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記事一覧
インターネット時代のテレビジャーナリズム (2005年12月)
世界で最もブロードバンドが普及している韓国では、国民のテレビ視聴時間と地上波テレビの広告収入が低下傾向にあるという。要因の一つは、数年前からドラマを含むテレビ番組がインターネットで再配信されるようになったからである。
インターネット上では見たい時に見たい番組が見られる点が、消費者に受け入れられているのだろう。韓国ではモバイル機器向けのモバイル衛星放送も始まり、パソコンや携帯電話、PDAでテレビ
このままでは日本のソフトウェアはダメになる~我が国情報サービス産業の革新にむけて~ (2004年12月)
ソフトウェアと自動車
2004年5月、ダイムラー・クライスラー社のメルセデス・ベンツ部門は、2002年3月以降に生産したEクラスのセダン、2001年10月以降に生産したSLクラスのスポーツカーなど68万台のリコールを発表した。リコールの原因は、最新式の電子制御ブレーキシステム『センソトロニック』に原因があると報道されている。
このセンソトロニックは、ブレーキがどれだけ踏み込まれたかをセンサ
霞ヶ関クラウドと自治体クラウド (2009年6月)ネット時評
クラウドの定義
クラウド・コンピューティングが一種のブームになっている。最近は、短縮して「クラウド」ともよばれる。この業界ではよくあることだが、クラウド・コンピューティングについて、コンセンサスのとれた定義はない。
しかしそれでは議論が進まないので、まずは、McKinseyの”Clearing the air on cloud computing”という資料における定義から始めよう。
McK
総背番号制に反対するのは誰か? (2007年7月)ネット時評
この数ヶ月ほどの年金騒動からわかったことの一つは、長期にわたる個人情報を管理するには、氏名、生年月日、性別、住所の4情報では不十分だということである。ある時点に限れば、この4情報によって、ほぼ100%個人を特定できる。しかし、年金のように長期間に渡って個人を識別し、その支払い記録を照合することは難しい。
3年ほど前、このコラムに、国民総背番号制が必要なのではないかという意見を書いたのだが、そ
IT人材不足を解消するためにすべきことは何か (2006年6月)ネット時評
2006年1月19日、e-Japan戦略、e-Japan戦略Ⅱの後継として「IT新改革戦略-ITによる日本の改革-」が発表され、6月には、このIT新改革戦略に掲げられた目標を実現するための「重点計画-2006(案)」が公開された。
このIT新改革戦略には、「2011年当初までにレセプトを完全にオンライン化する」、「国・地方公共団体に対する申請・届け出手続きにおけるオンライン利用率を2010年
公的個人認証システムを民間企業に開放しよう (2005年10月)ネット時評
インターネットを使ってビジネスをする企業にとって情報セキュリティ対策は必須である。特にお金を直接扱う銀行にとって、セキュリティ対策の不備は致命傷になりかねない。その銀行が最近、セキュリティ問題で頭を抱えている。原因はキーロガーによる「なりすまし」問題だ。全国銀行協会によれば、キーロガーによるなりすまし被害は今年7月までにみずほ銀行など3行で計9件、約940万円である。まだ犯罪件数も被害額もそれほ
もっとみるe-Japan戦略を評価する年がやってきた (2004年9月)ネット時評
2001年1月に政府が公表したe-Japan戦略は「我が国が5年以内に世界最先端のIT国家になることを目指す」と宣言している。つまり目標とする年は今年だ。すでに、政府部内には評価に向けた動きがいくつもある。心配なのは、こうした動きが、評価のための評価になりはしないかという点である。評価は明日につながるものでなければいけない。
当初の目標の達成度
e-Japan戦略は、4つの重点政策分野
国民総背番号制について議論しよう (2004年4月)ネット時評
行政機関が保有している個人データのコード統一化に関する研究会の構想が世間に漏れ、「国民総背番号制」問題としてマスコミに取り上げられて社会問題化したのは、1970年代前半のことである。あれから30年、情報技術は飛躍的に進歩し、国民の情報化に対する知識も意識も大きく変化している。
もう一度、改めて国民統一コードのメリットとデメリットを議論してもよいのではないだろうか。
ウェブサイトにおける意見
日本のソフトウェア業界に革新を (2004年9月)ネット時評
今年の1月の日経ネット時評に『ソフト開発を魅力ある職業に――古くて新しいソフトウエア問題』というコラムを投稿したが、ソフトウェア開発の生産性と品質の向上を阻んでいる要因を分析し、その解決策を考えてみた。細かな点は省いて言えば、
(1)プログラマの生産性は個人によって大きく異なっているので、優れたプログラマの処遇を改善して生産性の高い人たちが集まる企業(産業)にすること
(2)進捗管理が困難なウォ
ソフト開発を魅力ある職業に (2004年1月)ネット時評
組み込みソフトのバグ
我が家のハードディスク内蔵型のビデオレコーダーが壊れた。録画した番組の一部が再生不能になってしまったのである。ハードディスクに録画された番組を一覧する画面ではあるのに、再生できないものがあるのだ。メーカーに電話すると、少し症状を説明しただけですぐに取りに来るという。どうもビデオレコーダーに内蔵されたプログラムのバグらしい。1週間で修理を終えたビデオレコーダーは戻ってきた
利便性を実感できる韓国の電子政府 (2004年7月)ネット時評
社会経済生産性本部が企画した韓国電子政府・IT産業調査団に参加し、韓国の情報化の現状を視察してきた。噂には聞いていたが、韓国政府の情報化は予想以上に進んでいる。たとえば、地下鉄の駅や銀行などに設置されたKIOSK端末で簡単に住民登録謄抄本などの交付が受けられるし、政府や地方公共団体の調達のほとんどがeマーケットプレイスで行われている。韓国では利便性を実感できる情報化が進んでいる。
遍在する行政
日本のレコード産業界はどこへ行くつもりなのか (2004年6月)ネット時評
海の向こうでは音楽の有料配信サービスがビッグ・ビジネスに成長しつつある。日本でも同様のサービスが始まっているのだが、どうも順調とは言えないようだ。一方、6月3日には音楽CDの輸入規制を可能とする著作権法改正案が衆議院本会議で賛成多数で可決され、安い音楽CDの入手が危ぶまれている。おまけに、最近の音楽CDはコピー管理技術を施したものが増えており、消費者の不満は増すばかりである。いったい、日本のレコ
もっとみる長野県が証明した住基ネットの安全性 (2004年3月)ネット時評
長野県による脆弱性調査
2004年2月29日、長野県による「住基ネットに係る市町村ネットワークの脆弱性調査」の最終結果が公表された。改めて説明するまでもなく、この調査は、住基ネットに不正にアクセスすることがが可能かどうか、住基ネットから情報が漏洩する可能性があるかどうかについて、長野県が県内の3町村の協力を得て行った調査である。調査を実施したのは、長野県本人確認情報保護審議会の委員で、ネット
ネットバンキングにおける今後の顧客サービス展開 (2005年3月)
1. ネットバンキングのはじまり
米国でインターネットを利用したネットバンキングが始まったのは、今から10年ほど前である。情報技術の利用に熱心であった米国のウェルズ・ファーゴ銀行が、顧客サービス用のウェブサイトを立ち上げたのは95年5月であった。当初はまだセキュリティ面の懸念から、残高照会や取引記録紹介などの情報提供サービスに限定されていたのだが、その1年後の96年5月には、口座振替、ローン