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ことばの標本

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ふと見つけた、ハッとした、どきっとした、泣いた! その時々の旬な言葉を標本していきます。いつ、誰が、どこで放ったか、できるだけ新鮮な状態で保存していくことが目標。
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記事一覧

ことばの標本(22)_「報われなかった今で幸せ」

「大人になって、人生って報われることが全てじゃないんだなと。ただ、報われなかった今は、報われなかった今で幸せだなと。」 (NHK BS1による中継インタビューに応えた羽生結弦選手の言葉) 冬のオリンピックには縁がなさすぎて、気になったものをポツポツと偶然見るだけで、盛り上がることなく閉会式の今日を迎えてしまった。 フィギュアスケートは女子が花形でしょう、ってことで、唯一ライブで拝見してワイワイしましたが(いつの間に女子4回転時代が来ていたの!)、男子のそれも、ラージヒル

ことばの標本(21)_最近、出会った言葉たち

このところ出会ったステキな言葉たち。前向きな気持ちをもらったのでメモします。 ① 創作を日常化させる。noteも毎日書くと決めてから、しんどくて「書かない」を選択しそうになるとき、ちょっとムズムズするようになりました。 面倒だな、と思うこともありますし、書いたものを、「ちっ」って評価したくなっている自分がいることもあります。しんどさの反面、気づかされることも多く、ブランディングとか自己PRとか、そういう目線ではなく掃除と同じくらいのレベルに落とし込んだら、人やあらゆる評

ことばの標本(20)_誰かの願いが叶う頃

誰かの願いが叶うころ あの子が泣いているよ みんなの願いは 同時には叶わない (宇多田ヒカル「誰かの願いが叶うころ」2004) 体調不良と、娘のテス勉に付き合っていたら、1日が終わった。 頭痛は鳴り止まず、結局寝て起きて、時折尋ねられる娘からの質問に答えていく。 自分のことは何もできず、原稿はたまる一方で、頭を文字通り抱えながら「何をやってんのか」とひどくまた落ち込みそうになったが、娘がワークを終えて、満面の笑でこういった。 「なんか、自信出てきた。明日できそうな気

ことばの標本(19)_「みんなに迷惑をかける」

「みんなに迷惑をかけるね……」 (部活の朝練に寝坊し、遅刻確定で家を出る前に娘が行ったことば) 今朝は起きたら娘の部活集合の15分前。 遅刻確定。娘に焦りはあったがどこか冷静で「先生に怒られたら終わり」「急いで行けば10分」と自分に言い聞かせるように準備を済ませ、最後に「みんなに迷惑かけるね……」と言って出て行った。 迷惑をかける……。 そんなこと、考えるようになったんだ。娘から、そんな言葉をあんまり聞いたことがなかったので、「大人になったな」とじわっと胸が熱くなっ

ことばの標本(18)_「やさしいね」

「これ、子どもがやけどしないようになってるね。やさしいね」 (ウォーターサーバーのお湯の出口にチャイルドロックみたいなのがあるのを見て、夫が言ったひとこと) 水道水が比較的美味しい田舎で、ウォーターサーバーを導入しようと思ったのは、契約しているガス屋さんからさりげなく営業されたそれがすんごい安かったことと、水道水なんて飲めたものではない中国では既に慣れ親しんでいたものであったからである。 水道水でもいいんだが、ちょっとでも美味しくて、安心して飲める水が割安で手に入るなら

ことばの標本(17)_「学校の教科は、メニュー表みたいなもんなんや」

「どれも全部やれるようになる必要はない。学校の教科っていうのはな、これから自分がしたいことを見つけるための、学びのメニュー表みたいなもんなんや」 (「なんで子どもは勉強しなきゃいけないの?」という問いに対する、定年退職した教師の友人の答え) 院生として同期だった友人は、中途採用されて学校教育に携わること十数年。久方ぶりにあってみれば、容姿にさほど変化ないものののすでに定年退職を迎えており、タメ口をきくには失礼すぎる年齢差があったことを認識させられた。 そんな年上の友人に

ことばの標本(16)_「民衆の利益のために王となる」

王というものは 自分の栄光のために支配者となるのではなく 民衆の利益のために王となることを教わりました 『キン肉マン』第36巻「キン肉マンよ永遠に…!」より ものすごく難しい哲学書みたいだった! 全36巻をやっと読み終えた、感想はこれにつきる。 プロレスの知識がクラッシュギャル以降更新されておらず、技の仕組み、ルールなどほとんどわからないまま。 途中で間延びして、キン肉マンがなぜあんなに爆発的な人気を誇ったのか、わからなくなりそうだったけれど、 「キン肉マン」とい

ことばの標本(15)_「待ってる。」

「二日前から水も飲まない 点滴もやめた 待ってる」 (危篤の親族を見守る病院から、夫がくれたメッセージ) 久しぶりに連絡をとったら、夫は病院にいた。オリンピックの開会式も見れないまま、危篤状態になった親族を見守るため、家族がそろっているらしかった。 夫の義兄のお母さん。ずいぶん前からパーキンソン病を患って、ここ近年は身動きが取れない状況だったと聞いている。 私もほんの数回しか会ったことのない親族。くる時が来たのだ、とみんな覚悟の上だっただろう。 夫はものすごい劣化し

ことばの標本(14)_「出会いが人生のすべてだ」

出会いが人生の全てだ って思った SUPER BEAVER「名前を呼ぶよ」 映画「東京リベンジャーズ」の主題歌、SUPER BEAVERの「名前を呼ぶよ」の歌詞には、強い言葉が並んでいる。 「知らないことがほとんどの世界で、名前を呼び合っているなんて」って、本当にそうだ。 今ここで名前を知っていて、お互いが誰かわかっているなんて、地球上の出来事で考えたら、ものすごい確率、ものすごい奇跡だ。 巡り合うことの奇跡。 ありふれた言葉ではあるけれど、その奇跡を想像した時、

ことばの標本(13)_10001回目は何か変わるかもしれない

「10001回目は何か変わるかもしれない」 DREAMS COME TRUE「何度でも」 最近、ドリカムのことを思い出すのですが、たしか、男子二人、女子一人のくみあわせをドリカム現象と呼んだのは90年代でしたか。 もう珍しくもなんともなくなりましたが、当時は「かっこいい」の代表みたいな組み合わせでしたよね。 ちょっと中性的な女子をめぐって男子二人が取り合う、みたいな? ちがうか。笑 とにかく、カラオケに行くと必ずドリカムを歌っていた気がします。「うれしい!たのしい!

ことばの標本(12)_「ガチでムカつく!」

「ガチでムカつくんだけど!」 (女子中学生のインスタライブより) 中1になって3ヶ月がすぎた娘の言葉が、だんだん荒くなっています。 中学校に上がっただけで、こんなにも表現が変わるものなのかと。 半年前は吊りスカートで走り回っていたはずなのに、この時期の子どもたちを取り扱う先生方の胸中を察して、胸が痛い。 そんな中で最近気になっているのが、冒頭の言葉です。 娘が進級してやたらと使い始めた「ガチ」。使用用途はこんな感じ。 ガチできもい ガチでやめてほしい ガチなん?

ことばの標本(11)_「尿検査」

持ち物: 尿検査!! (娘の中学校の連絡帳に思いっきしデコって書かれてあった「尿検査」の文字) 筆圧のつよいボールペン書き。 そのうえからピンクと緑の蛍光ペンでデコられた文字。 ぺらっと開かれてあった娘の連絡帳をふとみると、そこにデカデカと書かれていたのは「尿検査」という文字だった(笑)。 忘れない!という決意で大きく書きデコったのだろうが、その違和感がなんだかものすごくじわる。 5教科よりも、どんな準備物よりも目がいく「尿検査」。 連絡帳の、ほとんどの視覚情報を

ことばの標本(10)_「無事に生きていくことができました」

「今日まで無事に私は生きていくことができました。お母さんのおかげです。」 (小学校の卒業式にもらった娘からの手紙) 母の日です。 私の人生で、娘に会えたことは本当にラッキーなことで、これ以上の幸せを臨んでも意味がないと思うくらい、自分が授かった命に、本当に感謝と尊敬の気持ちでいっぱいです。 私が幸せを享受できているのは、紛れもなく両親が存在したからで、そう考えると両親だけではなく、連綿と続く命の連鎖があったからで、 世の中の全ての命を繋いできた母さんに、感謝の思いを

ことばの標本(9)_「俺らこんな村いやだ」

「俺らこんな村いやだ」 (「俺ら東京さ行ぐだ」 歌・作詞・作曲/吉幾三) ゴールデンウィークの、おそらく私にとってのハイライト! 今日は、音楽を通じて地域活性化にもものすごく尽力くださっている、地元のライブハウス「ジャンドール」のみなさんと、愛媛県西条市にある日本有数の棚田がある千町(せんじょう)に行ってきた。 ただその景観を生でみたかったので、「何かのついでに!」とお願いして、目的のあるみなさんに、のこのこついて行っただけのことである。 あいにくのお天気ではあった