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星を目指して (詩)

桜は1年に1度咲いた
満月は1年に12回姿を見せた
銀杏は1年に1度黄色く染まると枯れていった
雪は1年に1度朝日を飲みこむほど降り続け街を暗く閉じ込めた
4回の季節が巡る国を旅先に決め
10年の月日を屋根のない家で過ごした
未練を残す前に星に戻ろうと思った
引き留めるものは何もない
億光年を漂って辿り着いた星は傷を癒やしてはくれない
別れた恋人と離れることは必然だったと
別れたからこそ得られる天啓の教えがあると信じて来た星の国は何も与えてくれず
孤独な私が残るだけだった

全ての星が光を放つ夜
宇宙に飛び上がった私の道標であった
惑星R-s82 0と交信を続けたアンテナは
砂嵐とともに音が途絶えた
座標を頼りに辿り着いた先は何もない
無数の星へ進む道の途中で
私の星はなくなっていた

10年 50年 100年の月日が続く
私はあの星に戻りたい
その1つの願いで宇宙船を操縦し道を駆ける

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