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「合う場所」に自分を置いてあげること。

「母ちゃん、ぼく明日がだいっきらい。」

幼稚園に通っていた頃、息子が寝る前によく言っていた言葉だ。

なんて悲しい言葉なんだろう。

息子の横で添い寝しながら聞くその言葉は、私の頭の中にクッキリとこびりついて離れない。「息子からのSOS」とも言えるその言葉に、何と返していいのかわからなかった。



明日が大嫌いだと思いながら布団に入る。
起きたら大嫌いな明日がはじまってしまう。
少しでも「今日」を長くしたいのだろうか。
息子の目はなかなか閉まらない。

そして、
今日をはじめたくないから、起きられない。
「起きなよ!」と布団をはいだとき
息子の眉間にはシワが寄っている。

まるで「今日」に背を向けるかのように私に背を向けて、再び布団にもぐろうとする。


毎朝繰り返されるその感じ。

このままじゃ良くない。
何かがズレている。
何かがちがっている。

そう感じながらも、引きずるようにして幼稚園に連れていく朝は、私の心さえも削っていった。 


5日間をそうやって過ごして、
2日間をのびのび過ごす。

そして月曜日は、
死んだ魚のような目をして幼稚園へ行く。

6歳にして、まるでブラック企業に勤める、
ヘトヘトに疲れたサラリーマンみたいだ。



3年間そうやって何とか過ごしてきた息子が、ちょっぴり変わった小学校に入学した。


「母ちゃん、ぼく明日が楽しみ。」

温かい布団から顔だけを出して、
ツルツルとしたホッペを輝かせて、
ニコニコした笑顔を私に向けながら
息子がそう言う。

近所の子たちとちがう小学校に通う不安や、
一般ルートから外れる怖さが、
一気に吹き飛ぶ言葉だな、と思った。



明日が楽しみだと思いながら布団に入る。
起きたら大好きな今日が待っている。

今日も楽しかった。
でも明日だって楽しみだから。

目を閉じようと思える。

そして、
今日をはじめたいから、起きたいと思う。

「起きなよ!」と布団をはぐと、
息子はちょっとだけまぶしそうな顔をする。

夢の中から現実へ、急に連れてこられて。
今自分がどこにいるのかがわかっていないようなボンヤリとした目をしているかと思えば、急にパチッと目を開ける。

そしてすんなりと起き上がって、
息子は「大好きな今日」をはじめる。

その様子を見ているだけで、
何の心配も何の恐れも湧いてこなくなった。



通っていた幼稚園が「悪い」んじゃない。
その小学校が「良い」んじゃない。

ただ、息子にはその幼稚園は合わなかった。その小学校がベストマッチした。

それだけなんだと思う。

でも「合っていない場所」から「合っている場所」に移動した息子の劇的な変化に、夫婦ともども正直びっくりしている。

自分にとって「合っている場所」に身を置くことは、思っている以上に大事なことなのかもしれない。

それは、
子供も大人も一緒なんだと思うけれど。

子供が場所を移動するには、大人の手伝いが必要だ。大人が場所を移動するには、勇気が必要だ。



「嫌なこととかさ、苦手なこともあるんだけどさ、なんでこんなに毎日楽しいんだろう?」

この間、息子がボヤッとつぶやくように言っていた言葉が印象的だった。

よくよく聞いてみると、その小学校でも「嫌なこと」や「苦手なこと」はあるみたい。

「合う場所」=「嫌なことや苦手なことがない」ということではないんだよね、と思った。

「合わない場所」での「嫌なこと」や「苦手なこと」は、きっと「自分をなんとかその場所に合わせよう!」とする類のものだから、大切な何かがどんどん削られていくようなイメージがある。

逆に「合う場所」での「嫌なこと」や「苦手なこと」は、自分を広げてくれるような、それを乗り越えることで自分を1つレベルアップさせてくれるような、そんな類のもののような気がする。もちろんエネルギーはたくさん使うけれど、大切な何かをどんどん育てていくようなイメージがある。

だからきっと「しんどくても楽しい」と感じられるんだろうな、と思った。



「母ちゃん、あの小学校見つけてくれてありがとう。」

朝ごはんの準備をしていたら、急にそんな改まった言葉が飛んできてびっくりした。

なんだか涙腺がゆるんでしまって、黙ってしまっていたら。

「母ちゃんが見つけてきた幼稚園は、最悪やったけどな。」

ジーンとした後のその言葉は、妙に憎たらしかったけれど、幼稚園入園当時の息子に、どんな幼稚園が合うかなんてわからなかった。そんなの仕方がなかったのだ。

「母ちゃんがあの幼稚園選ばなくてさ、もし幼稚園がめちゃくちゃ楽しかったらさ、りんりんは絶対近所の子たちと同じ小学校に行ってたで。そしたらさ、今の小学校には行けてなかったと思うよ。母ちゃんがあの幼稚園を選んだおかげで、りんりんは今の小学校に行けてんで。あの幼稚園を選んだ母ちゃんに、むしろ感謝してよね。か・ん・しゃ!」

息子の髪の毛をくしゃくしゃにしながら負けずに反撃したら、息子はキャハハと笑った。



「合う」場所にたどりつくためには、「合わない」場所を1度は通らないといけないのかもしれない。

大人が「合わないな」と思ったら転職するくらい気軽に、子供だって気軽に居場所を変えられたらいいのにな、と思う。

でも「選ぶ」にしては、選択肢が少なすぎる。もっといろんなカラーの小さな学校がたくさんあって、みんなが自分にとって居心地のいいカラーを選べるようになったらいいのにな、と思った。



「明日は学校ある?」

「明日はお休みだよー!」

「ぼくお休みより学校の方がスキー。毎日学校があればいいのに。」

母、しょぼん。


どうやら息子にとっては、平日と休日が逆転してしまったようだ。

ちょっぴりションボリとした気持ちを抱えながらも、私の心は満ちていく。


みずをえた魚。

入学してからのおよそ2週間、息子を見ていると、水の中でスイスイ気持ちよさそうに泳ぐ魚の姿が、頭の中にポンッと浮かんでくる。

息子の全身から発せられている、何かキラキラとしたものがまぶしくてまぶしくて、目を細めたくなる今日このごろだ。


大人も子供も、
毎日そりゃいろいろあるけれど。

明日を、それなりに楽しみにしながら眠れて
今日を、それなりにワクワクと始められる。

そう有れる環境に
ちゃんと自分を置いてあげられているか

その時々で、自分の心に聞いてあげられたらいいなと思う。

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