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「怖い」の正体を知った、防災体験

9月1日は防災の日。それに伴い、8月30日から9月5日は防災週間に定められています。

この期間に合わせて、各地で防災関連のイベントやセミナー、講演会もたくさん開催されるようですね。お近くのイベントなど、ぜひチェックされてみてください。

防災センターが提供してくださる、防災体験ツアーに母娘で参加してきました。こういうところ、今まで本当に意識的に利用したことがなかったのですが、

近年の異常気象には本当に驚かされるばかりで、いよいよ地球自体の変化を感じずにはいられず、それに伴い日本が災害大国であるという事実はもはやスルーできるものではありません。

地震起こったら怖いよな・・・津波でどうやって逃げるのや・・・

平和な瀬戸内に抱かれ過ごしている私にとっては、災害はそれでもなんだか遠い話であったわけですが、今日思い切って防災センターで体験し、学ぶことができ、本当に良かったと思いました。

以下、私が防災センターのツアーで、地震や火災の疑似体験をしながら、ガイドの方に教えてもらったことで非常に目から鱗だったことを羅列しますが(自分のために)

これらは、私にとって非常に有意義な学びだという点以外は、ご自身の生活、体験の中で学びを拡大していく必要があるものだと感じます。そうした期待もこめて、ごくエッセンス的なものをシェアさせていただきます。

<地震について>
・地震の場合は、家具が倒れ込み、ガラスが損壊し散らばった場所から避難する上で、怪我や2次被害が起こりやすい。
・地震の種類には、「直下型」と「海溝型」があり、我が家のエリアは南海トラフが予想される海溝型の(主に)横揺れが長く起こることが想定される。自分がその時、どの場所にいて地震を体験するのか、で対応も変わる可能性がある。

<火災について>
・火災が起こったら、「火事だー!」と大声を出して、周囲に知らせる。火が小さいうちは消化器などで対処。火が天井に燃え移ってしまったら避難する。
・煙の中を逃げるときは、口をタオルなどで抑えながら、腰をかがめて移動。中腰になるのは、煙は空気より軽く上に逃げる性質があるため、下の方にある新鮮な空気を使う。這いつくばって移動するのは逆に危険。怪我を防ぐ。
・公共施設などたくさんの人が集まる場所では、非常灯を頼りに避難。万が一停電などで電気がつかなくなった時でも、20分はその明かりが保てるように設計されている。
・ドアノブは規格でその取り付け位置が定められており、その高さの壁をつたっていけば次のドアに出会える。煙で視界が見えなくなっても、ドアノブの高さと壁に触れた手の感触で、避難経路を探す。
・煙の部屋を出るときは必ずドアを閉める。

<避難生活・防災グッズについて>
・深夜に災害が起こった場合を想定して、靴紐の運動靴と懐中電灯をベッドの下などに常備。靴紐だとバラバラになりにくいメリットあり。使い古した靴を捨てないで置いておく。
・ラジオをわざわざ買う必要はないが、バッテリー問題を解決した上で、スマホも活用しよう。停電が起こる可能性があるので、懐中電灯は必須。
・防災ダイヤル171の利用体験をしておこう。震度五以上で、無料で解放される詩システム。防災意識を高めるため、防災週間には利用体験ができるのでぜひ利用を。
・家族で、避難場所について必ず話し合っておく。どこに逃げるのか、どこで連絡を取り合うかなど。
・簡易トイレは用意しておいた方がいい。阪神大震災では、避難所のトイレが悪臭を放ち、みるに無残な姿になるため、「トイレに行きたくない」という心理状態になってしまうことが起こった。そうなると、人はなるべく食べなくなり、健康を維持しずらい。
・防災グッズはキャンプなど日常の延長で集めていくのが良い。また、全て自分で集めようとするのではなく、近所や知り合いなどと協力しあって集めておくのも手。うちはこれ持っているとか、あっちはあれがあるとか、お互いの防災意識工場にもなるし、情報共有にもなる。

文字で起こしてしまうと、なんだかあっさりした情報にも思えるのですが、実際には模擬体験を通じての学びであり、このことが防災意識を格段に上げてくれたと思います。

また、防災に絶対的な正解があるわけではないというのも大きな発見でした。その土地の土壌や地形、気候の特徴などによって、災害の特徴や大きさ、性質も変わるからです。

だから、自分のいるとこで、とにかく、知って学んで、やってみるしかない。そうでない限り、情報は知恵にはならないと思いました。

また、一番目から鱗だったのは、冒頭のように私たちは何も知らないうちは「地震は恐ろしいものだ」「津波が起こったらどうしよう」と、無条件に拒否反応と恐怖を抱いてしまうわけですが、

怖いと思うものほど、主体的に「知る」「学ぶ」ことが何よりも近道になる。

怖さに向き合う、というほどのことでもないのですが、防災について学ぶことで、自分が何に怖がっているのか、そしてそれが本当に怖いものなのか、ということも同時に知ることができます。

私にとっての一番の収穫は、「地震や災害そのものが恐ろしいのではない」、ということでした。

怖いのは、それそのものよりも、その後「どうしたらいいかわからない」状況で、怪我や不安が重なること。ただざっくり漠然と曖昧に怖がっていても、怖さは増殖していくだけなのだなと。

「知る」ことは、恐怖を和らげる力があります。

「逃げよう」と反射的に思うのではなく、何が怖いのか、その正体を自分から知りにいく。その態度が、被害を抑えるのと同時に、自分を落ち着かせるためにもすんごく大事だと学びました。

その意味で、自治体がおこなっている講座やツアー、セミナーなど、気軽に参加しやすく、そして学びやすい環境が、すぐそこにあるはずです。

***

日本という場所で生き延びてきた先人たちの知恵。それが、私たちの平時の暮らしをいかに支えてくれているかを実感したツアーでした。

小さなことですが、ドアノブの位置が決まっていることや、非常灯が停電時にも点灯してくれること、家庭用火災報知器の設置の義務づけ、

こうしたルールが生まれたのも、数々の震災を乗り越え、災害の上に成り立つ私たちの暮らしの基盤をつくり、アップデートしてくれてきた先人たちのおかげです。

こうした施設があることにも、地域からいただいている恩恵を感じますし、税金を納めていく意義も感じます。

私たちは本当に、恵まれた土地に暮らしている。防災を学ぶことで、感謝の気持ちもあふれて仕方がありませんでした。


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