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高大接続と教師教育

 下記の記事において、キャリア意識形成の一環として行われる高校出前授業は、学習センターの一種と捉えられるのではないかと書いた。複数のブースを設け、生徒は自分の関心に近いブースに参加し、それぞれのブースの内容が同時並行的に進められる。この進め方、考え方は、教室を学習センターにしてその中にコーナーを並置する発想と近い。講師を数名呼ぶなどの条件はあるけれど。

 これをもっと推し進めて、生徒の好奇心を調べ、実際に体験をさせることまでが視野に入っている。

 生徒の好奇心を育てるもう一つの方法は、仕事をさせることです。インターンシップやジョブ・シャドウイングとは何かを教えたうえで現場に連れ出せば、ある職業に従事する意味が学べます。
 その後、関心の高かった職業を中心にしてローテーションをつくり、進路について探究するように促します。その成果は、各コーナーのなかでフリップグリッド、ショート・ムービー、文章の記述などといったさまざまな方法で共有可能です。

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 一斉授業として複数の職場体験や職場見学を行った後、このような探究活動を行うのだろうか。総合学習のような形でキャリア教育を行い、結果、自分の好奇心を育てることができるかもしれない。地域との連携、学校教育に協力的な企業や社会人の発掘が鍵を握る。

 もし、周囲にいる職業人とつながりがもてない場合は校内を探してみてください。管理職、教師、言語聴覚士、ソーシャル・ワーカー、食堂の調理員など、校内にあるさまざまな仕事について考えてみましょう。一日だけ生徒と役割を入れ替わり、それぞれの仕事がどのように行われているのかを体験するのもよいでしょう。ロール・プレイは、好奇心や想像力を養う効果的な方法です。各コーナーにおいて生徒は、仕事をするとはどういうことかを実感するでしょう。

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 一つ前の引用で述べたことの、学校内バージョン。学校内だけでも多様な職種が働いているんだよ、ということで、それを積極的に活かしていく方向性である。

さらに、関心の高い職業に関するコーナーを設置して(あらかじめ生徒に尋ねておく)、それらの職業の典型的なアイテムを配置するという方法も考えられます。生徒は、それらのアイテムをよく見て、それがどのような仕事に使われているのか、その仕事は自分に合っているのかを考えます。

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 このアプローチは現実的かもしれない。どのような職業に関心を持っているかをあらかじめ生徒に調査しておく、という進め方もスムーズにできそうである。肝心なのは「典型的なアイテム」の選び方であろう。例えば学校教員にとっての「典型的なアイテム」とは何だろうか、何を選べば生徒たちはしっかりと考えることができるか。こういう見極めが重要になってくる。

 今の高校ですぐに実践できるかどうかという基準だけでいくと、ほとんどのことが論じられなくなってしまいそうではある。しかし、可能性を見ておくことは常に必要なことだ。ちょっと中途半端ですが一旦ここで。

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