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読者がコメントで作品を広げてくれる、興味深い毎日更新作品『ベリーベリーショートショート~超短編140文字ショートショート~』。

街の一角が取り壊され建物がなくなってしまうと、何度も見ていたはずなのに、そこに何の建物が建っていたのか、なぜ思い出せないんだろうと考え、夜も眠れない今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

さて。

今日は、読者がコメントで作品を広げてくれる、拙作『ベリーベリーショートショート~超短編140文字ショートショート~』の執筆を通じて感じる、興味深い現象について書いてみたいな、と。

可処分時間をほとんど奪わない超絶短いショートストーリー。

自宅にいながら時間を過ごしていると、人によって時間の使い方には個性が出ると思っていて。与えられた時間を何に使うのか。ひたすら趣味に没頭するのか、学びの時間に充てるのか、YouTubeやNetflixなどのエンタメに触れ続けるのか。自分を満たす方法が、人によって分かれますよね。

一日のうち、自分の意志で自由に使える時間のことを可処分時間と呼んだりもします。こうしてエンタメを創っていると、作品に触れてもらう時間は、可処分時間を割いてもらっているわけで、そう考えるとYouTubeやNetflix、書籍やテレビなんかもライバルになってしまいます。だって、一日のうち、許された時間っていうのは限られていますからね。

もともとショートショートと呼ばれる数分で読み切れる作品の執筆を続けているわけですが、その中でもとりわけ短いショートショート『ベリーベリーショートショート~超短編140文字ショートショート~』という作品を、毎日更新で公開しています。

ぴったり140文字で綴るショートショート。読むのに1分もかからない、超短いショートストーリー。個人的にはこの作品が、新鮮な感覚をもたらせてくれているのです、というお話を少しだけ。

読者さんが作品を広げてくれるって、どういうこと?

こちらの作品は、エブリスタという小説投稿サイトで公開しているのですが、このエブリスタ──読者さんが作品に対して、または作品の特定のページに対してコメントができる機能があり、それが本作におもしろい影響を与えてくれているのです。

何かっていうと。読者の皆さんが、作品を膨らませてくれているわけです。

140文字だけを使ってショートストーリーを書く場合、文字数の兼ね合いから、細かな情景描写や心理描写を詰め込むことができません。それでいて、話の流れを読者に伝え、つまるところの「前フリ」をしっかりと効かせ、オチに持って行かなければなりません。

サラッと流し読みしてしまう作品だったら、読者の方は二度と戻ってきてくれない可能性もあるわけで。だって、わざわざサイトにアクセスして極短のショートストーリーを読もうという労力は、軽いようでいて重い。他にもエンタメが乱立する世の中で、とてもとてもありがたい行為なわけです。

そうなると、毎作品、驚きだったり笑いだったり感動だったり。何かしら読者さんの琴線に触れられるクオリティを担保しなければなりません。このプレッシャーが実に楽しく、読者の皆さんからの反応が、執筆の意欲をさらに掻き立ててくれるわけです。

ちなみに、エブリスタという小説投稿サイトは、作家さんも他の作家の作品を読む機会が多く、サイト内で「作品を創る楽しみと、作品を応援する楽しみ」のサイクルがいい具合に循環していて、すごく平和な空間だと感じることが多いです。

そして、何が言いたいのかっていうと、140文字という限られた文字数で創り上げる作品を、読者さんが寄せてくれるコメントが拡張してくれている、ということ。
例えば、別の展開のオチを書いてくださったり、「実は主人公の気持ちってこうだったんじゃないの?」という個人的な補足をしてくださったり、文字数制限により余白を持てない作品に対して、個性的な余白を創り出してくださるわけです。

なので、読者さんからのコメントを読んでいる時間は、作者である僕も読者気分。予想外なツッコミが入ればキャッキャと喜ぶし、オチを広げてくださるコメントには「なるほど、そういう手があったかぁ!」と感心したり。とにかく、書き終わったあとも楽しめる作品なのです。

一般的な小説作品の場合、コメントをもらうにしても読了後の感想が中心になるもの。ところがどっこい、このショートストーリー作品に対しては、読者さんも作品創りに参加してくれている感覚141文字目以降は、読者さんが創る作品。なんか新しくないですか?

エブリスタでは、各ページに対するコメントのことを、ページコメントやペコメなどと呼んでいますが、本作に関しては、140文字の作品だけでなく、読者さんからのページコメントも込みで作品を楽しんでもらいたい。そう感じる作品なわけです。

双方向のコミュニケーションが主流になる昨今。例えば、ライブ配信の世界などでは、アーティストや著名人とファンが双方向に交流するのなんて当たり前の時代。画面の向こうにいるアーティストに対し、「あの歌、唄って欲しいんです!」とコメントすれば、「了解!」という返事とともに、歌唱がスタートする。以前よりも、リスナーや読者と呼ばれる人たちの楽しみ方が広がっていると思うのですよ。

なので、作品を創られている方は、作品の品質にこだわるのはもちろんですが、受け手が参加できるスペースを意識して作品創りする、というのも、ひとつの方法なんじゃないかなと思いました。

今、多くの人にとって、自宅にいることが世界を守ることにつながっている。普段では手にできない時間を得られている人も多いはずです。そんな時間を有意義に過ごすため、普段じゃ触れないエンタメに手を出してみる、っていうのも、意外と楽しい時間を過ごせる選択肢かもしれませんよ。

多くの小説投稿サイトでは、作品に対してコメントできたり、作家から返信が返ってきたりと、双方向のコミュニケーションを楽しめます。読み手に徹するだけでなく、独自の目線で作品にコメントを残し、作家を刺激してみるのもおもしろいかもしれませんね。


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