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熊本城「宇土櫓素屋根特別公開」訪問記

 2016年の熊本地震によって大きな被害を受けた熊本城。いまだに震災の傷跡が残りますが、少しずつ復旧が進められています。


復旧が済んだ建物

 天守は2021年にいち早く復旧し、復興のシンボルとなりました。

もとの天守は西南戦争の時期に焼失した。

 倒壊した長塀も2021年に復旧し、重要文化財の復旧第1号となりました。

 監物櫓は、2023年12月に復旧が完了しました。(こちらの記事で紹介済)

復興への道は半ば

 現在の熊本城に入ると、本丸まで空中回廊を歩くことになります。

 数寄屋丸二階御広間(すきやまるにかいおんひろま)の下部の石垣が痛ましく崩れています。

 他、重要文化財の北十八間櫓や東十八間櫓、「奇跡の一本石垣」で注目された飯田丸五階櫓などが解体され、修理を待っています。

宇土櫓素屋根内部の特別公開

 今回の目当てである宇土櫓(うとやぐら)は、熊本城で現存する最古の建物であり、江戸初期の様式を伝える貴重な建物です。

 震災で大きな被害を受け、解体修理されることになりました。素屋根という構造物を外側に建てて解体作業を行います。

 今年1月から本格的な解体が始まっていますが、月1回素屋根の内部を特別公開しています。6月9日、その内部を訪問してきました。

外側の素屋根

 素屋根内部では、普段は近づけない宇土櫓の屋根部分を間近に見られます。

 よく目立つ三角形の部分は、「破風(はふ)」という装飾です。

 地震による白壁の剥落が痛々しいです。

 素屋根の廊下には鯱(しゃちほこ)も展示されていました。鯱にオスメスがあることはご存知でしたか?

 

 瓦に彫られた家紋にも注目です。下に見える桔梗紋は加藤清正のもの。上の九曜紋(○が9個)は加藤氏改易後に熊本藩主になった細川氏のものです。

 宇土櫓の復旧は2032年度を予定しています。長い道のりになりますが、再び内部に入れる日が楽しみです。

知られざる古城地区

 現在の熊本城は復興途上であり、入れないエリアも多いです。そこで、あまり知られていない熊本城の楽しみ方も紹介します。

 ひとつは、「ポツンと一軒家」状態の監物櫓。もう一つは、熊本城エリアの南側、熊本県立第一高校の周囲にある「古城地区」です。

 加藤清正以前の熊本城は、「隈本城」と表記されていました。豊臣秀吉から肥後を与えられた清正は、地名を「熊本」と改め、城を近世城郭へ拡張・整備します。

 古城地区は隈本城のあった地域で、平たく言うと熊本城の中でもひときわ古いエリアとなります。

 訪れる人はあまりいませんが、古色蒼然とした風格のある石垣が残っています。

 無数の見所を持つ熊本城が、一日も早く元通りになることを願います。


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