彦根城「佐和口多聞櫓」の特別公開
滋賀県彦根市にある彦根城は、国宝5天守の一つに加え、5件の重要文化財を擁する名城です。
2024年2月から3月にかけて、補修工事のため天守が入場不可となりました。その代わり、普段非公開の「佐和口多聞櫓」が7年ぶりに公開されました。
彦根城といえば天守に注目が集まりますが、現存櫓も貴重な文化財です。今回は、佐和口多聞櫓をふくむ4件の櫓とその内部を紹介していきます。
上記の地図の13番「佐和口多聞櫓」、4番「天秤櫓」、3番「太鼓門櫓」、2番「西の丸三重櫓」の順に紹介します。
佐和口多聞櫓
彦根駅から城に向かうと、まず出迎える建築物が佐和口多聞櫓です。
内部はこんな感じで、意外と広いです。上から見るとかぎ状になっている建物を、奥に進んでいきます。
鉄砲対策として土壁が厚く膨らんでいるのも分かります。
外を眺めると、入口を曲げて小空間をつくる枡形虎口の構造がよく分かります。門を突入した敵兵は右に曲がることになり、無防備な左側をこちらに晒すことになります。防御側は、攻撃側に射撃を加えるわけです。
城外に向けられた「鉄砲狭間」など、仕掛けの意味を考えるのは楽しいものです。
天秤櫓
公開エリアですが、他の櫓も見てみましょう。彦根城自体は訪れたことがありますが、未訪問の櫓も今回見てきました。
天守に入れなくとも、櫓を回っていると結構な時間がかかります。
鐘の丸から太鼓丸に入る場所に位置しているのが天秤櫓です。
櫓からは、さっき通ってきた堀切と木橋がよく見えます。侵入してきた敵は丸見えになります。
太鼓門櫓(太鼓門及び続櫓)
天守のある本丸を守備する門及び櫓です。
この櫓の特徴は、高欄(手すり)があるところです。たしかに、ベランダのような見た目の櫓はあまり思いつきませんね。
西の丸三重櫓
搦手、つまり城の裏口を守る櫓です。現存する三階建ての櫓(三重櫓)は、全国に12基しかありません。
江戸時代から残るだけあって、入念な木組みには圧倒されます。
櫓の上からは、琵琶湖までを一望することができます。
天守や櫓などに登った時は、そこから見える景色を見ると、軍事的な意味が見えてきます。上の写真では、敵が攻め上ってくるであろうW字に屈曲した通路がはっきりと見えます。
「天守抜き」でも城はこんなに楽しめるのです。
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