八オ

詩を置いています。たぶん他も。社会を歩いてる

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ハローディアマイ

屋上の縁に佇むたび呼吸を洗う風があることを知る。朝。通学路で見上げる太陽が遠い。曇った凸レンズを並べたような蜃気楼とか霧雨でない準透明な光が空を覆う。吐いた息の墓場は上空にあるから、質量不保存の場を足がもがいてゆく。 声が聞こえないのは発する吐息を風が洗ってしまっているからでなにも耳が悪くなったわけではない。 向こう側の景色ーービルディングやゴミ捨て場と工場ーーは区切られているのに金網を抜けだせば1つになっている。証明した人のいない不確実なものを信じ続ける私はいる。途切れ

    • 髪を噛むくせやめてえなあ(雑文)

      逃げて正解だったよ。 昔の君はどうあがいても信じないだろうけど。 今まで逃げた事実が君の浅ましさとか弱さとか、無責任とかを表しているようで、その記憶を消そうと頭を打ち付けたり、大声をだして取っ払おうとしてきた。死にたいなんて言葉を使ってその場限りの贖罪を試みようとしていたけれど、それは全部、逃げた事実に対して行おうとしていたんじゃない。 記憶に残した過去を犯されたものにしたくない、という君の優しさから生まれる自己保身によるものなんだ。 別に、君は実際に体をもてあそばれたわ

      • 星を目指して (詩)

        桜は1年に1度咲いた 満月は1年に12回姿を見せた 銀杏は1年に1度黄色く染まると枯れていった 雪は1年に1度朝日を飲みこむほど降り続け街を暗く閉じ込めた 4回の季節が巡る国を旅先に決め 10年の月日を屋根のない家で過ごした 未練を残す前に星に戻ろうと思った 引き留めるものは何もない 億光年を漂って辿り着いた星は傷を癒やしてはくれない 別れた恋人と離れることは必然だったと 別れたからこそ得られる天啓の教えがあると信じて来た星の国は何も与えてくれず 孤独な私が残るだけだった ☆

        • はるき (詩)

          彼は しにたくないと思っている 平日の布団にくるまって ベッドの上で誰か。神さまみたいな人に守られている昼過ぎなのに 彼は 生きのびたいと思っている どこまで、かは分からない だけど隣駅にある図書館のロータリーとか 恋人の大きい体の熱とか 神さまが外の世界で作ってくれた光を もう一度浴びたいと何度でも思い出せる限り 彼は 苦しんでいる 小さな子どもでない、なんて 分かりきったことを思い出させる背丈に 横に縦に、あるいは斜めに 大きくなる体をころせたら子どもであれる、 そう

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        ハローディアマイ

          失われていく青春へ

          ころもを着ている 色の崩れたぬるいころもを 着ていると幸せになれた 朝目がさめて 食事をして 顔と名前を覚えられない人に会って 笑顔をつくって 家で眠る 同じ生活を繰り返すことができた つまらないと言った あなたの顔が 死にそうだと思った 私のころもを渡せばあなたは幸せになれる 分かっていたのに私は渡さなかった 目を閉じるとき私はあなたのことを思い出す あなたに訪れる時間の中で 穏やかに空を見つめられる瞬間があることを 願わせてほしい ころもは貸せないけれど 私とあなた

          失われていく青春へ

          愛のない証明

          光の中で生まれたと言った 子どものように 依存する私のひたりと佇む手に包まれた 首を持つ君が笑った だからなんだと思った 光で生まれたなら私を連れて行けと思った ただ、指先に力がこもるだけだった 瞳の全てに星を映そうともがいた時がある 赤に青に黄に 燃えるものがあれば 瞬きもせず瞳を焼いていた 鈍く静動し続ける瞳を盲目たらしめたのは 君の踊る肢体だった 熱く体を震わす君が欲しかった 求められるがままに君を呪った 呪うだけが愛する手段だと思っていた 君の瞬間的な自慰の自殺に

          愛のない証明

          雪の果てにて会いましょう 私が手放す光は何よりも美しいのだと信じたい 凍えた花が木々を彩る蕾に寄り添うように 透明な桶に身を沈める暗く落ちる私の 研ぎ澄まされた歯にカチリと当たる 銀色の飛沫を頬に浴びる

          雪の果てにて会いましょう 私が手放す光は何よりも美しいのだと信じたい 凍えた花が木々を彩る蕾に寄り添うように 透明な桶に身を沈める暗く落ちる私の 研ぎ澄まされた歯にカチリと当たる 銀色の飛沫を頬に浴びる

          しなないでいえない

          明日は来ないね 大宮駅に降り立った君は言う 星が1度も降り落ちなかった空には まっさらな日がホームを照らす 地獄に行けたら行きたかったよ 落ちたら素直な苦しみにもがいていた 君は笑って手を引っぱる 何もいらなかったよ お金も友達も恋人も地位も祝杯も 生きる意味を持とうとしなければ 死ぬことはできると思ってた 絶望して苦しめると思ってた 平淡な声にかかる毒の息吹は 花を散らす風と消える いいんだよ君が言う 隕石が来るまで人は何度でも 絶望に戻ることができる それまで自分が感じら

          しなないでいえない

          春の木

          滑走路のような場所で生きていたい 私の背骨の上を歩く飛行機の振動だけを感じて 体の内にこもる熱は 柳のように白く細い枝でからめとられる 月が流れている 1年 10年 20年 花はひらかない 硬い蕾の中にある空洞を隠し続けたまま だれに? 乗客に 揺れる音は風ではなく 瞬間の目的地を目指す人の鼓動 滅んでしまうのは RDBに載る生物でも人間でも惑星でもない 体の内にある熱 望みは全て熱に残る

          春の木

          傲慢

          くるしい というのは、ただの言葉でしかない 胸の内のしんどさを なんて表せればいいのか君は知らないだけ だから 夜の内を優しいと思ったなんて言ってみる 嘘なんだ くるしいんだ 夜は 誰もいない部屋がずっと広くなるから 大事にされない 君が捨てるテディベアと同じだから 涙はただの言い訳 くるしさを表すだけに使う ずるい ということを分かっていても 君は涙を流す 優しくされたいから その瞬間だけ 君は世界と繋がれると思いこんでいるから

          歩けない、ただの言い訳

          私を殺したのは、今朝の夢です 殺した、 なんて恐ろしい言葉を使ってごめんなさい ただ、その言葉を使わなければ その瞬間の私は 成物 することができなかったのです れんげ畑に立っていました エメラルド色の渦を巻いた空は 美しくて、 期待と地獄の狭間で浮かぶように雲が 流れていて、 それが明日も生きれる理由になるんだと きっと思っていました 蛆虫 が いた 私の茶色い革靴のつま先に 瞬間 靴をれんげ畑にこすりつけました 次に靴のつま先を見つめると そこは何もない綺麗に光る靴

          歩けない、ただの言い訳

          地平線に立つ悪夢

          あきらめるためにはろーわーるど 私はいのちだと思う 昼下がりにおちた光の部屋で あなたの目蓋は思い出す よく見る映画の続きだと 同じ街に住む娘の話だと 父親になれることばかりを信じて 肩書きは誇りだから これで人を守れると思ったばかりだったのに 過ちはガラスのようなもの はじきおちた瞳が闇におちる前に 引きずりあげるものがあなたの崩れた 左手であってほしかった アパートの一室を洗い流したい ほんとはね 木漏れ日でもないまっさらな朝日が すくってくれると信じただけで そんな

          地平線に立つ悪夢

          海の家にはエピローグ

          お土産をもらってうれしかったの おみやげ? 新幹線にのったんだって 海をみにいって帰るとき砂浜で痛めた裸足を休ませた 海の家の机には まりんぼうるが置かれてた 中にね、 セミが羽をひらいてうずくまってたの 誰もいない海の家は 畳がふしくれだっていて 足を刺すから痛いって泣いてた そしたらね、波が月に被さったの 光は 水飛沫にのみこまれて星にかわったように思えた けれど光は私が流す飛沫で 木目が浮かんだ机に全て残っていた この石はそのときのもの? そう、鱗だよ 私の鱗 やっと見

          海の家にはエピローグ

          よまよいはきょう

          からだはおもいとけないもの まぶたからながれおちるものはからだじゃありません ゆびのさきにあるかたくてはんげつのかたちをきりとるものもからだじゃありません またのしたにあるけもあしとうでのさきにあるけもからだじゃありません あたまのけもそうですね きりはなされたものはからだじゃないから ごみばこにすててしまってください いきばのないからだにならないものはぜんぶめのまえからなくしてしまえば からだのそこにあるわたし わたしのたましいだけをたしかめられる

          よまよいはきょう

          ハイヒールに擦られたアスファルトを見て 初めて紙に万年筆で傷をつけた日を 思い出した。 私がつける傷はいつも 紙とペンの延長線上にある。

          ハイヒールに擦られたアスファルトを見て 初めて紙に万年筆で傷をつけた日を 思い出した。 私がつける傷はいつも 紙とペンの延長線上にある。

          待ちたい人に会えなくて 夜に帰る家はうす暗いまま であることに気づいたのは 電車に揺られる椅子に座っていたとき だから手におさまる 銀色の杖のような棒を 強く握りしめる

          待ちたい人に会えなくて 夜に帰る家はうす暗いまま であることに気づいたのは 電車に揺られる椅子に座っていたとき だから手におさまる 銀色の杖のような棒を 強く握りしめる