2021年ベスト展覧会 評判分析(2/5) アナザーエナジー 森美術館史上最高のグループ展でしょう。【アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人】森美術館

年間の便りから抜書して、【2021年展覧会ベスト5】をはじめてnoteに転載。冒頭は全ての記事にありますので本題を早く読みたい!という方はお読み飛ばしください。

2021年は現代美術の展覧会へ97個。
当記事は2021年12月21日に作成しました。詳しくは各館HPへ)

今年も個人偏見を避けようと周囲の評価やインターネット評判も集めて合計点で合算制。
心做し公平でありたいとはじめたレビューを笑覧ください。
とはいっても個人の域でございます 具には【評価基準】をご照覧ください。

【評価基準】
  30年近く美術業界に。一角の学会と美術館に非常勤勤務 原文同一性研究(このような分野)から最近はジェンダーハラスメント・フェミニズム研究に傾倒 素人のデータ分析の一環として挑んでおります
<持ち点25点>

旦那 ニューヨークの美術館で長く勤務のアメリカ人 現在引退 我が家では現代の絵画解説係 
<持ち点25点> 

夫婦が出会った美術関係者の会での評判
<持ち点15点> 

インターネット、雑誌、新聞の評判
<持ち点35点> 
雑誌と新聞は可能な範囲で追いかけました。
インターネットはツイッターとインスタグラムを手動で統計 インスタグラムが5倍以上多い傾向、それ以上か。年々差がついています。統計とありますもののキャプチャーは拒否される方がおりますのでしていません、悪しからず。

◇今年の研究特記
アナザーエナジーの記事で書きましたが、ソーシャルメディアを調べているとほぼすべての美術展には、嫉妬、怒りの意見が稀に見られます。展覧会は公的なものとしてコレ自体はいいものの、ほとんどが20~40代男性に集中しているという、ジェンダー研究の端くれとしては関心を寄せるべきサンプルがみられました。専門家でもまれに。関係する会でも会長不祥事があったところです。ジェンダー意識の研究素材として、収集中、発表場所を模索しています。

これ、私は残念ながらヘイトの源泉と睨みます。ソーシャルメディアでの言論についてはアメリカでこのような論文もあります。https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abe5641(訳:ソーシャルラーニング(ソーシャル上での承認行為)が道徳的怒りやヘイトクライムの表現を促進する)

妬み怒りで中身のない文章、本題(美術でいえば作品)と向き合えていないという特徴、これもヘイトの傾向と類似するのですね。便り読者の方々、あなたは大丈夫ですか。そうなっていませんか?

そして我々親世代の皆皆様。写真映え、流行りという感想は、頭の悪さを露呈してしまいますよ、注意しましょう。



【写真について】

写真はなしで統一。(昔トラブル体験者)
写真拝見は其々の美術館サイトや、noteの皆さんの感想、
150以上の展覧会の画像ありレビュー集(これはすごいこと!)のアートテラー・とに~さんのblogを推奨いたします。
あまねく分野の展覧会のレビュー画像掲載ありです。
noteの写真量に驚き、転載をトライしたのでした。

ネタバレ防止で作品解説少なめ。個人の感想多めです。筆が進みやすかった順に順不同。

しまった、メモを取り忘れた…先週の読売新聞か日経で、どなたかも必ずベストに挙げられています。論座でも拝読。

森美術館、来場者数が多くて調べるのが大変ですが、称賛の声多し。今年ベスト3の呼び声高し。

これは森美術館史上最高のグループ展といって差し支えないでしょう。コロナの混乱か、異例の延長中。必見ですよ。

わたくしたちは雨に霞む7月に行きましたよ。

企画は片岡真実(森美術館館長)とマーティン・ゲルマン(インディペンデント・キュレーター)氏。片岡氏は最近館長に就任されており、アイ・ウェイウェイ展、会田誠展などを歴任されています。

インターネット上では「圧倒的パワーが最高」「トップクラスに痺れるくらい」「彼女らが紡ぐ言葉や思いにとてつもない重みと尊さを感じた」「ここ最近行った展示の中で一番良かった」「アナザーエナジー展、回りながら涙出そうに」
などのgoodな感想で溢れている。

近年、ジェンダー、人種、民族、信条など多様なアイデンティティの不均衡を正し、ダイバーシティ(多様性)を重視する動きが世界各地に広がっています。現代アートにおいてもこの10年ほどの間、1950年代から70年代に活動を始め今日まで継続してきた女性アーティストたちに注目が集まっています。
「アナザーエナジー展」では、今なお世界各地で挑戦を続ける70代以上の女性アーティスト16名に注目し、その活動に光を当てます。16名の年齢は71歳から105歳まで(*1)、全員が50年以上のキャリアを誇ります。また、出身地は世界14カ国におよび、現在の活動拠点も多岐にわたります。彼女たちは、それぞれが置かれた環境や時代が激しく変化し、美術館やアート・マーケットの評価や流行が移り変わるなか、それらにとらわれることなく独自の創作活動を続けてきました。


【私の感想】
森美術館史上最高のグループ展でしょう。

まず第一にとんでもなく素晴らしいコンセプト。作品の素晴らしさ、すきのないキュレーションの技。
館長、お見事の一言。森美術館に限らず、近年の都内美術館ではもっとも優れたグループ展のひとつ。ではないでしょうか。

過激でない、洗練された作家さんらですが、ひしひしと熱の伝わるエネルギーがあるのです。オーバー70関係なく、エネルギーあります。絶対に見て欲しい。

わたくしはトップバッターのフィリダ・バーロウ、カルメン・ヘレラ、ミリアム・カーンがよかったですよ。

フィリダ・バーロウは、思い通りにならないアンバランスな状態が、女性の身体を示しています。ミリアム・カーンはユダヤ人女性です。アトミックボムシリーズが最高傑作だと思いすから、シリーズで見たかったですよ。

元学芸とも少し会話しましたが、森美術館は明々白々、館長が代変わりしてから面白くなった。
いままでクエスチョンがあるグループ展が多かったんですね。バッドな例では、未来と芸術展、建築の日本展、宇宙と芸術展、数回の六本木クロッシングと、森美術館の質を。という思いがありましたよ。
森アーツ・センターは、美術館ではないので除外するとして、美術館はどうなのよ。と。

そういう意味では、館長の腕は大きいと思わされましたよ。

ひとつだけ。アナザーエナジーは枠組みにインパクトありで、敏感に応じてしまう。おなじく、女性であり高齢者というのは、声をだしづらいキャッチコピーでもある。偶々集めたのがこうだった、といえたらどれだけいいのだろう。作品はそんなことないときあるんだけどなとつぶやいていた夫婦でした。



【旦那】 
「フィリダ・バーロウはニューミュージアム(ニューヨーク)で見たの記憶にある?(私 覚えてなかった。)海外だったらもっと話題になるね、巡回しないのかな。いま、すごく評価されると思う。斬新なコンセプトで明白。アートにとってアンダーは意味ないけどオーバーはユニークな発想だと気付かされた。COVIDと医療の話にも思った。」

ミリアム・カーンを近くでみつめすぎて注意を受けました。係の人、申し訳ありません。


【インターネット、雑誌、新聞の評価】
👍96% GOOD
今年ベストと評する声も多し。上述のように新聞でもいくつか読みましたよ。

数字についてインターネットはツイッターとインスタグラムを手動で統計 漏れもありますが今年もがんばりましたよ。インスタグラムが3〜5倍以上多い傾向、それ以上か。年々差がついています。詳細はここ

はて、この記事が私にはとてつもなく面白かったし、わたくしの言いたいことを結構言ってくださっている。


閑話休題 ◇今年の研究特記
インターネットを調べていると美術展には稀に、嫉妬、怒りの意見が見られます。美術展は公的に催されているものとしてコレ自体はいいものの、ほとんどが20~40代男性に集中しているという、ジェンダー研究の端くれとしては関心を寄せるべきサンプルがみられました。

これ、私はヘイトの源泉と睨みます。
妬み怒りで中身はからっぽな文章。本題(美術でいえば作品)と向き合えていないという特徴も多いです。庵野展、村上隆展でも傾向が本当に同じ。
実例をここでお見せしたいがレギュレーション違反。これもヘイトの傾向と似るんですね。

ジェンダー意識の研究素材として収集中。発表場所を模索しています。便り読者の方々、あなたは大丈夫ですか。そうなっていませんか?


兎にも角にも海外に巡回を願います。

2022.1.16(日)まで。


◇ 
公式図録を購入しましたよ。

本展を企画したキュレーター2名(片岡真実、マーティン・ゲルマン)による主論考2本や、各出展アーティストの個人史や作品の変遷に焦点を当てた世界各地の専門家による論考16本、本展の展示風景図版と作品リスト、さらにアーティスト略歴と参考文献リストを掲載。
それぞれのアーティストの人生の歩み、作品に影響を与えた社会情勢、文化的背景など、アナザーエナジー展のアーティスト達の活動や作品を、多角的な視点から深く理解することができる専門的な内容の一冊です。


私は入らなかったですが読者の皆さんはいかが?

復活!「アーティスト同世代無料」キャンペーン
期間限定で「アナザーエナジー展」出展アーティストと同世代の72歳から106歳の方を対象に、入館無料サービスを実施します。50年以上のキャリアを経て、今なお現役で活躍する彼女たちの圧倒的なエネルギーを、ぜひ展示室で体感してください。



2021年展覧会ベスト5

◇傑作。アメリカ超重要作家の個展、絶対に見てほしい 【ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?】 ポーラ美術館

森美術館で最高のグループ展【アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人】森美術館

若き日の伝説の展覧会になるでしょう【ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGEN STUDIO AFTER THE RAINBOW】東京都現代美術館

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天才とはこの人のこと。彫刻の底力 【マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在】 東京都現代美術館


次点
◇ジャム・セッション 石橋財団コレクション×森村泰昌 M式「海の幸」ー森村泰昌 ワタシガタリの神話 アーティゾン美術館
◇イサム・ノグチ 発見の道 Isamu Noguchi: Ways of Discovery 東京都美術館
◇石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか 東京都現代美術館
◇イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜  三菱一号館美術館

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