Bluetoothになった王様
Bluetoothといえば、PC・スマホ・イヤホン・マウスなど、異なる電子機器を無線でつなぐ技術の事です。現代人の生活を便利にしてくれる技術ですが、「"青い歯"って何だろう?」と気になりはしないでしょうか。
"Bluetooth"とは、10世紀のデンマーク王ハーラル1世に由来します。日本人にはなじみが薄いであろうデンマークの歴史をすこし紹介しましょう。
ハーラル1世(青歯王)の事績
実在が確認できるデンマーク最古の王朝・イェリング朝は、10世紀にゴーム老王(?~958)によって創始されました。現在のデンマーク王室にもつながる王朝です。
ゴーム老王の子で、「青歯王(bluetooth)」の異名を持つ王がハーラル1世です。平和的にデンマークとノルウェーを統合したという事績から、「いろいろな電子機器をつなぐ」技術に「bluetooth」という名がつきました。
ハーラル1世は、960年ごろにキリスト教を初めて受け入れたデンマーク王でもあります。
伝説によれば、ポポという司祭がハーラルにキリスト教の教えを説きました。ハーラルが焼けた鉄を見せ、「お前の信仰が本物なら、素手でつかんでも火傷をしないはずだ」と述べました。ポポが鉄を素手でつかんでも火傷の跡はなく、ハーラルはキリスト教の神を信じるようになった、といいます。
なぜ「青い歯」?
ハーラル1世の異名がなぜ「青歯王」なのかについては、複数の説があります。一つは、彼の歯に悪くなったもの(青黒い色だった)があったから、というもの。
本来は「青い歯」という意味ではなかったという説もあります。ハーラル1世の異名は、デンマーク語で「Blåtand(英語でbluetooth)」です。「Blå」は、「青」だけでなく「暗い、(肌が)浅黒い)」という意味もあります。また、後半部は古語の「Thegn(族長)」がなまったもので、本来は「浅黒い肌の族長」だったという説です。
北欧を統合したデンマーク
ハーラル1世の子のスヴェン1世は、イングランドへの侵入を開始しました。また、その子のクヌート(クヌーズ)はデンマークのみならずイングランド・ノルウェーを支配下に加え、11世紀前半に広大な「北海帝国」を築きました。
また、1397年には、デンマーク女王(※)のマルグレーテ1世はスウェーデン・ノルウェーとカルマル連合を結成し、同君連合としました。
デンマークは北欧の小国とみなされがちですが、歴史上しばしば地域を統合する核になっていたのです。
(※)正式な王ではないが、摂政として幼王を補佐し、事実上の女王として君臨した。
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