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天才を殺す凡人—職場の人間関係に悩むすべての人へ

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はじめに
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こんにちは。伊藤 航です。
いつも本の紹介をご覧いただき、誠にありがとうございます。

本日は株式会社ワンキャリアの最高戦略責任者である北野 唯我さんの『 天才を殺す凡人―職場の人間関係に悩むすべての人へ 』をご紹介いたします。

人の才能は3種類ある

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 人間が抱えるほとんどの悩みは一緒だと著者は述べています。
それは『 自分のコントロールできないことを、無理やりコントロールしようとすること 』です。たとえば、以下のようなものが挙げられます。

・仕事で部下が言うことを聞かない。
・相手の気持ちをおろそかにして、無理やり話を進めようとする。
・自分の外見や家柄を理由に、できない理由を語る。

そして、人間が一番コントロールしたがるけど、一番の悩みのもとになるものは『 自分の才能 』だと言います。つまり、人が一番思い悩む根本は『 自分の才能をコントロールしようとしたとき 』です。

皆さんは、思い当たる節はありませんか?

・もっとカッコよく生まれたら
・もっとお金持ちに生まれたら
・もっと器用だったら
・もっと賢かったら
・あと5センチだけ背が高ければ

しかし、著者の北野さんは悲観する必要はないとおっしゃっています。
それは『 自分の才能に気づいていないだけ 』だからです。

人の才能は「 創造性・再現性・共感性 」の3種類があります。
そして、著者はそれらを「 天才・秀才・凡人 」と分類しています。

1. 独創的な考えや着眼点を持ち、人々が思いつかないプロセスで物事を進められる人(創造性)⇒ 天才
2. 論理的に物事を考え、システムや数字、秩序を大事にし、堅実に物事を進められる人(再現性)⇒ 秀才
3. 感情やその場の空気を敏感に読み、相手の反応を予測しながら動ける人(共感性)⇒ 凡人

本書のタイトルにもありますが、天才は変革の途中で凡人に殺されることがあるそうです。いったい、どういうことでしょうか?

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凡人が天才を殺す理由

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世の中には、天才と呼ばれる人がいる。天才は、この世界を良くも悪くも、前進させることが多い。しかし、彼らは変革の途中で、殺されることも多い。それは物理的な意味も、精神的な意味も含めてだ。

その理由のほとんどは『 コミュニケーションの断絶 』によるものです。
そして、これは『 大企業がイノベーションを起こせない理由 』と同じ構造だと著者は言います。

組織には天才が率いる時代がある。しかし、その時代が終われば、次は秀才が率いる時代が来る。そのとき、組織は凡人が天才を管理する時代に突入する。そして、天才は死んで『 イノベーション 』を起こせなくなる。

天才の役割とは、世界を前進させることです。そして、それは『 凡人 』の協力なしには成り立たない。そして『 商業的な成功 』のほとんどは、大多数を占める凡人が握っていることが多い。

しかし、凡人 ⇒ 天才への気持ちは、概して冷たいものだと言います。凡人は、成果を出す前の天才を認知できないから、できるだけ排斥しようとする傾向にあります。コミュニティの和を乱す異物に見えるからです。

この『 天才 ⇔ 凡人 』の間にある『 コミュニケーションの断絶 』こそが、天才を殺す要因となります。話しても伝わらない状況が生まれるのです。

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多数決は「天才を殺すナイフ」

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天才は『 創造性 』という軸で、物事を評価する。対して、秀才は『 再現性(≒論理性)』で、凡人は『 共感性 』で評価する。

より具体的に言うと、天才は『世界を良くするという意味で、創造的か』で評価をとる。一方で、凡人は『その人や考えに、共感できるか 』で評価をとる。つまり、天才と凡人は『軸』が根本的に異なる。

本来であればこの『軸』に優劣はない。だが、問題は『人数の差』にある。人間の数は、凡人>>>>>>>>>>>天才。つまり、数百万倍近い差がある。だから、その気になれば、天才を殺すことはきわめて簡単である。歴史上の人物で、最もわかりやすい例は、イエス・キリストだと書かれています。そして、それはビジネスにおいても同じであると書かれています。

AirbnbやUber、iMac のような革新的なサービスが一番最初に生まれたときは、常に『 凡人によって殺されそう 』になることがほとんどだそうです。その理由は、凡人は成果を出す前の天才を理解できないからです。

凡人には武器があると述べています。天才を殺すことができるナイフを持っている。そのナイフの名は『 多数決 』です。実はこれが、大企業でイノベーションが起きない理由と同じだと言います。

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大企業でイノベーションが起きない理由

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大企業でイノベーションが起きない理由は、3つの『軸』を1つのKPI*で測るからです。*KPI(Key Performance Indicator)=重要業績評価指標

革新的な事業というのは、既存のKPIでは絶対に測れない。例えるならそれはアートのようなもの。すべての偉大なビジネスは 『 作って⇒拡大させ⇒金にする 』 というプロセスに乗るが、それぞれに適したKPIは異なる。そのうち、『拡大』と『金にする』のフェーズのKPIは、わかりやすい。

拡大は『事業KPI』で見られるし、金を生むフェーズは『財務上のKPI』で測ることができる。しかし、問題は『創造性』です。言い換えれば『天才かどうか』を、測る指標がないということです。

本当に創造的なものは、まだ見たことないようなもの。それは、はっきり言って “定義なんてできない” ものです。正確に言うと、“直接” は定義できない。それらは、社会からの『反発の量』で間接的に測ることができます。

具体的には『共感性の世界に生きる人からの初期の反発』です。本来、企業は破壊的なイノベーションを起こすには『反発の量(と強さ)』をKPIに置くべきだが、これは普通できない。なぜなら、大企業は『多くの凡人(=普通の人)によって支えられているビジネス』だからです。反発の量をKPIに置き、イノベーションを加速させることは、自分の会社を潰すリスクになる。

これが、破壊的イノベーションの理論(クレイトン・M・クリステンセン)を人間力学から解説した構造です。

本書では、天才を救う唯一の方法として、『天才・秀才・凡人の才能論』を挙げています。2つの才能を掛け合わせた人物がコミュニケーションの断絶を防ぐ役割をしていると述べています。たとえば『創造性と再現性』『再現性と共感性』『共感性と創造性』の組み合わせです。

・『創造性と再現性』:エリートスーパーマン
 ⇒創造性あり、再現性・論理性あり、ビジネス大好き
・『再現性と共感性』:最強の実行者
 ⇒会社のエース。どこでも活躍するが、革新は生まない
・『共感性と創造性』:病める天才
 ⇒天才と凡人を橋渡し。構造的に捉えるのが苦手

さて、あなたはどの才能の割合が一番大きいでしょうか。著者の北野さんはどんな人でも創造性・再現性・共感性のすべてを持ち合わせていると言います。しかし、それぞれの割合の大きさによってその人の強みが変わってきます。その強み(才能)をどう活かすかが一番大切だと書かれていました。

限りある人生で才能を活かすことができたら、とても素晴らしいですね。

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おわりに
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今回ご紹介した本書の要点をまとめると以下のようになります。

❶ 人の才能は3種類ある
1. 独創的な考えや着眼点を持ち、人々が思いつかないプロセスで物事を進められる人(創造性)⇒ 天才
2. 論理的に物事を考え、システムや数字、秩序を大事にし、堅実に物事を進められる人(再現性)⇒ 秀才
3. 感情やその場の空気を敏感に読み、相手の反応を予測しながら動ける人(共感性)⇒ 凡人
❷ 凡人が天才を殺す理由
その理由のほとんどは 『コミュニケーションの断絶*』 によるもの。組織には天才が率いる時代がある。しかし、その時代が終われば、次は秀才が率いる時代が来る。そのとき、組織は凡人が天才を管理する時代に突入する。そして、天才は死んで 『イノベーション』 を起こせなくなる。
*コミュニケーションの断絶=話しても伝わらないこと
❸ 大企業でイノベーションが起きない理由
3つの軸、「創造性」「再現性」「共感性」を1つのKPI*で測っているため。革新的な事業というのは、既存のKPIでは絶対に測れない。例えるならそれはアートのようなもの。すべての偉大なビジネスは 『作って⇒拡大させ⇒金にする』 というプロセスに乗るが、それぞれに適したKPIは異なる。
* KPI(Key Performance Indicator)=重要業績評価指標

※上記文章は日本経済新聞出版社『天才を殺す凡人―職場の人間関係に悩むすべての人へ』より一部抜粋しています。


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