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日本全国の工場巡り〜広島福山のデニム工場〜

こんにちは!ファクトリエ代表の山田(tocio_yama)です。

ファクトリエは「語れるもので、日々を豊かに」をミッションに掲げるファッションブランドです。日本のこだわりを持った工場と一緒に「良いものを長く着る」をテーマに商品を作っています。※100%日本製です

"長く愛用して頂く"ため、

-縮み、色あせなどの品質
-シルエットにこだわったデザイン
-適切な修理(交換) 

を心がけています。

日本各地のアパレル工場へ

さて、日本のアパレル産業は、染めや織りの伝統と手の込んだ技術によって、世界に誇る高品質な商品を生み出してきました(今も生み出しています)。このnoteでは、毎月様々な地域を訪問し、「ぜひ知っていただきたい」と思う素晴らしい技術を持った工場をご紹介しています。

直近で訪問した秋田岡山長崎石川・富山熊本大阪福岡愛知(一宮)を訪問し、ご紹介しました。さて、今月は「広島(福山)」です!


デニムの日本最大産地「福山」

広島県福山市は、日本のデニム生地生産の中心です。そのシェアは国内で約8割を占め、世界的にも高い評価を得ています。今回は、そのデニム産業の真髄を探るため、福山市内の生地や縫製工場を含む複数の工場を訪問しました。

洗いをかける前の「リジット」と呼ばれるデニム

福山の繊維産業の起源は江戸時代にさかのぼります。
福山藩初代藩主、水野勝成が綿花の栽培を奨励したことが、地域の繊維産業発展の始まりでした。江戸時代後期には、現在の福山市を含む備後地方で「備後絣(びんご・がすり)」が誕生し、久留米絣、伊予絣に並ぶ日本三大絣の一つとして栄えました。

ヴィンテージミシンのユニオンスペシャル

1960年には備後絣の生産量がピークに達し、年間生産量は100万反を超え、織物会社は250社、関係会社は1,000社以上にのぼりました。

しかし、時代の変化とともに絣の需要は減少していきます。この逆境の中で、地元の工場たちは「絣で培った技術を現代に活かせないか」と模索し、デニムやカジュアルウェアの生産に活路を見出しました

備後絣から受け継いだ技術を応用

国産高級デニム生地の約50%はここ福山で製造されています。備後絣から受け継いだ厚地の織り技術や藍染めの技術を活かして生産されています。

厳選された原綿を輸入し、綿から糸を製造する紡績工程からスタートし、紡績された糸はロープ状に束ねられ、インディゴ染めされます。この際、糸の芯まで染めずに表面だけを染める技術が、デニム特有の色落ちを生む秘訣です。

昔ながらのシャトル織り機で作るセルヴィッチデニム

その糸を旧式の織り機でゆっくりと織り上げることで、風合いが極上のデニム生地が出来上がります。両脇に赤い線が見えると思いますが、それがセルヴィッチ(通称:赤耳)と呼ばれる部分です

生地から縫製まで一貫してできるのが産地の強み

絣を製造していた時代の名残を受け、分業体制が根付いたこの地域では、紡績、製織、パターン、裁断、縫製、ボタンや鋲打ち、染色、洗い加工、プレス仕上げなどの過程を各専門工場の職人が手がけています。

このように紡績から販売まで一貫して行えるのが福山のデニム産地としての大きな特徴です。この一貫生産体制により、高品質なデニムが安定的に供給されています。

衰退の危機感

腕の良い職人も少しずつ高齢化へ

福山のデニム産業が直面する課題は多岐にわたります。例えば、海外の安価な製品との競争や、高度な技術を持つ職人の高齢化もそうです。

この課題に対応するため、「繊維産地継承プロジェクト委員会」が立ち上げられました。特に注目すべきは、加富屋の後藤社長を中心に開設されたHITOTOITOデニムスクールです(ちょうど第22期の受付を終了したところ)。

このデニムスクールでは、10日間もしくは1か月の短期間でデニムの縫製技術を習得することができます。既に140人以上の卒業生を輩出しており、定員6人の小規模なクラスで集中して学ぶことができます。

デニムパンツ製作に必要な専門知識と工業用ミシンを使った縫製技術をプロの実技指導を受け、卒業時には自分サイズのオリジナルデニムパンツを完成させることができます。また、備後絣の歴史やデニムの専門知識を学ぶ座学、工場や企業見学も充実しています。

未来を担う若い職人たち

一級の資格を持つのは若い職人

福山を技術と若さで引っ張るのは、1970年に設立された加富屋(かどや)です。社員数は20名強と少数精鋭ながら、J Qualityを取得し、超難関の1級資格を持つ職人が3名在籍しています。平均年齢は30代と若く、これからの福山デニムを牽引する存在です。

仕様書確認は全員で行うそう

社員旅行やクリスマス会、忘年会、女性会などイベントも充実。若いメンバーが多いため産休に入る方も多いそうですが、歓迎されているとのこと。

加富屋の藤野さん(左)と後藤社長(右)

訪問した福山で見た職人たちの技術と情熱は、まさに日本のデニム産業の未来を支えるクラフトマンシップです。この地で培われた技術と歴史が、今後もさらなる発展を遂げることを期待しています。

以上、今回は広島(福山)からお伝えしました!!

現場からは以上です。
最後までありがとうございました!^^

また来月も、よろしくお願い致します。

山田

《これまでの記事》
1.D2C創業、最初の壁を超えるための5つの基本

2.ものづくりについて
→D2Cブランドの99%はプロダクトで決まる

3.ファンづくりについて
→お客様をファンに変える。熱エネルギー型のブランド論

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(追伸)
私自身がアトピー性皮膚炎であることから、肌悩みを持つ方向けの商品を開発しています。現在は主にレディース中心ですが、もし洋服に困っている方がいましたら、ぜひお気軽に私のSNS宛(山田のTwitter)にご連絡くださいませ。
下記では肌が弱い方向けに繊維の面から情報も記載しています。

https://factelier.com/hadaomoi/


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