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自分が今回紹介したいのは

「一瞬の風になれ」

である。この小説に出会ったのは確か中学のときで、五木の現代文のテストの題材にたまたまなっていたのをよく覚えている。


春野台高校に入学した主人公の神谷は中学まではサッカー一筋だったがあまり良い選手とはいえなかった。サッカーの才能に恵まれている兄への意識や、幼なじみの一ノ瀬連の走りを見たことなどがきっかけとなって陸上部に入った神谷は陸上の世界でも才能の存在を見せつけられるががむしゃらに食らいついていく。その中で人間関係や競技、運命などの様々なことに悩みながら立ち向かっていく。


全3巻あり、すべて主人公神谷の一人称で物語は進んでいく。これは今回紹介するか迷った「桐島部活やめるってよ」にも共通するが、青春小説においてはこの一人称がよく合う気がする。利己的で、他人の意見なんてなにも聞けなくて、でも色々思うことはあって一丁前に他人に聞いてほしいとは思っている。そういう思春期の一人称感というようなものが上手く表れているのがこの作品である。


陸上競技の描写も細かく、できるだけ無茶な展開は避けており本当に物語中の高校生活を送ったような気にさせてくれるのでおすすめしたい小説のひとつである。

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