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講義集(仮)

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刊行の計画があるため、各記事は原則的に有料にしています。国語教育学のテキストのようなものです。タイトルの案の一つは「構想力を育む国語教育の実践的展開」。よろしくお願いします。
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記事一覧

「リレー詩をつくろう」の評価結果

はじめに  講義の一コマとして、フィードフォワードする評価について、以前に書いたことがあった。共同詩の一種であるリレー詩の制作を通して国語科評価の本質に迫りたいという内容について、講義で活動に取り組むことを想定して書いたものだった(というか、実際に講義で行った内容)。  上の記事では書かなかったが、この講義の後半において、「自分の作ったリレー詩を評価する」、そして「リレー詩という国語学習そのものを評価する」という活動を設けていた。今回の記事では、この活動において学生からど

こんな単元できたらいいな、こんな教師になれたいいな。

 先日の「国語単元学習」の記事の中で、「国語単元学習を構想・実践していくための要件/必要なこととは何だと思いますか。読んだ資料を手がかりに、書き出してみてください」という問いかけについて書いた。  この問いを実際に授業で学生に投げかけてみた。学生からは次のような考えが挙げられた。予め私が選んでおいた、国語単元学習の実践報告を読んだうえで考えた内容である。 1) 個人での学習と全体での学習をうまく組み合わせて授業を進めていくこと。 2) グループや小集団で学びあう時間を設

国語単元学習(7,700字)

 国語単元学習の授業分析と立案演習です。国語科授業方法論の仕上げに当たる内容として行います。この記事では、もと90分授業2回分だったものを1回に集約して書きました。そのため文字数のわりに時間がかかるかもしれません(というか文字数も多いかもしれない)。扱っている資料1~4のうち、資料2と3は、別の実践資料に代替することもできると思います。  この講義に取り組む必要感をもってもらうために、下記のレポート課題を並行させていました。課題を必然性の種にするというのは、若干荒業ではあるの

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画用紙の回し書きブレインストーミング

 講義の中で、小学校国語教科書教材の研究をするにあたり、教室に一枚の画用紙を回して、ブレインストーミングをしたことがある。記録によれば2013年度前期の講義だった。取り上げた教材は「お手紙」と「テレビとの付き合い方」。このタイトルを私が画用紙中央に書き込んでおいた。その周囲に、受講者が、連想した言葉、思いついた言葉を順々に書き込んでいく。その結果できあがったものがこちら。  「手紙が返ってこないさみしさ」っていう書き込みが隅っこにありますね。いい感じだ。 「部屋を明るくし

文字数の目安とエピグラフ用

文字数21万字。これは私の博士論文(公刊バージョン)の文字数情報。いまの作業の目安として記録しておく。 エピグラフのリスト アダム・スミスが『国富論』の中で言っていることですが、そもそも文明の大きな進歩というものは「個人」が生み出すもので、「政府」からはけっして生まれてこない。ですから集団の一員ということではなく、独立した「個人」というものが尊重されなければならない。 ――ジェームズ・ワトソン 吉成真由美編(2012)『知の逆転』NHK出版新書、p.267 * 人間は自

ことばについて探究する人間(4,000字)

 中学校・高等学校国語科教育論の入門的内容であり、詩の授業方法論です。中等国語科教育法で「国語科の学習をつくるための重要事項を考える」と題して行ったこともあります。谷川俊太郎「はる」を取り上げていますが、別の詩教材を使うこともできると思います。  この文章は、2021年3月に佐賀県中学校教育研究会国語部会が発行した『創立六十周年記念誌』に特別寄稿として掲載されており、それが初出になります。掲載にあたり、加筆し、「わたしはいつまでものぼってゆける」と改題(「はる」の一節です)し

ポートフォリオ評価法と国語科(8,000字)

 国語科の評価論です。主に取り上げたのは、ポートフォリオ評価法、大村はまの国語学習記録、青木幹勇の目標意識、それに中教審の「主体的な学び」です。評価を通してことばを育てる意義と方法を述べました。最後に、みずから講義の目次とあとがきを作ってみようというワークを行うことを想定しています。二つの別々の講義内容をまとめて作成したので、うまくつながっていないところがあるかもしれません。もっといいタイトルがある気がする。 * *

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国語科評価論ーリレー詩を手がかりに(5,900字)

 国語科における評価論です。「リレー詩をつくろう」(上條晴夫(2004)『ワークショップ型授業で国語が変わる 中学校 <参加・体験>で学びを深める授業プラン15』図書文化所収)という活動と組み合わせて学ぶ内容になっています。評価の種類を列挙して覚えるよりも、評価における教師としての頭の働かせ方を体感することのほうに重点をおきたい。ワークショップ型の講義で国語科の活動を体験し、その体験をみずから振り返ることが、そうした「頭の働かせ方」につながるように感じています。この講義は活動

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ミニ模擬授業(4,100字+α)

 模擬授業をする講義です。90分間の講義の中で、受講者全員が45分ないし50分の模擬授業をすることは現実的にはなかなか厳しいものがあり、進め方や時間配分に毎回頭を悩ませます。教師役と生徒役の2人組で交代してやるだけなら90分間で何とかおさまりますが、授業展開を複眼的・客観的に検証するためには、3人以上の人数で取り組ませたい。その中でいまベターな方策としてたどりついている三つの方法について書きました。難易度的には2→1→3の順番に難しくなると思います。  「おわりに」をまだ書け

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師範授業に学ぶ(4,700字)

 小学校国語科授業の映像記録から実践的な授業技術を学ぶ内容です。模擬授業に取り組む前に実施することが多いです。教材としては、教育委員会がYoutubeにアップした授業映像を2本活用しました。手持ちのビデオや、リアルの公開授業の参観に差し替えても実践できると思います。講義時間でじっくり見ていると90分では終わらないので、映像視聴を予習とする、早送りしたり飛ばしたりする部分を決めておく、などの下準備をしています。いま振り返ると、学習の進め方に示した⑤~⑦のプロセスにおいて、下記の

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国語科授業の設計と改善・入門編(6,200字)

 国語教育入門といった趣で、主に小学校国語科指導法の初回か最終回に実施してきました。初回にする場合も最終回にする場合も、診断的評価というか、国語教師をめざすにあたって自分はいまどういう状態にあるのかを見つめ直す機会をつくろうとしたものです。養成段階の学生を対象にしているので「入門編」としてみました。授業の冒頭、教科書教材の音読、日本語検定の一部を試しに解いてみるなど、今回の内容に関わるアクティビティを取り入れることが多いです。教科書教材を指定して、いきなりのミニ授業を実演して

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作文教育の背景と課題(9,200字)

 作文教育論の実践編です。主に小学校国語科を想定し、作文教育を考える大前提として添削指導の問題点と、作文能力の発達を取り上げました。第2節で取り上げた国立国語研究所『児童の作文能力の発達』という本が刊行されたのは50年以上前です。発達に関するより新しい本もありますが、この本の価値は衰えていないと思います。第3節には「課題を乗り越えるための授業アイディア四選」という節を設けて、私が選んだ実践事例を紹介しました。しかしこれは受講者の課題にしてもいいかもしれない。ある程度まで実践事

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書くことをどう教えるか(9,600字)

 国語科における書くことの授業方法論です。小学校・中学校段階を想定しています。原稿用紙を使って何枚もの文章を書く、という活動は取り上げていません。それ以外の方法で生徒たちの書く力にいかにアプローチするか、教室の中で書く活動にいかに親しみをもってもらうかに焦点を当てています。2⑸の趣旨は、「枠組み作文」の講義で述べたこととほぼ同じですが、別の学習活動を取り上げています。 * *

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話すこと聞くことをどう教えるか(8,700字)

 小学校国語科における話すこと聞くことの学習指導の方法論です。この講義は2020~2022年度に、従来の講義内容をオンラインに変換する中から生まれてきました。この変換作業は、多くの先生方がそうであったように苦労が多く、対面授業にはあった活動性や対話性をそぎ落としていくという味気ない作業でした。しかしそれによって、私自身は実践資料に向き合うことができ、その意義を掘り出すような学習を生み出す時間になりました。 **

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