解通易堂

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泉御櫛怪奇譚 第二十四話

第二十四話『焦がし猫たちの夜 ~参夜目~』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――その昔、煤払いの日に捨てられた古い道具達が、無慈悲な人間への恨みを募らせ、妖怪『付喪神』として、復讐を開始する。(『付喪神絵巻』より参照) 名前 の起源は『九十九神』百年の時を経た櫛や簪。捨てられても尚、形を成す道具たちに意思が宿り実態を得た彼等には、人間よりも遥かに様々な思想や感情、覚悟が数多に存在することでしょう。そして、同じ様に『変わりたい』と思う感動も、細やかなきっかけで生まれるのかも知れませ

    • 泉御櫛怪奇譚 第二十三話

      第二十三話『心の棘 衝動の傷』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――現世には、あらゆる言語が各所で交わされております。それは時に、依頼であったり交渉であったり……身近だと、感情であったり思想であったり、告白であったり。 唯でさえ溢れ続ける語彙の中で、自分の意思をそのまま伝えることは、実は貴方が実感しているより難しいのです。感情と語彙が噛み合わずに、時には無自覚に人を傷つけてしまったり、誤った知識を与えたりしてしまいます。 では、もし相手に謝った言葉を送ってしまったら……その一言で

      • 泉御櫛怪奇譚 第二十二話

        前日譚はこちら→https://note.com/totoyasudou/n/nedce0fb07578 第二十二話『うなれ旋風! 鎌鼬の櫛』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――『妖怪』と一言に申し上げましても、語り継がれる地方によって姿形や行動に差が見られることがございます。例えば『鎌鼬』ならば、一匹で行動していたり、三位一体で行動したり、文献の数だけ、彼らの暮らしを知ることが出来ます。 おや? どうやら遠い所からやってきた小さな鎌鼬が、解通易堂へやって来たみたいですよ……

        • 【解通易堂】納涼櫛コラボ告知漫画【小説】

        泉御櫛怪奇譚 第二十四話

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        • 泉御櫛怪奇譚 第十三話
          1本
        • 泉御櫛怪奇譚 第四話
          6本

        記事

          泉御櫛怪奇譚 第二十一話

          第二十一話『付喪神の櫛 今日と言う特別な日』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――大衆にとっては当たり障りのない『なんでもない日』であっても、自分にとっては『特別な日』が存在するこの世界で、特に『記念日』を大切にする方は少なくないと思います。 恋人記念日、結婚記念日、就職記念日、開業記念日……表現は様々ですが、今回は少し特殊な『記念日』に起きた奇跡について、貴方にお話しいたしましょう―― ◆  解通易堂は、今日も穏やかな一日を始めようとしている。泉はまだ街が明るくなる前に、店の

          泉御櫛怪奇譚 第二十一話

          泉御櫛怪奇譚 第二十話

          第二十話『焦がし猫たちの夜 ~弐夜目~』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――櫛には、様々な絵や彫り物があしらわれておりますが、その『柄』によって売り手や買い手が込める想いは大きく変わってゆきます。中には、巡り巡った遠い誰かの想いが込められた柄が、偶然櫛に焦がしつけられてしまう様な、奇跡とも言える現象が起こったり、起こらなかったり……。 おや? 今夜の『焦がし猫』達の夜会に、どうやらそれらしい猫が紛れ込んでいるようですよ? ◆  とある地方の繁華街に、小さな飲食店が建っていた。

          泉御櫛怪奇譚 第二十話

          泉御櫛怪奇譚 第十九話

          第十九話『夜桜ノ宴 悲憤ノ櫛』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――貴方は、大切な人を傷付けられたら、どの様な行動に出ますか? 救済、養護、援助……。方法は様々ですが、古い歴史の中には、大切な人の代わりに『制裁』を加える。といった選択を取る者が数多く居りました。 貴方は、如何ですか? 例えば、傷付けた相手を『制裁』しようと思う程、濃く、赤黒い花が芽生える程の感情を持った事があるでしょうか? これは、現代では珍しい『仇討ち』を選んでしまった、哀れで悍ましい物語です……。 ◆  今

          泉御櫛怪奇譚 第十九話

          泉御櫛怪奇譚 第十八話

          第十八話『ひな祭りの願い 失せ櫛の故』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――この国には、季節に肖った年中行事が数多く存在します。正月、節分、ひな祭り、端午、七夕……。 貴方は、これらが開催される本当の由来をご存じでしょうか? 全てを把握するのは難しく、又、興味がない、関係が無い行事に対しては、名前しか知らない人も少なくありません。 本日は、季節に因んだ『ひな祭り』を巡る、とあるご家族を紹介致しましょう……。 ◆  仕事場を後にした和寿が、バイクを走らせて解通易堂へ向かう。今朝配

          泉御櫛怪奇譚 第十八話

          泉御櫛怪奇譚 第十七話

          第十七話『ツキ跳ね掴め 桜兎櫛!』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――貴方が最初に挑戦した思い出はありますか? 私立小学校への受験、習い事の段位試験、高校受験、就職活動……。もしかしたら、プロポーズやカミングアウト等も、貴方にとっては挑戦の一つかも知れませんが、今回は試験の物語。 未だ挑戦したことのない貴方も、もう遥か昔の事になってしまった貴方も、どうか『彼女』の挑戦を応援して差し上げてください―― ◆  商店街が未だに正月の名残を感じさせている。全国共通テストが迫る中、明日

          泉御櫛怪奇譚 第十七話

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          2022年泉御櫛怪奇譚 告知絵一覧

          2022年泉御櫛怪奇譚 告知絵一覧

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          泉御櫛怪奇譚 第十六話

          第十六話『巡る聖夜 梳き通る想い』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――時間とは不思議なもので、本来、人の概念として平等に与えられている物ではございますが、1日がどうにも短く感じる方と、果て長く感じる方と千差万別でございます。 しかし、その中で【全く同じ日を繰り返す」といった経験をされた方は、いらっしゃいますでしょうか? これは、そんな奇跡の様な現象に巻き込まれた、不遇な女性の物語です―― ◆  ネオンライトが輝くデートスポット。専門学校に入学した時から気になっていた、同級生の

          泉御櫛怪奇譚 第十六話

          泉御櫛怪奇譚 第十五話

          第十五話 『育む命 お祝いの櫛』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――日々移ろいゆく時代の中で、忘れ去られていく文化や行事は沢山あります。勿論、時代に合わせて変わってゆくものが『文化』ではあるのですが、中には生活の忙しさの中で忘れかけている文化も少なくはありません。例えば、貴方は『葉書』を最後に買った日を覚えていますか? 年賀状や暑中見舞いと言った、普通の葉書です。 他にも、変化したり失われたりする文化を思い出しながら読むと、この物語がより一層楽しめるかも知れませんよ……?――

          泉御櫛怪奇譚 第十五話

          泉御櫛怪奇譚 第十三話

          『八重紅葉荘暗闇事件(後編)』 ◆ ――さて、前回の物語を振り返ってみましょう。 県境の山荘旅館『八重紅葉荘』交通の便が悪く、前日まで雨が続いていた為『逃げ口の無い一軒家』と言っても過言ではありません。この地で殺人未遂事件が起こりました。 〇被害者は『斎川 昇平(サイカワ・ショウヘイ)』様。28歳。結婚前祝いに友人と旅行にいらっしゃいました。温厚で聖人君主。友人の不祥事を自分の事の様に謝罪する程、情が深い男性です。とても誰かに恨まれるような性格ではございませんが、人柄故、

          泉御櫛怪奇譚 第十三話

          泉御櫛怪奇譚 第十四話

          第十四話『付喪神ノ櫛 夜明ノ帳』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――貴方には、夢や希望を持った経験がおありですか? なりたかった職業、行ってみたかった場所。まだ見ぬ可能性の世界……。 しかし、残念なことに、歳を重ねる毎にその夢や希望は社会の歯車によって擦り潰され、いつの間にか記憶から消されしまう人が少なからず存在します。 ……おや、こちらに一人『夢や希望』を失ったことに気付かれた方がおりますね。絶望を纏わせた彼女がどんな行動をとるのか、少しだけ物見遊山といきましょうか――

          泉御櫛怪奇譚 第十四話

          泉御櫛怪奇譚 第十三話

          第十三話『八重紅葉荘暗闇事件【前編】』 原案:解通易堂 著:紫煙 ――人の情とは複雑なもので、愛情と確信していた物が刹那に壊れたり、友情という言葉で括られた群衆の中に、忌み嫌う者が含まれていたり……。 偽りの感情を顔の表面に貼り付けてその場の情を取り繕っても、内に秘めた憎悪は徐々に、無自覚に、確実にその裏で育まれていくものです。 その憎悪を発散する為の方法を、貴方はご存じですか? これは、憎悪をとある方法で利用してしまった、悲しい物語でございます―― ◆  待ちに待った八

          泉御櫛怪奇譚 第十三話

          『泉御櫛怪奇譚』第四話

          第四話 外伝『約束の櫛 恋の行方』 原案:解通易堂 著:紫煙 ◆  夏休みが残り僅かとなった、17歳の誕生日の日。柚子の曾祖母が静かに息を引き取った。喪中に手渡された白い封筒から、一度しか会ったことのない曾祖母からの手紙と、誰も知らない名前が焼き刻まれた櫛が入っていた。 (もしかして、これ……おばあちゃんの事を好きだった本郷さんが、何かのきっかけで渡した物なんじゃないの⁉)  櫛の本当の持ち主に興味を持った柚子は、櫛から読み取れる『本郷 秀一』という名前だけを頼りに、櫛を

          『泉御櫛怪奇譚』第四話