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はるき (詩)

彼は
しにたくないと思っている
平日の布団にくるまって
ベッドの上で誰か。神さまみたいな人に守られている昼過ぎなのに

彼は
生きのびたいと思っている
どこまで、かは分からない
だけど隣駅にある図書館のロータリーとか
恋人の大きい体の熱とか
神さまが外の世界で作ってくれた光を
もう一度浴びたいと何度でも思い出せる限り

彼は
苦しんでいる
小さな子どもでない、なんて
分かりきったことを思い出させる背丈に
横に縦に、あるいは斜めに
大きくなる体をころせたら子どもであれる、
そう望んでいく大人に彼はなった
それなのに
苦しくても辞めたくても終わりたくても
しにたくないと思う
彼はまだ


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