初めて読んだのが、大学の頃だったのか、すでに卒業してからだったのか、もう、はっきりは憶えていない。いずれにしろ、当時は“本格”型のミステリ一辺倒で、ミステリと…
「すいません、いいですか?」 そう一応言ってみた時、対面して座っている彼の顔が、一瞬だが不快そうに歪んだようだった。 もちろん、彼もおとなだった。さっと笑顔…
Tomiyama
2021年6月12日 21:56
初めて読んだのが、大学の頃だったのか、すでに卒業してからだったのか、もう、はっきりは憶えていない。いずれにしろ、当時は“本格”型のミステリ一辺倒で、ミステリとしての趣向が目立っていなければ、殆ど興味や評価の対象とはしていなかった。そもそも、ミステリ的興趣か、もしくはSF的興趣かでもなければ、最初から手を伸ばそうとすらしないタイプの読み手だったのだ。 そんな読み手に育ったのは、子供時代「ミステリ
2021年6月12日 21:40
「すいません、いいですか?」 そう一応言ってみた時、対面して座っている彼の顔が、一瞬だが不快そうに歪んだようだった。 もちろん、彼もおとなだった。さっと笑顔を取り戻して、 「ああ、どうぞ。かまいませんよ」 朗らかな口調で言葉を返してきた。 さすがに、こちらがマナーを守って一応断りを入れるのに、「遠慮してほしい」などと仏頂面で返答する非常識な相手には、少なくとも私は出会ったことはない。も