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書籍原稿づくりのファーストステップ:小分けにして書いてみる

★本づくりから学んだこと連載、やってみます。

今年一年、たくさんの原稿と、思ってもみない数の本づくり(途中も含む)に関わらせてもらい、慌ただしくも楽しい1年でした。そこで、本づくりを通して、今の時点での私が学ばせてもらったこと、お伝えできることを、「執筆」「編集」「出版」などの視点で、自分の忘備録のためにもまとめていきたいと思います。「これから本を書きたい!」という、どなたかの参考になれば幸いです。

というわけで、まずはこの記事の続きから。

早速、この本の中から、私が最もグッときた箇所を少し、取り上げてみます。

140文字という短文からスタートした著者・秋山さんですが、結果として、この本の原稿をも書き上げてしまっているというわけで、

本書には、本の原稿作りについても言及されています(ありがたや!)。そして、その内容を読んで非常に感激しました。

私もよく相談を受けるのだけれど、ブログやnoteの記事ならなんとか書けるんだけれど、本となると・・・はてどうしよう、と。

「そんな書けないし・・・」
「一体どこから何をどう・・・」

で、静止してしまう人が、ほとんどです。

必死こいて書いている私も、「本を書こう」と思うと、1000%そうなります。「一冊分の原稿を書こう」、なんて思った途端、全身からやる気が抜けていくだけ。

そもそも、私のようなタイプは、「本を書こう」と思うから、うまくいかないんですよね。

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ビジネス本1冊で、文字数にして約8-10万字が必要です。

最近は、読書する人も減っているそうですから、改行も余白もしっかり取って4−5万字という本も少なくありません。

が、それでもいきなり何万字を書こうとしたって、「もう一生書けない」海に余裕で溺れてしまいます。

「本を書こう!」なんていう考え方を、まずは変える必要があります。

例えば「1000字の原稿を10個書く」、とだったらどうでしょうか。
=1万字ですね。

1000文字の原稿✖️10項目=1万字が、5セットとしたら?
=最低限の5万字、約1冊分になりますね。

そんなふうに、小分けにして原稿をつくっていく。

自分が書きたいこと、伝えたいことを、ワンテーマ1000字くらいで書いていくと、「いつの間にか本が書けてた」ってことが起こる。

これは、私がいつも自分に催眠をかけるつもりで取り入れている手法です。詳しくはこの本からも学びましたので、ライターじゃないけど本を書きたいあなたには、ぜひこちらの本を参考にしてほしい!

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で、話を元に戻しますと、秋山さんもこの本を執筆する際、同じような手法を取り入れていると、個人的には感じました。

ただ、その方法が、より画期的!効率的!そして、めっちゃいい!と感じました。

それは、

「担当編集者さんから質問を出してもらい、それに応える形で原稿を作っていった」

んだそうです!めっちゃいい!(それしかない!)

 本書では、Lilyさん(筆者注:担当編集者さんです)が質問事項を書き出してくれました。全部で60はあったでしょうか。編集者がいない場合は、自分で自分にセルフインタビューつもりで聞きたいこと(つまり深掘りしたいこと)を書き出していきます。(P213)

秋山楓香著『ストーリーで語る』(CCCメディアハウス)
詳しくはぜひ、この本を読んでね!!

確かに、約1000文字で何を書くのかって、執筆初心者には既に悩ましい課題です。テーマに迷うし、書いているうちに何言いたかったんだっけ?ってなるのがオチだったりする。

私の場合は、1000文字を1テーマと考えて、それが800字でも、未完成でも、ボロボロでも、とにかく小分けのワードファイルを積み重ねる、ということを繰り返します。

ワードファイルが集まっていくうちに、内容が重複していたり、対して中身がなかったり、全体として伝えたいことの「かたまり」みたいなものが(ぼんやりしていても)、見えてくる。

積み重ねていったときに、やっと「これが言いたかったんや!」がわかることもあります。だから、最初で「書けない」とつまづいている場合じゃない。

だけれども!

編集者さんからもらった質問に答える形なら、テーマ設定がとってもシンプル!です。

回答を書いていけばいいわけなので、自分でテーマを設定してしぼりだすより、すんごく効率的な気がします。

秋山さんの場合は、例えばこんな質問を50−60個くらいの質問に出してもらったそうです。

・ツイッターを始めたのはなぜ?
・なぜ他のSNSではなく、ツイッター?
・ツイートのテーマは決めていた?
・フォロワー1万人を目標にしたのはいつ?
・反応がよかったツイッターはどんなもの?
・・・

秋山楓香著『ストーリーで語る』(CCCメディアハウス)/P213より一部抜粋

わりと細かい質問です。「自分にインタビューするつもりで」とありますが、自分では当たり前すぎて、なかなかこんな問いは出てこないかもしれません。

そういう時は、近しい友人や家族に、「○○について書くんだけど、質問10個出して〜」って、お願いしてみるのが良さそうです。

「こんなこと知りたいか?」という、自分では発想に至らないものを、自分ではない誰かから質問してもらうって、原稿作りにはとっても有効な気がします。

彼らに

・本づくりに間接的に関わってもらえる(応援してもらえる、本になった後読んでもらえる)

というメリットも生まれそうですし、やっぱり

・原稿が「独りよがり」「独善的」になるのを防ぐ
・何を書けばいいかわかわかる(わかりやすい文章になる)
・読者を意識して冷静に書くことができる

あたりでうまく機能しそうな気がします。

初めて本を書くときって、どうしても肩の力が入ります。これもあれも伝えたい!って思いますし、十分に伝わらないかもしれない不安だってある。当然だし、仕方がない。

だけど、「自分しかいない」原稿って、大体「おもんない」です。自分の頭の中だけで、ああだこうだと独り言を綴っているようなものだからです。

だけどこれが、「第三者からの質問に答える」ために書くのだったら? 

ワクワクしません?(私だけか?) 

***


大切なのは、大量に文章が書けるか、よりも、文章が上手か、よりも、
読者目線を失わず、自分に酔うことなく、冷静に熱く書き続けること。

私はそう思ってます。

そのためには、自分の「書きたい」という気持ちがまず必要だし、「読みたい・知りたい」と思ってもらえる読者が必要。

というわけで、必要に応じて、私もこの「質問を50個上げてみる」を実践してみたいと思ってます。

自分が書くときも、どなたかの相談に乗るときも、書くことをちょっと上空から見て、応援するスタンスでいたい。

本を書きたい、という気持ちを、「書けない」なんて初歩的なところで諦めて欲しくないなというところです。

等身大で語られた、まるで物語のような「文章講座」であったこの本も、きっと刺激とやる気をくれると思います。


【あとがき】この記事は、私の、主にビジネス書、実用書づくりの経験に基づいています。文芸や小説の出版や原稿作りはまた違ったプロセスを辿ると思いますが、小説の編集の世界ってどうなっているんだろうなあと逆にとても気になっています。来年も、たくさん本づくりしたいな〜と願っています。

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