#1314 しんじあの愛と涙の演説に皆が感動
それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。
須弥山はどこにあると説法しても、地球儀で遊ぶ少年には荒唐であると笑われ、古代中国の尭と舜の世を講釈しても、進化論をふところに入れた書生には野蛮であると賤しまれます。「卑劣」の心に「傲慢」という鎧を身に着け、仏教の経典は歌舞伎ほど面白からず、聖書の黙示録は『アラビアンナイト』にも劣っていると頭からこなす世の中。学問は進んでいるが、見れば見るほど人情は浅ましい。檄文よりも電信が速く、利剣よりも舌鋒が鋭い今日、アメリカのニューヨークに「しんじあ」という男がいます。額ひろく鼻とおり能弁の唇うるわしい。
中国春秋時代の大富豪に「猗頓」という名の大富豪がいたことから「猗頓之富」とは莫大な財産のことをいいます。逆に、中国春秋時代に清貧を重んじる「原憲」という名の孔子の門人がいたことから「原憲之貧」とは心は清らかだが貧乏なことをいいます。
ボストン大学はメソジスト派の牧師たちによって1839年にバーモント州ニューベリーに神学校「Newbury Biblical Institute」として設立されました。ボストンに移動したのは1867年のことです。
「澆季」とは乱れた世のことです。アメリカの地名がたくさん出てきましたが、「りんこるん」はリンカーン、「されむ」はセーレムのことでしょうね。
「有名な高士むうでい」とは、1886年にムーディー聖書学院を創立したアメリカの伝道者・牧師のドワイト・ライマン・ムーディー(1837-1899)のことかもしれません。
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!
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