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独りじゃないというのが、強い / オンラインストア兼セールスプロモーション 谷澤

私たちトーキョーバイクは、街を楽しむための自転車をつくっている会社です。(詳しくは自己紹介をごらんください)
この連載「トーキョーバイクのひと」では、私たちの自転車が皆様のお手元に届くまで関わっている全スタッフを一人ずつご紹介します。

第17回目はオンラインストア店長兼セールスプロモーションチームの谷澤さん。社内で初めての試みとなった、新商品の魅力を伝える特設サイトづくりを中心に話を聞きました。

谷澤 弥恵子(たにざわ やえこ)
大学卒業後、ビジュアルコミュニケーションを手がける広告制作会社でプロデューサーとして勤務。2017年にtokyobike 中目黒のスタッフとして入社。2019年からオンラインストアの店長に。また本社セールスプロモーションチームでは、商品の特設サイトのディレクションやSNS運用などを担当。2021年春、産休に入る。

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中目黒店スタッフからオンラインストアの店長に

ーー入社のきっかけを教えてください

いつか自分のお店を持ちたいという夢があり、その実現に向けてBtoCの小売経験を積みたいと思って転職しました。自転車のことは全くわからないし、ほとんど興味もなかったけど、「街を楽しむための道具」としての自転車の捉え方と、それを売ることだけでなく、楽しみ方を伝えることに取り組もうとしているところが面白いなと思ったので。

ーー入社してから4年間での経験が多岐に渡っていますね

入社1年目はいっぱいいっぱい、2年目は自分なりに頑張りたいと思いながら周辺地域のお店の人達と繋がり始めて。そんな時に青天の霹靂で、オンラインストアの店長に異動になりました。

異動になってからの1年間はとにかく必死でしたね。ホームページのリニューアル、オンラインストアの戦略作りから商品のバイイング、ページ作り、お客さま対応まで。会社全体のSNS担当にもほぼ同時期になったので、目の前にやることがたくさんあって。

ほぼ独りでやっていたオンラインストア業務が昨年の後半からチームになり、メンバー間での役割分担が進むのと同時に、自分自身についてもどういう役割であるべきなのか、これから何をやっていくのがいいのかを考えて行動できるようになってきたかなと思います。

社内で初めての特設サイトづくり

ーー2020年には新商品TOKYOBIKE MONO特設サイトも担当しました。会社としては初めての試みでしたね

その時は既存のホームページだけで新しいモデルであるTOKYOBIKE MONOの良さを伝えていくのは難しそうだと感じて、ちょっと違うことをやりたいなと思ったんです。そうなると特設サイトかなと思いついて。

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当時会社として商品の特設サイトを作るという行動そのものが初めてだったので、まず社内へのプレゼン資料を用意しました。

最初に良さそうなウェブサイトをたくさん見て、「なるほど、こうなっているのか」と特設サイトの造りを学びました。そういうウェブサイトの特徴と自分がこの商品で伝えたいことを書き出して、こういうものを作りたい・こういうものを作らないと届けたいお客様に届かないんですというプレゼンをしました。

ーーどんな風に自分の考えをまとめていったんですか?

特設サイトでも作ろうかと軽く考えていた時に、そもそもこの自転車はどんな風に見えるのかな?どこが一番かっこいいかな?と思って、とりあえずiPhoneで簡単に写真を撮ってみたんです。会社の横にある駐車場にTOKYOBIKE MONOを置いて。

それがたまたま格好良く撮れて。駐車場の壁だから綺麗すぎないインダストリアルな雰囲気がでたんです。蛍光灯の光だけで、自転車と影の対比がモノクロームな感じで、このまま絵になるなと思いました。

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そこまで考えて、この絵だったら届けたいお客さま像とも、内容ともはまると感じて、プレゼンをして通ったという経緯ですね。

ーーその商品の良さや魅力を改めて考えて、こういう絵でこのトーンで伝えたいというところまで落とし込むんですね

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ーーこの特設サイトでは写真を外部のフォトグラファーにお願いしました。通常は社内のスタッフが撮影をしているので、こちらもほぼ初めての試みでしたね

まずは自分のイメージした絵を撮るならどんなフォトグラファーがいいかを考えて、前職でもつながりのあった写真家の秦和真さんがすぐに頭に浮かびました。

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ーー秦さんの過去の作品を見ると、特に自転車を撮影したものはなかったように思います。それでも「この人だ!」と思い浮かぶんですか?

すでに撮られた被写体や、似たような写真から想像するというよりは、フォトグラファーがどんな視点を持っているのか、どんな雰囲気で表現するのが好きなのか、あるいは得意なのか、というのを過去の作品から見ています。

秦さんとは面識が元々あって、趣味や、暮らしぶりなども知っているのでそのとき表現したいことを汲み取って秦さんなりの解釈をしてくれるだろうなという気持ちがありました。

制作を行う際に、自分の中である程度こんなふうに撮ってほしい、という気持ちはあるけど絶対的な完成形が見えているわけではないので、そういった部分は自分自身の経験不足で不安があります。でも、この人だったらわたしが想像しているよりもずっと素敵なものを作ってくれるだろう、という信頼のもと、お願いをしています。

自分で撮影をしない代わりに、わたしの仕事は、作り手の解釈を手助けすることだと思っています。いかに作りたいものを言葉にして伝えられるか、どこまで伝えて、どこから作り手に想像してもらうか、というところに悩む日々です。

ーー悩んだ時はどうするんですか?

社内のみんなに相談しますね。時間はかかるけど、頭脳がたくさん増えて考えられるというのがトーキョーバイクのやり方だなと思っているので。だから特設サイトを作る時でも独りで決めているという感覚はあんまりないし、それでうまくいく感じもないですね。

先月リリースした今年の新モデルTOKYOBIKE LEGER(レジェ)の特設サイトも、新しくチームに加わった西村さんの意見をたくさん採用してつくりました。

特設サイトを作る時は、トーキョーバイクがいつもしている表現とはちょっと違う表現を出していきたいというのがあります。できれば違う視点で、それでも良いものになるように、ちゃんと伝わるように落とし込んだ上で作りたいと思っています。

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独りじゃないというのが、強い

ーートーキョーバイクでは、経験がなくても新しい業務をまかされる場面が多いですよね。谷澤さんは数年間で課題をどんどん乗り越えてきたように見えますが、どんな風に取り組んできたんですか?

やらなきゃいけないことが目の前にひたすらあったから、それをただがむしゃらにやっていただけのような気がします。

それでも去年の夏頃は歩みが止まった時期がありました。ちょうどチームとして動き出したばかりのころです。コロナでリモートワーク中心になったこともあって、仕事を進めるうえでのわからなさを誰に共有したらいいかわからないし、次のとっかかりもわからなくなってきて、それがすごくフラストレーションで。オンラインストアとしてはどんどん忙しくなる一方で、何か行動しなくては、でもどこから、何から始めたらいいかが見えなくなっていました。

ーーそれでどうしたんですか?

面談で率直に上司に伝えました。それですぐに何かが解決されたというわけではないんですが、その後複数人のチームになって、定期的なミーティングをするようになって、役割分担が見えてきて、なんとか転がっていったという感じです。

結局、自分独りだけでは漕ぎ進められない感じはあるかなと思います。

中目黒店で働いていた時も、日頃の業務の合間に他のスタッフと、自分が最近思っていること・やりたいこと・こうした方がいいんじゃないかという話を常にしていました。誰かと共有しながら仕事を進められていたのがよかったんですよね。

ーー中目黒店時代も、チームライド等の様々な企画・発信をしていましたね

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私は話すことで整理されていく人間なので、やっぱり独りじゃないというのがすごく強くて。振り返ってみると、それがお店全体にもいい影響をあたえて、いい雰囲気で仕事ができていたんだと思います。

好きなものと好きな時間

ーートーキョーバイクのラインアップの中で、好きなモデルはどれですか?

難しい質問ですね・・・。今強いていうなら、TOKYOBIKE MONOとTOKYOBIKE LEGER(レジェ)です。

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MONOはシングルギアの自転車ですが、ギアがなくても気持ち良さがずっと続いていく感じがあります。LEGERも同じくシングルギアの自転車で、のんびりゆったり走りたくなる。

先日私が担当した、夫婦で乗るMONOとLEGERを紹介した記事の撮影時にも、のんびり走るのは気持ちがいいなという実感がより湧きました。

我が家の場合、自転車で出かける時は夫がロードバイクでスピードが早いんです。私が乗っているのはシングルギアのトーキョーバイクなので、それに必死になってついていくこともあって。

そういう風にならない、どっちものんびり、だけど気持ちよく走れるMONOとLEGERの組み合わせって、2人で楽しむということにぴったりくるなと思います。

ーーお気に入りのオプションパーツはありますか?

フロントラックです。カゴは自転車が重たくなるからつけたくないけど、生活をするうえで荷物を載せる機能は欲しくて。フロントラックは浅くても荷物をバンドで留めれば良いので、見た目はすっきりかつ実用性が高いです。

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フロントラックと一緒に使っているバンドは、以前コペンハーゲンを旅した時に見つけたものに変えています。もしかしたら本来の用途とは違うのかもしれないけど、ちょうど幅も長さもぴったりで、旅の思い出もあるので特にお気に入りです。

ーーここからは少しプライベートな質問です。暮らしの中で好きな時間はどんなことをしている時ですか?

夫と過ごす時間が一番好きです。のろけみたいになっちゃうんですけど、自分自身が一番自然体でいられる相手だから。もちろん迷惑をかけている部分も大いにあると思うし、それはお互い様だと思うんですけど。

自分が一番気持ち良くいられるのは夫と一緒にいる時間で、それは買い物に行く時でも朝ご飯を食べている時でも、どこかへ出かける時でも。私は自分が嘘のない状態でいたい、それが一番大事だと思っていて。それができる相手だからですね。

ーー自転車で走るのが好きな場所や道、時間などはありますか?

私が住んでいる東京の世田谷区です。結婚するまで、同じ世田谷区の中でも南の街にずっと住んでいました。その頃持っていたママチャリで移動するのは近所だけ。世田谷区は、縦の移動が電車やバスだと大変なので、他のエリアをほとんど知らなかったなと思います。

3年前に同じ世田谷区の中でもより中央のエリアに住むようになって、トーキョーバイクで移動するようになってから、真ん中から南が上手く自分の中で繋がるようになりました。実際に自転車で走ると気持ちがいいし、街同士が近い。こんなに面白い場所がたくさんあるんだと気づきました。だから世田谷区は自転車で移動するのにすごくいいですね。

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世田谷区民は自分の街を好きな人が多くて、それぞれのエリアで誇りがある。規模は小さいけど、楽しい街が点在しているんです。ただ、電車で移動すると横にしか移動できない。私も九品仏に住んでいた頃は「ここのエリアが世田谷の中でも最高だぜ!」と思っていて、他の街に積極的に行くことはあまりなかったように思います。

でも自転車で走ってみると、世田谷のそれぞれの最高エリアがつながっていくから、もっと楽しいということを発見しました。自分の住む街の良いところをより知れたのは、自転車があったからですね。


(取材・文)小西
(写真)橋原