松下幸之助「コンプライアンス」
いかに強い力士でも、その勝ち方が正々堂々としていなかったら、ファンは失望するし、人気も去る。
つまり、勝負であるからには勝たなければならないが、どんなきたないやり方でも勝ちさえすればいいんだということでは、ほんとうの勝負とは言えないし、立派な力士ともいえない。
勝負というものには、勝ち負けの他に、勝ち方、負け方というその内容が大きな問題となるのである。
事業の経営においても、これと全く同じこと。
その事業が、どんなに大きくとも、また小さくとも、それが事業である限り何らかの成果を上げなければならず、そのためにみんなが賢明な努力を続けるわけではあるけれども、ただ成果を上げさえすればいいんだというわけで、他の迷惑もかえりみず、しゃにもに進むということであれば、その事業は社会的になんらの存在意義も持たないことになる。
だから、事業の場合も、やっぱりその成果の内容―つまり、いかに正しい方法で成果を上げるかということが、大きな問題になるわけである。
むつかしいことかもしれないが、世の人々が、みんなともどもに繁栄していくためには、このむつかしいことに、やはり成功しなければならないと思うのである。
(参考文献 道をひらく 松下幸之助)
(感想)
コンプライアンス遵守という言葉が昨今よく使われているが、松下さんが言っていることにも通じている。
商売のやり方は何でも良いというわけではなく、このコンプライアンスを守った上で成り立つものだ。
粉飾決算や脱税、検査偽装、産地偽装、個人情報流出、サービス残業など、最近世の中を騒がすニュースの中には、これらコンプライアンス違反をおかした例がほとんどだ。
改めて商売の基本として心に留めておきたい。
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