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詩作集・天網恢恢

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この世界はみんなで見ている夢にすぎない。そこを出発点として。
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#茫洋流浪

曇天の成田から青空を抜けて福岡へ│写真詩

曇天の成田から青空を抜けて福岡へ│写真詩

曇天の成田から福岡へ向かう
飛行機が窓側の席で薄い雲を
抜けたら青空だったものでね

目をいたわってやりますかと
イヌイット式サングラスをば
紙切り抜いて試作したらばよ

.
.
.
.

余りにヤバくなっちったから
やっとの思いで笑いをこらえ
自撮後に笑い転げましたとさ
#茫洋流浪

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[随想詩] 言の葉のさざ波立って風涼し

[随想詩] 言の葉のさざ波立って風涼し

そうです、これはある類型の、
絶対的に言葉には写しえない、
この身のうちにまさに今この瞬間やどっている、
不可思議奇妙な気分についての、

そもそも言葉というものは、
この世界で生じる現象の、
不完全な写像(マッピング)にしかすぎないのですから、
いくら地図をよく読み解いて、
そこに描かれているすべてを頭に入れて、
そのすべての相関関係にまで思いを至らしめたとしても、

所詮地図は地図でしかなく、

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[随想詩] 自己充足と相互承認としての世界

[随想詩] 自己充足と相互承認としての世界

数学の世界の初めに空集合があるように、宇宙の初めには無限小の一点があり、空集合がゼロから初めてイチ、ニ、サンと無限への階段を歩み続けるときに、宇宙は一挙に爆発して素粒子の踊りを始める。

渾沌の玄妙空無なる道(タオ)から生まれいでたぼくたちは、不可思議な個別性を背負って旅に出ることになった。

個体という容れ物の中に臓器と魂を収めて、やがて訪れる死という次の旅立ちのときまでを、浮き世でヤドカリのご

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[208 湧出詩] 鵺の鳴くころ、秘密めいた泉で

それはぼくだって、幸せになりたいさ。結局はそれだけのことだろ。

遠い星から送られてくる思考の連鎖に、即興の形を与えてやることができれば、心は少しばかり落ち着いて、闇の中、静かに踊り始める。

それでぼくは、今日もこうして無為の時を過ごし、それが徒食であれ自然であれ、とにかくそいつを絶対的に肯定してしまうことで、目の端ににじむ涙を成仏させる、大海原へと向かうガンガーの流れへと合流させる。

放り出

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終わらない夏休みの唄

終わらない夏休みの唄

何かが生まれてこようとしています。

この世界の片隅で。
あなたの心の奥底で。
全宇宙のど真ん中で。

涸れることのない泉がそこにはいつもあるのです。

この世界が存在する限り。
あなたが生きている限り。
全宇宙の寿命が尽きるまで。

だからあなたは。

何もしなくていいのです。
何にもならなくていいのです。
何かのために生きるのではないのです。

あなたは生まれてきたのです。
あなたは育ってきた

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[ネパール旅日記] お釈迦さまの生まれた土地にて

[ネパール旅日記] お釈迦さまの生まれた土地にて

[今回の記事では、27年前のネパール・ルンビニを思い出して紹介します]

[カバー写真は宿のベランダから見た、麦畑の広がるのどかなルンビニの田園風景]

note のみなさん、お元気でお過ごしでしょうか。

ぼくは今、ネパールのルンビニという田舎街にいます。
ここは、お釈迦さまこと、ゴータマ・シッダルタさんの生誕の地で、日本の建築家、丹下健三氏の設計した聖地公園がででんと広がる観光地です。

ルン

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食事中の方は見ないでください。インドのバラナシでは、牛の落し物に注意。

食事中の方は見ないでください。インドのバラナシでは、牛の落し物に注意。

noteのみなさん、おはようさん。
聖なる牛糞都市バラナシより、お久しぶりのとし兵衛です。

インドでは、牛は神聖な動物でして、シヴァ神の聖地、ここバラナシの旧市街は、牛の生息密度がインドの中でも超弩級に高いと思われます。
シヴァ神のお供がナンディという名の牛なんですね、はい。

そして、牛が多いという事は、牛糞にも要注意なんです(笑)。

...... と、とりあえずのご挨拶までで、裏とし兵衛に

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[詩][全文無料]ぼくのわびさびタイム

[詩][全文無料]ぼくのわびさびタイム

もうすぐ夜が明けます
バスのクラクションがときどき聞こえます
インドはラジャスタン州
梵天さんの聖地プシュカルにいます

レノンとディランのわびさびが
ぼくの心を打ったのです
それでぼくはこうして
あふれ出てくる言葉を綴るのです

ねえあなたは愛とか平和とか
世間の人たちが笑いものにする言葉を
笑ったりしないでしょ

手紙でそう訊かれたことがあります
はたちの頃の話です
その女の子のことが少しばか

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[詩]ふらふらと、ひとりよがりの

[詩]ふらふらと、ひとりよがりの

きのうの朝にはマレーシアのペナン島で
南インド料理のドーサイなど食べていたのですが
今はタイのハートヤイという街で宵の口
ビア・チャンという象印のビールを飲んでます

とうに半世紀をこの世で過ごしてしまい
この先いつまでこんないい加減な暮らしが続くのか
そこのところはまったく分かりはしないのですが

とにかく今この瞬間に
こうしていられることの僥倖を
神に感謝して噛みしめて
一人よがりの「修行」の

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