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なぜ、いま、VoC経営なのか。#11 第4章VoC経営実現の鍵

Insight Tech CEO 伊藤です。不満買取センターを運営し、独自のデータ×独自のAIで「声が届く世の中を創る」ことを目指しています。

このnoteは連載「なぜ、いま、VoC経営なのか。」の第10回(#10)をお届けします。【#1~#10も是非ご覧ください】

この連載では本シリーズでは【VoC経営】を以下の通り定義しています(VoC:Voice of Customer)。

ユーザーや生活者一人ひとりの声に耳を傾ける。
それを、一人ひとりの不満や期待に応えるために活かす。
加えて、寄せられた声の総体の中から経営課題を見出し改善するとともに、その中から新たな価値創出の可能性(イノベーションの種)を見出し、ビジネスを強くし、生活者や社会に新たな価値を提供しようとする経営。

#11は第4章として「VoC経営実現の鍵」について皆さんと認識共有できればと思います。

振り返り:VoC活用の3つの壁

#10「VoC活用を拒むもの」の振り返りから始めましょう。
VoC経営に向けて、例えば自社に届いている顧客・ユーザーの声(コンタクトセンターのテキストログや顧客満足度調査に書かれたフリーコメントなど)を活用しようとすると以下の3つの壁に直面することが多いです。

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このノートではこの3つの壁を克服するための鍵をご紹介します。いずれも当たり前のコトではありますが、これが出来ていない企業が多いのも実情ではないでしょうか。

1.チャネルを横断したVoCデータの統合的管理

VoCに関わるデータ(コンタクトログ、苦情ログ、メールでの問い合わせ、顧客満足度調査・・・)は各部署に分散して蓄積されていることが殆どです。加えて、チャネルやデータソースが異なればデータのフォーマットや取得している情報も異なります。

それぞれのデータを「ユーザー(顧客)との対応の履歴として活用する」という狭義のVoC活用であればこれでいいかもしれません。

でも、一人のユーザーが複数のチャネルを利用したり、複数の窓口に問い合わせているかもしれない。また、複数のチャネルやプロダクトに対して寄せられている声に共通項があるかもしれない。つまり、真のユーザーファーストを目指す広義のVoC活用においては多面的にユーザー(顧客)の声、生活者の声を理解する必要があるのです。不満買取センターのような外部データとの比較も重要になるでしょう。

つまり、VoC経営の実現には【統合的なVoCデータの活用】が不可欠なのです。そのためには、それぞれのVoCデータに関して共通フォーマットを整備するとともに、各VoCデータの項目との対応関係を体系化・整備することが重要です。

加えて、データを統合的に管理・蓄積することで、データへのアクセシビリティを高めることも重要です(データを個別の部署で抱え込まない!)。

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ユーザーの声は宝である、ということはだれも否定しません。でも、宝を宝として活用するためには、実際の活用用途を定義したうえで、データを活用しやすいカタチに整え、集約することから始めることをお勧めします。

2.統合的なVoCの分析を可能とする仕組みの導入

データが統合的に集約されればその後は「分析」するためのツール導入が重要です。

VoCデータはテキスト形式で記されることが多いため、以下のチェックポイントを意識し、目的に適うツールかどうかを評価することをお勧めします。もちろん、コンタクトセンターに寄せられる問い合わせを音声認識技術でテキスト化する場合は音声認識・テキスト化サービスとの連携が必要です。

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実は、【テキストマイニングの過去の「失敗」】を引きずっていると感じる企業の多さには驚く日々です。「テキストマイニングのツールを入れたんだけど結局何も活用できなかった」「単語のランキングや単語のつながりが分かったところで何も示唆が得られなかった」という失敗体験がVoCの活用を阻害していることを大変残念に思います。

例えば、「今月は「価格」というキーワードが一番多かったです」と報告されたところで「で、何?」となってしまうというが象徴的な事例です。私たちInsight Techはこの課題をブレークスルーするために「構文解析(述語項構造解析)」を用いています。「実は、価格については「価格-ガ-高い」よりも「価格-ガ-わかりにくい」の方が意見として多かった」ということが分かれば【価格体系をシンプルにする】という【打ち手】につながりますよね。

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このように、自社でのVoC活用においてどのような分析が必要となるかを定義したうえで、導入するツールや構築するロジックを検討することをお勧めします。またツールを入れてから失敗しないよう、導入前には相性を診断するトライアルを実施されることをお勧めします。

3.VoCに基づく意志決定プロセスの構築

最後に、集約したVoCを統合的に分析・モニタリングし、課題発見及び共有し、意志決定につなげることができるチームが必要です。

一般的には「お客様相談室」のような部署が近しい機能を担っていますが、一方で現状では「クレーム対応」「問い合わせ対応」という守りのVoC活用の役割とどまっているのが実情です。「VoCの中から商品を強化するヒント」や「VoCの中から新しいサービスの種」を見つけ、価値創造につなげられるようなミッションを担っていることは稀です。

VoC経営が求められている時代背景を踏まえると、このような価値創造につながるVoC活用を担う専担チームが必要と考えます。各事業部との密な連携が必要となるミッションとなるため、例えば、VoC活用をミッションとする専任チームをマネジメント直下で配置し、組織を横串で横断的に巻きこめる体制などが考えられます。

VoCから発見した課題や事業機会をスピーディに意志決定につなげられるよう意志決定者直下に配備することをお勧めします。いきなり組織化することが難しければ、期間限定・目的限定でVoC活用に挑戦するプロジェクトチームをマネジメント直下でワークさせてみる、といったスモールスタートも有効かもしれません。

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実際、コンタクトセンター等、VoCと触れる機会が多い部署を経営企画部門に配置する先進企業も出始めています。

4.まとめ

このノートではVoC経営に向けた3つの壁を乗り越えるための鍵をお伝えしました。VoC経営というのは、「まったく新しいことを始める」ことではなく、「すでに取り組んでいることのゴールをアップデートする」ことであることがご理解いただけましたでしょうか。

せっかく届いている「声」を個別の対応だけに終わらせず、その集合体から企業・経営を強くし生活を豊かにする「ヒント」を見つけ「実行」する。取り組みコストが小さいけれども大きな革新が得られる経営の在り方だと確信しています。

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その認識を持っていただいたうえで、以下のVoC経営の定義を改めてご覧いただくと、その取り組み意義をより理解いただけるのではないでしょうか。

ユーザーや生活者一人ひとりの声に耳を傾ける。
それを、一人ひとりの不満や期待に応えるために活かす。
加えて、寄せられた声の総体の中から経営課題を見出し改善するとともに、その中から新たな価値創出の可能性(イノベーションの種)を見出し、ビジネスを強くし、生活者や社会に新たな価値を提供しようとする経営。

VoC経営は決して「B2C」ビジネスに限定されたものではありません。多くの企業・ビジネスが何らかの形で生活者・ユーザーに価値を提供しています。B2B2C(食品メーカー様など)は直接生活者・ユーザーに接することはありませんが、エンドユーザーの声に耳を傾ける必要性はむしろB2Cよりも高いのではないでしょうか。そしてB2Bであっても、提供するサービスは「働く人のペイン」を解消しようとするものであることを踏まえると、やはりVoCを活用することがイノベーションにつながると考えます。

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このノートが「VoC経営、挑戦してみたいな」というワクワクをご提供できていたら大変うれしく思います。

5.Insight Techは「VoC経営」を提唱し実現を伴走

「声が届く世の中を創る」。
これこそが私が経営するInsight Techの経営理念であり存在意義
です。世に溢れるVoCに耳を傾け、AIを中心としたテクノロジーを活用して課題解決や価値創出に貢献することを使命としています。まさに「VoC経営」の実現をミッションにしています。

Insight TechはVoC活用に向けた独自のサービスパッケージを創ってきました。皆さまの「VoC活用パートナー」として、これまで得た知見を最大限に活用し、VoC活用に特化した独自のデータ・サービスを組み合わせ、貴社のビジネス強化の実現に向けて伴走して参ります。

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次回#12はいよいよ最終回です!!連載を振り返ります。ぜひお付き合いください。フォローしていただけると励みになります。

では、また次回、よろしくお願いします。




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