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春の木

滑走路のような場所で生きていたい
私の背骨の上を歩く飛行機の振動だけを感じて
体の内にこもる熱は
柳のように白く細い枝でからめとられる
月が流れている
1年 10年 20年
花はひらかない
硬い蕾の中にある空洞を隠し続けたまま

だれに?

乗客に

揺れる音は風ではなく
瞬間の目的地を目指す人の鼓動
滅んでしまうのは
RDBに載る生物でも人間でも惑星でもない
体の内にある熱
望みは全て熱に残る

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