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各駅停車

各駅停車 いつものように

ドアは かたんと 開く


一瞬のうち セミの声

真夏の 草のにおい


制服のスカート

単語帳のページ

風がめくった


呼ぶ声がした

気付いたら

駅のホームにいた


なびく髪のうしろ

さっきまで乗っていた

電車のドアが閉まる


大きくなるセミの声

上がっていく体温

太陽のように


単語帳を閉じて

鞄に入れたら

改札をくぐる


知らない町と人

続く道

歩いてみようか


通過したものの 中に

探していたもの

きっとかくれてる


探さなくちゃって

行かなくちゃって

コスモスが揺れる


次の電車

見えない場所で

またドアを閉めたかなあ


でも もう

乗らないかもしれない

だから これでいい

どこでドアが閉じても


感じてゆくこころの

ドアを開けたら

見たい景色が 見える

ここにぜんぶ ある


大人になったら

忘れるかもしれない

夏の途中下車


大人になったら

見えないかもしれない

ドアが開いてたこと


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