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#9 (前編) アナ試験倍率1300倍を突破 「奇跡」の起こし方

僕は小学生のころからアナウンサーに憧れていたのですが、まぁなんとも幸せな子供だったんだなぁと思うのは、高校生を卒業するまで人は皆思い憧れる職業になれるとおもっていたんですね。しかし大学に入学して先輩たちが、当時ははがきだったんですけど、片っ端からもう分厚いはがきの山に、志望動機やらなんやらやらを書いてポストに投函している姿を見て、何をしてるんですかと聞いたら、その片っ端から送った先から、連絡があったら、面接するだよ、と。それが就職活動だ、と教えられちょっと待ってよ、と思ったわけです。

そういえばどうやってアナウンサーってなれるんだ?て。大学生になってからやっと調べたところ、とんでもない倍率を知ったのです。
まぁざっと千数百倍。これはどうやって突破すればいいんだろうかと、大学生になったから初めて真剣に考えたわけです。

アナウンサーになりたいと思った小学五年生から、当時は約8年。ずっとずっと憧れている職業ですから、そう簡単には諦められません。

倍率千数百倍を勝ち抜くために

そこで考えたんですけれども、たとえば10,000人受験しに来たとしても何かしら世界一位の称号、もしくはそれに類する何かを持っていれば目立てるんじゃないかと。この考え方が正しかったかどうかは別にして、当時の僕はとにかく10,000分の1になれる方法はなんだろうと考えたのです。世界2位、3位じゃだめなんです。なぜなら1位のひとが来たらインパクトで負けるから。

いくつもの案がうかんでは消えていったのですが、その中で残ったのかまずは着付けでした。色々なご縁がありまして、着付け教室に通うことができたのです。知らない方がたくさんいらっしゃると思うんですが、着付けはなんと全国大会と言うものがありまして、日本一位になると渋谷でオープンカーにのってパレードをするんです。全国がいくつかのブロックにわけられていて、そのブロックで3位以内にはいると全国大会に進出できるんですが、死ぬほど練習して、ご指導たくさんいただいて、なんと関東大会で優勝。チャンピオンになりました。そして就職試験を迎えることになるんですけれども、もうひとつ「唯一」の存在になるべく頑張ったことがありました。

全都道府県知事との対談計画始動

日本全都道府県知事との対談です。アナウンサーになれば、僕の顔が日本全国、北海道から沖縄までうつることになるのに、僕はその日本のことを何も知らない。だったら、全国をまわり、県知事と対談し彼らの夢や目標を聞いて、この国がどこにむかっているのか、自分なりに知ってまとめてみようと思ったのです。

でもどうしたら県知事と会えるのか。

だれとも何のコネクションもありません。そこで当時考えたのは、まずは総理に会うことでした。突拍子もないですよね…でも当時真剣に考えていたのです…総理大臣総理大臣と直接会って話を聞いてもらって、たぶん総理ともなれば、誰かしら県知事とか都知事と知り合いだろうから、その知り合いを紹介してもらおうと思ったのんですね。

当時の首相は小渕恵三さんでした。まずは手紙を書かなくてはいけません。
僕は字が汚いものですから、まずは数ヶ月にわたりペン習字をならいまして、綺麗な字の書き方を習得し、そこでやっと手紙を書くことになったのですが、当時の小渕さんのホームページには「誰とでも会う」とのメッセージがあったので、勝算はある!と踏んだんですね。
数ヶ月かけて完成した手紙を持って、スーツに着替えて、7月か8月だったと思うんですけど、真夏の炎天下、自民党本部にいくわけです。

当然自民党本部内では警備員から止められました。「なにしにきたんですか?」そりゃそうですよね。そこで僕が「総理に手紙をもってきました」と答えるわけですが、当然通してもらえるわけがありません。怪しい人そのものですからね。で、警備員から「総理はここにはいません。まずは議員会館に行ってください」と言われたので、そういうものなのか、と議員会館に移動しました。自民党本部から歩いて数分の距離です。

議員会館に着いて、小渕さんの部屋の番号を調べて、面会の申し込み票に自分の名前や目的を書いて、そのとき目的の一覧には「会いに来た」はなかったので、考えた結果「陳情」に丸をして受付のお姉さんに渡します。するとお姉さんはすぐ事務所に電話をするわけです。「森下さんが面会に訪れています」と。事務所としてはそんなアポあったか?となるわけです。まさか大学生が手紙持って突撃しにくるなんて想像もしていないですから。で、電話を代わったら「きょうアポありましたけ?」と聞かれ、「いや、ありません。読んでもらいたい手紙があって持ってきました」と素直に言ったら、「まずは送ってください」ということで中に入ることができませんでした。で、僕はまた自民党本部にもどり、横のコンビニで切手を買って、そのまま速達で手紙を出したんです(#9(後編)に続く)

(voicy 2022年3月29日配信)


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