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高取城~山中に眠る天険の要害
奈良県で唯一「日本100名城」に選定されている高取城は、高市郡高取町にあります。標高583メートル、比高(麓からの高さ)約350メートルという堂々たる規模の山城です。
高取城の歩み
城が築かれたのは南北朝時代の頃ですが、総石垣の近世城郭となったのは豊臣秀吉の時代です。天正13(1585)年、秀吉の弟・秀長に仕えた本多利久が高取城の改修を命じられました。
17世紀後半には植村氏が旗本から大名に取り立てられ、幕末まで高取城主となりました。植村氏の当主は代々「家」の字がついた名を名乗っていますが、これは藩祖が家康から一字を拝領し、「家存(いえさだ)」を名乗ったことによります。
文久3(1863)年には、尊王攘夷派が蹶起して高取城を攻撃しようとしましたが、鎮圧されています(天誅組の変)。
明治維新とともに廃城となり、天守を始め大半の建物は取り壊されました。残っているのは移築された2つの門だけで、現在の城内に建物はありません。
高取城への長い道のり
公共交通機関による高取城へのアクセスは、やや不便です。近鉄吉野線壺阪山駅からバスに乗り、壷阪寺バス停で下車。登城前に壷阪寺を参拝します。
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壷阪寺から徒歩で約40分の登り道の末、ようやく城の入口に到着。さっそく、石垣が出迎えてくれます。この辺りは重臣の屋敷が建ち並んでいたと思われます。
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高取城は、「郭内」と「城内」に区分けされています。「郭内」は約6万㎡、「城内」は約1万㎡に達します。険しい山城で、これほどの広大な城域を持つ城は稀有な存在です。
門に見られる防御の工夫
城内には、高さ6~7mに達するであろう高石垣が随所に築かれています。
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大手門を通過すると、二の丸に入ります。侵入者は右に強制的に曲がることになりますね。この仕組みを桝形虎口といい、高取城でも多くの門で使われています。
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本丸の入口も複雑に折れ曲がっています。本丸に入るには「コ」の字に歩かなければなりません。
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本丸の北西部には、かつて壮麗な天守がそびえていました。現在は天守台のみが残りますが、石垣だけでも堂々としたものです。
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珍しい「登り石垣」
本丸から大手門に戻り、吉野口を目指します。かなり鬱蒼とした森になっていますが、この先にも見所があります。
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それは、斜面を登るように築かれた「登り石垣」です。彦根城や伊予松山城など、限られた城郭にしか見られません。高取城では、あまり人の訪れない吉野口門付近にあります。
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石垣と一体化した巨木など、観光地化された城とは違う雰囲気があります。
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籠城時には水の確保が必須。広大な城内には複数の井戸が掘られています。
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国見櫓からの絶景
登り石垣を見た後は分岐点まで引き返し、北へ歩きます。宇陀門付近の石垣も風格があります。
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次の見所は、かつて「国見櫓」という櫓があった場所です。建物はないですが、悠久の歴史を持つ奈良盆地を見渡すことができます。
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城の北側の出入り口である「二の門」の付近には、山城には珍しい水堀もあります。
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また、二の門付近には「猿石」という石が置いてあります(飛鳥にも似たような石がある)。古代に掘られた像を築城用に運んだものの、使わず置物にされたのでしょうか。
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寺院や古墳などが注目されがちな飛鳥ですが、その近くには迫力に満ちた大城郭があるのです。車がないと不便ではありますが、是非訪問してもらいたい城郭です。
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