスク」
●安倍官邸の諜報・盗聴
●「実績」よりも「一所懸命にやっている感じ」を出す手法に優れた安倍首相と、それをベタ褒めする桜井よしこ女史
●G7の一因であるイタリアがユーロ危機の震源地となれば、この振幅は大きい
●米国の政治リスク
●「政治の秋」に株高要因と波乱要因
●米中間選挙
●安倍3選、米共和党勝利→この両方が起きれば年末株高はあり得るが、波乱のシナリオは米から来る
●トルコリラ安懸念はなおぬぐえず。
しかし中長期的に見れば「街に血が流れているときに買え」(W.バフェット)かもしれない
●もう一つのリスクシナリオ
●バブル崩壊の前に現れる共通現象ともう一つのシナリオ
●読者Mさん(ベルギー駐在経験ある元バンカー)との交信(9月16日)

【来週以降に掲載予定の項目】
○「株価変動は景気変動に先行する」の命題の含意を汲み取ればリーマンショックの兆候は事前に読めたという事実
○景気動向指数――「レベル」でなく「トレンド」こそ重要だ
○「実体経済を自然科学のような目で見れる民間エコノミスト」と「霞ヶ関文学」(既報で既述)との違い、及び「法学部不況」

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。

デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

【著書】
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