Wataru Ohno/ 大野 和

国語教育学が専門。教育目標、読書教育、言語生活、アフォーダンスに関する研究。著書『構想…

Wataru Ohno/ 大野 和

国語教育学が専門。教育目標、読書教育、言語生活、アフォーダンスに関する研究。著書『構想力を育む国語教育』2014。『よくわかる!教師を目指すための高大接続のしくみ』共著2021。ここではペンネームで原稿のドラフトに取り組んでいます。投稿は所属先とは関係なく、本人の責任で行います。

マガジン

  • 講義集(仮)

    刊行の計画があるため、各記事は原則的に有料にしています。国語教育学のテキストのようなものです。タイトルの案の一つは「構想力を育む国語教育の実践的展開」。よろしくお願いします。

  • 『一斉授業をハックする』から高大接続への展開メモ

    展開メモです。

  • 他媒体で発表した記事

    発表済みの文章です。よろしくお願いします。

  • 『一斉授業をハックする』と弾力的な国語カリキュラム

    いつか論文化するためのドラフトです。投稿後に本文を加除修正したり記事自体を削除することもあります。

最近の記事

「リレー詩をつくろう」の評価結果

はじめに  講義の一コマとして、フィードフォワードする評価について、以前に書いたことがあった。共同詩の一種であるリレー詩の制作を通して国語科評価の本質に迫りたいという内容について、講義で活動に取り組むことを想定して書いたものだった(というか、実際に講義で行った内容)。  上の記事では書かなかったが、この講義の後半において、「自分の作ったリレー詩を評価する」、そして「リレー詩という国語学習そのものを評価する」という活動を設けていた。今回の記事では、この活動において学生からど

    • こんな単元できたらいいな、こんな教師になれたいいな。

       先日の「国語単元学習」の記事の中で、「国語単元学習を構想・実践していくための要件/必要なこととは何だと思いますか。読んだ資料を手がかりに、書き出してみてください」という問いかけについて書いた。  この問いを実際に授業で学生に投げかけてみた。学生からは次のような考えが挙げられた。予め私が選んでおいた、国語単元学習の実践報告を読んだうえで考えた内容である。 1) 個人での学習と全体での学習をうまく組み合わせて授業を進めていくこと。 2) グループや小集団で学びあう時間を設

      • 国語単元学習(7,700字)

         国語単元学習の授業分析と立案演習です。国語科授業方法論の仕上げに当たる内容として行います。この記事では、もと90分授業2回分だったものを1回に集約して書きました。そのため文字数のわりに時間がかかるかもしれません(というか文字数も多いかもしれない)。扱っている資料1~4のうち、資料2と3は、別の実践資料に代替することもできると思います。  この講義に取り組む必要感をもってもらうために、下記のレポート課題を並行させていました。課題を必然性の種にするというのは、若干荒業ではあるの

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        • 画用紙の回し書きブレインストーミング

           講義の中で、小学校国語教科書教材の研究をするにあたり、教室に一枚の画用紙を回して、ブレインストーミングをしたことがある。記録によれば2013年度前期の講義だった。取り上げた教材は「お手紙」と「テレビとの付き合い方」。このタイトルを私が画用紙中央に書き込んでおいた。その周囲に、受講者が、連想した言葉、思いついた言葉を順々に書き込んでいく。その結果できあがったものがこちら。  「手紙が返ってこないさみしさ」っていう書き込みが隅っこにありますね。いい感じだ。 「部屋を明るくし

        「リレー詩をつくろう」の評価結果

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          21本
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        • 他媒体で発表した記事
          5本
        • 『一斉授業をハックする』と弾力的な国語カリキュラム
          6本

        記事

          国語教科書教材に特化したレファレンスサービスというのがもしあったら、積極的に利用していくと思う。

          国語教科書教材に特化したレファレンスサービスというのがもしあったら、積極的に利用していくと思う。

          ノート指導。個性あふれるノートを。画一的ではなく。ひとりひとりちがうノートになっていい。そう思います。

          ノート指導。個性あふれるノートを。画一的ではなく。ひとりひとりちがうノートになっていい。そう思います。

          到達目標の設定について考える

           授業実践の到達目標や到達度評価について考える機会があった。そこで国語科におけるこの領域の代表的著書、水川隆夫『国語科到達度評価の理論と方法』(明治図書、1981年)を読み直している。興味深い点が多い。授業のしかた、目標設定や評価のしかたについて考えてみたいと思っている、若手や中堅の先生には役立つ本であると思う。 (引用開始)  次に、各学校での到達目標を設定する際の、留意点を三つばかり挙げておくことにする。 ⑴ 教育の目的と教科の目標に照らし、各学校段階、各学年の到達目標

          到達目標の設定について考える

          高大接続と教師教育

           下記の記事において、キャリア意識形成の一環として行われる高校出前授業は、学習センターの一種と捉えられるのではないかと書いた。複数のブースを設け、生徒は自分の関心に近いブースに参加し、それぞれのブースの内容が同時並行的に進められる。この進め方、考え方は、教室を学習センターにしてその中にコーナーを並置する発想と近い。講師を数名呼ぶなどの条件はあるけれど。  これをもっと推し進めて、生徒の好奇心を調べ、実際に体験をさせることまでが視野に入っている。  一斉授業として複数の職場

          高大接続と教師教育

          ことばについて探究する人間(4,000字)

           中学校・高等学校国語科教育論の入門的内容であり、詩の授業方法論です。中等国語科教育法で「国語科の学習をつくるための重要事項を考える」と題して行ったこともあります。谷川俊太郎「はる」を取り上げていますが、別の詩教材を使うこともできると思います。  この文章は、2021年3月に佐賀県中学校教育研究会国語部会が発行した『創立六十周年記念誌』に特別寄稿として掲載されており、それが初出になります。掲載にあたり、加筆し、「わたしはいつまでものぼってゆける」と改題(「はる」の一節です)し

          ことばについて探究する人間(4,000字)

          教師の「厳しさ」について(随想)

           授業映像に登場する教師の指導、授業者側は適切だと思って教材化したしているのですが、学習者側はそうは受け取らないことってあります。厳しすぎる、この先生のやり方には引っかかるところがあった。そういう反応が寄せられることがある。以前そう言うことがあった時に書いた、受講者向けの文章です。  *  教師にとって「厳しさ」とは何でしょうか。学習指導において教師の「厳しさ」はどのくらい必要でしょうか。  私が思うに、すばらしい授業とは、国語に限らず、見る人に「違和感」や「引っ掛かり

          教師の「厳しさ」について(随想)

          国語の授業でいろいろな本を使う(原稿ドラフト)

          初出:『小学校・中学校教育情報誌 教室の窓』 Vol.71,東京書籍,2024年1月発行 特集:改めて見つめ直す「主体的・対話的で深い学び」  読む力を伸ばす国語科授業の方法についての文章です。依頼は、「特集テーマについて、読書指導と絡めながら述べてほしい」というものでした。国語の授業で複数の文章や本を使う教え方について述べました。「学習センター」と呼ばれる方法に基づき、複数の文章教材を同時並行的に扱う方法、読む教材を生徒自身が選ぶ意義について書きました。  * 夢中に

          国語の授業でいろいろな本を使う(原稿ドラフト)

          ポートフォリオ評価法と国語科(8,000字)

           国語科の評価論です。主に取り上げたのは、ポートフォリオ評価法、大村はまの国語学習記録、青木幹勇の目標意識、それに中教審の「主体的な学び」です。評価を通してことばを育てる意義と方法を述べました。最後に、みずから講義の目次とあとがきを作ってみようというワークを行うことを想定しています。二つの別々の講義内容をまとめて作成したので、うまくつながっていないところがあるかもしれません。もっといいタイトルがある気がする。 * *

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          ネズミとかんづめ

           大学の講義で物語の創作を取り上げたとき、モデルとして私が書いたものです。この講義について詳しくは「書くことをどう教えるか」の記事で書きました。学生の反応がどうだったのかは、内緒。  内容は次の文献に基づくものです。 ・メルディ・バレほか著/北川達夫・フィンランド・メソッド普及会訳(2006)『フィンランド国語教科書 小学3年生』経済界.  *  むかしむかし、大草原に小さなネズミがいました。ネズミは大草原の小さな家に住んでいました。冬にどっさり雪が積もって家から出られな

          国語科評価論ーリレー詩を手がかりに(5,900字)

           国語科における評価論です。「リレー詩をつくろう」(上條晴夫(2004)『ワークショップ型授業で国語が変わる 中学校 <参加・体験>で学びを深める授業プラン15』図書文化所収)という活動と組み合わせて学ぶ内容になっています。評価の種類を列挙して覚えるよりも、評価における教師としての頭の働かせ方を体感することのほうに重点をおきたい。ワークショップ型の講義で国語科の活動を体験し、その体験をみずから振り返ることが、そうした「頭の働かせ方」につながるように感じています。この講義は活動

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          国語科評価論ーリレー詩を手がかりに(5,900字)

          こんな質問があった

           書くことの授業づくりに関する大学生からの質問。  受講者の学習の記録の中に、このようなコメントがあった。「締め切り」というのは、たとえば45分の授業内で文章を完成させる目標や計画を示すことだ。しかし、作文を書くペースには個人差が大きいので、45分では時間が足りなくなる生徒もいれば、早くに書き上げて時間が余る生徒もいる。書く力を育てる学習指導において、生徒一人ひとりのペースを大切にすることと、締め切りの設定とを両立させる方策には、どのようなものがあるか。時間が足りない生徒、

          こんな質問があった

          ミニ模擬授業(4,100字+α)

           模擬授業をする講義です。90分間の講義の中で、受講者全員が45分ないし50分の模擬授業をすることは現実的にはなかなか厳しいものがあり、進め方や時間配分に毎回頭を悩ませます。教師役と生徒役の2人組で交代してやるだけなら90分間で何とかおさまりますが、授業展開を複眼的・客観的に検証するためには、3人以上の人数で取り組ませたい。その中でいまベターな方策としてたどりついている三つの方法について書きました。難易度的には2→1→3の順番に難しくなると思います。  「おわりに」をまだ書け

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          ミニ模擬授業(4,100字+α)