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特許権 VS 著作権 どっちが便利?

特許権と著作権、何となく耳にすることはありますが、どっちが便利なんでしょうね?

双方とも知的財産権に含まれるものになります。

簡単に表で双方の特徴をまとめると以下の通りです。

うーん、何となく著作権の方が、安くて権利期間が広いので、良さそうな気がしませんかね?

いやいや、特許権も良いんですよ!
お金も掛かるし、権利期間は短いのですが、

権利範囲が「請求項」という言葉で表現した「概念」

で権利が取れるのが強いですね。

「概念」で権利が取れるというのは、それそのものじゃなくても良いということです。

即ち、「スマートフォン」の機能をメインに題材にした特許であっても、言葉の表現次第では、「パソコン」、「ゲーム機」、「コピー機」も権利範囲に含めることができます。

特許的にいうと、スマートフォン、パソコン、ゲーム機、コピー機も

「情報処理装置」


という言葉で概念化することができます。

例えば、請求項の特徴を、
【請求項1】
 ~~~~~~~という特徴を有する、情報処理装置。

とすれば、スマートフォン、パソコン、ゲーム機、コピー機も含んだ権利になります。

このように言葉のセンス次第で、ある程度、如何様にも権利範囲をコントロールできるのが特許の良さになります。

一方で、著作権は、芸術思想(感情表現などを含んだデザイン)を具体化したものそのものと、ある程度似た表現が権利範囲になり、それほど、権利範囲が広くできません。著作物をみたときに、各人が抱く印象はばらばらであり、権利も不安定になります

この著作権の不安定さを助長するのは、特許のような審査制度がなく、著作物を作ると自然に発生するので、出たとこ勝負の権利になってしまいます。

更に著作権は、その著作物をみてパクった(依拠)という証明が必要になり、偶然、デザインが似た場合などは非侵害になる可能性があります。
特許は、このような依拠性は侵害の要件になっておらず、結果物が特許の権利範囲に対して含まれたら、侵害します。

※先使用権とか、特例などもありますが、基本的には、結果物が請求項の表現に含まれたらアウトです。

こういうと特許がだいぶ、良いように聞こえますが、やはり金銭的な負担が低いのが魅力です。
著作権は、国内で作成した著作物も、万国著作権条約・ベルヌ条約といった国際的な法律により海外においてもコスト負担がなく著作権の保護対象になります。

特許権は、海外においても各国で特許庁に出願して審査を受ける必要があり、大きなコストの負担を強いられます。(アメリカなど約200万円くらい)

こうなると、著作権が良く聞こえますよね。

うーん、甲乙つけがたいですね。

しかし、実は、結局のところ特許権と著作権は比較できるものではないんです。

ここまで来て、えっ!?と、思うかもしれません。

権利の保護対象が、特許権と著作権では全く異なります。

「技術思想」と『芸術思想』です。

学校で言うところの、理系と、文系くらいの差があります。

特許で保護できるものと、著作権で保護できるものは、重なるあ部分が殆どないです。

技術思想(発明)は、特許で保護すべきで、
芸術思想(感情表現)は、著作権で保護すべきもの


この2つの違いを理解し、両方を駆使して隙間のない権利の取り方をするのが好ましいです。

今回は、話さなかった「意匠」、「商標」を使いこなすと、更に隙のない知財戦略を行うことができます。

特許より著作権が良いよ、とかいう、知財部員や弁理士、知財コンサルタント自体が怪しい存在であることを知って頂ければ、この記事の理解としてバッチリだと思います!


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