見出し画像

ワークショップ初心者がコーディネーターまでできるようになった話【vol.4】

ワークショップ初心者の私が、3年間でどうやってワークショップのコーディネーターをできるようになったのかを話します。

ワークショップとの出会い

私がワークショップと出会ったのは、大学2年生の2018年7月でした。それまで高校や大学で演劇をやっていたのでワークショップというものに参加した経験はありました。

しかし、意見集約や合意形成などのために行われるワークショップへ参加したのはこの時が初めてでした。
このとき行われたワークショップの内容は、新しくできる道路のインターチェンジ設置個所の場所を検討するというものでした。
様々な自治会の参加者がおり、議論が活発になっていたのが印象的でした。

 このワークショップに参加したことをきっかけに、私もワークショップの進行ができるようになりたいと思うようになりました。

そんなとき、ちょうどワークショップのファシリテーターを養成する、「鳥取大学まちづくりファシリテーション研究会」(通称ファシ研)が設立されることを知りました。
そこで、早速ファシ研に申し込みをしました。

ファシ研の活動記録

ファシ研に入ってからの活動記録は次の通りです。

ファシ研活動記録

この表には、主に実際にワークショップに参加したものを載せていますが、最初のころは、ファシ研のメンバーと座学と練習をたくさん行いました。
練習を行って、初めて2019年10月19日に書記としてワークショップに参加しました。

その後、まずは学生のワークショップでファシリテーターを務めました。そして、2021年7月25日に自治体のワークショップでファシリテーターを務めました。

多くのワークショップで経験を積み、ついに2021年10月15日に中学生ワークショップでコーディネーターを務めました。 

さて、これらの活動をどんなモチベーションでやっていたのでしょうか。

ワークショップのモチベーショングラフ

モチベーショングラフ

それを示したのがこちらのグラフです。

グラフにある通り、モチベーションの時期は3つあります。修業期、苦戦期、研鑽期の3つです。1つ1つを振り返ってみます。

修業期は、2019年7月から2021年6月頃までです。2019年7月にワークショップに出会い、2019年9月にファシ研に入りました。
ファシ研で活動する中で座学での学びを練習で実践でき、さらに成長も実感できたのでモチベーションが上がっていきました。
2019年10月末には初めて学生のワークショップでファシリテーターを行い、たくさんのアイデアを出してもらえました。この成功体験はモチベーション向上に大きく寄与しました。

 しかし、挫折もありました。それが挫折期の2021年7月です。その時に、私は初めて住民ワークショップでファシリテーターをしました。初めてでもうまくできると思っていた私でしたが、実際は、私のグループだけなかなか意見が出ませんでした。他のグループが楽しそうに話をしている様子を横目にしながら、私はすっかり自信を失ってしまいました。
先生からは「そもそもテーブルに向かう身体の立ち位置がよくない」と指摘されました。
基礎的なこともできておらず、どうしてよいかわからず頭が真っ白になっていました。

このワークショップを受けて、今後ファシリテーションをどうやって上達していいか悩むようになりました。

しかし悩んでいても何も進歩しないので、色々なワークショップに参加することにしました。それが、2021年8月から2021年10月の研鑽期にあたります。
ワークショップに書記や参加者として参加する中で、俯瞰的にワークショップを見ることができました。そうすることで、自分なりにどういうワークショップが良いか見えてきました。具体的には、後述します。
ワークショップのことが段々とわかってくるとモチベーションも上がりました。そして、ついにコーディネーターとしてデビューすることができました。

ここからは、いくつかのワークショップを具体的に紹介します。

アイデアだし最強フレームワーク:ブレインライティング

ファシ研では、メンバーでワークショップの練習をします。
1人がファシリテーター役、その他のメンバーが参加者役となりワークショップを実践します。ファシリテーター役になるとワークショップを設計しなければなりません。一体どんなワークショップをすればよいのだろうか、できるのだろうか、と不安でした。

ちょうど、そんな時にツナガルドボクという団体から「土木×スイーツでアイデアをだしてほしい」と依頼がありました。そこで、自分の番が来た時に、土木×スイーツのアイデア出しをすることにしました。
今回は、たくさんのアイデアを出すことが目標だったので、ブレインライティングという手法を用いることにしました。簡単に説明すると、連想ゲームみたいに1人目のアイデアをもとに次の人もアイデアを出していくものです。多くのアイデアを出すときに有効な手法なのでもう少し知りたい方は「ブレインライティング」で調べてみてください。
ワークショップでは100個以上のアイデアが出ました。この成功体験が自信へとつながりました。

ちなみに、ここで出たアイデアはツナガルドボクが地元の洋菓子店と協力して実現しました。

うまくいかないこともあるワークショップ

しかし、モチベーショングラフでも書いたように自治体からの依頼で受けたワークショップにファシリテーターで参加した際、ファシリテーターとしての自信を無くしました。
この時のワークショップの内容が環境に関するものでした。環境は概念が幅広いため、参加者がワークショップで意見を出しにくいことは容易に想像できていたと思います。
しかし、大学でワークショップの練習をやってみたときはうまくいったので成功するイメージしかありませんでした。大学での成功に引っ張られて意見が出ないときの対処方法を考えていませんでした。
ワークショップはいつも成功するとは限らないので、うまくいかなった時にどう持ち直していくのか考えることが大切だと痛感しました。

 

挑戦が成長の元

私は、失敗したからといって、ファシリテーターの上達をあきらめませんでした。
もう一度、ファシリテーターが何をやるべきなのか見直すために、ファシリテーターではなく参加者や書記として参加していました。
ファシリテーターとしてうまくいかなかったからこそ、書記や参加者としてワークショップをよいものにしたいという思いもありました。
よきワークショップにするためには、人がどんなことを言っているのか俯瞰的に見る必要があります。書記や参加者になることで、ワークショップを一歩引いた目で見ることができたました。
そのような中で、ワークショップの本質が何か考えるようになりました。自分なりの良いワークショップ像が見えてきました。

 

何度も修正するワークショップの設計

ワークショップのことをだいぶわかってきたところで、自治体の依頼で中学生ワークショップのコーディネーターをやらせていただく機会がありました。

ワークショップを行う前は、コーディネーターとして、ワークショップの設計を行いました。設計を行った際は何度も以下のようなやり取りをしながら修正を行い完成しました。自分では、うまく設計できているつもりでも、打ち合わせなどを行う中で自分の設計の甘さを痛感しました。

当日は、70人の中学生とワークショップを行い無事に成功しました。そして、自治体の方から感謝の言葉をいただきました。


ここまで、何度か良いワークショップ像についての話がありましたが具体的には書いていませんでした。

私の良いワークショップ像とは

そこで、ここから私なりに考えた良いワークショップ像を紹介します。

まず、ワークショップについて辞書を調べてみました。人事労務用語辞典によると、ワークショップとは「元来、「工房」「作業場」など協働で仕事を行う“場”を表す言葉」のようです。そして、世界大百科事典によると、工房とは「職人や芸術家(工匠)の仕事場」のようです。つまり、工房は、何かが創造される場所といえます。これらから、ワークショップとは協働で何かが創造される場所と定義できそうです。

この定義に従って、ワークショップの具体的な場面を考えてみます。

ダメな例

この図は、会話が一方通行で行われていて、話し合いによって何も生まれていません。これでは、先ほど定義したものに反するので良くないワークショップです。そして、その原因はファシリテーションがうまくできていないからです。

次の図はどうでしょうか。

成功例

この図は、会話が双方向に行われて、話し合いによって新しいものが生まれています。先ほど定義したものに合致するので良いワークショップ像です。

良いワークショップ像を目指して私はこれからも頑張ってワークショップに参加していきたいです。

まとめ

いかがでしたか。

ワークショップ初心者でも「段階を踏んでいけば」、いつかコーディネーターとして活躍できる時が来ます。 

次回もお楽しみに。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?