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猫論者は寝転んじゃいけない

 仕事に追われていると、どうしてもカリカリした気分になる。そんなときは、ダメだとわかっていながら、意味のないことをしてしまう。

 家が揺れるほどの貧乏ゆすり。胃痛を倍増させるブラックコーヒー。カロリー摂取のためだけに頼む、ウーバーイーツ。

 そうした、「カリカリモード」の不毛な行動のなかでも、私がいちばんやりがちなのが、「キーボードを見ないで叩く」というものだ。

 私はブラインドタッチができない。なので、「キーボードを見ないで叩く」なんてことをすれば、とうぜん画面上に現れる文字はおかしなことになる。

 たとえば、いまからキーボードを見ないで以下の文字を打ってみる。

今日は晴れですね。とても気分がいいです。散歩にでも行ってみようかな。みなさんも、よい一日を。

 ☝これが、キーボードを見ながら打った通常モード。で、

今日yは晴れですえ、とえも気分がいいです。賛否にでも胃tれ三卯用かな、みなさんも、ちょい一日を。

 ☝これが、キーボードを見ないで打った、カリカリモードの文章だ。

 これを見ていただければわかると思うが、30%くらいは文章として問題なく機能している。なので、どうにもこうにも原稿が進まず、「とにかく前へ前へ前へぇぇぇぇぇ」という状況のとき、私はキーボードをガチャガチャと乱打し、まずはいったん最後まで文字を打つことにしている(私の職業はライターである)。もちろん自宅作業なので、音がうるさくても、誰にも迷惑はかけていない。

たまに起こるバグ★


 そんなふうに文字を打っていると、

散歩にでも行ってみようかな→賛否にでも胃tれ三卯用かな

 のような、あきらかに意味が通じないもの以外に、打った文字はあっているけど、漢字が誤変換される、という場面がある。

 それが、今回のタイトルだ。

 これは、とある原稿で、「芝生に寝転んじゃうのもOK!」みたいな文章を書こうとしていたときのもの。

「芝生に寝転んじゃうのもOK!」と打つつもりで、キーボードをガシャガシャ叩く。しかし画面に表示されたのは、

芝生に猫論者うのもOK!

 だった。 

 私はこれを見たとき、思わず吹き出してしまった。猫論者とは、いったいなに。そんな言葉があるのかどうかも知らないが、私が使っているこのチャーミングなパソコンは、

寝転んじゃ→猫論者

 と文字を変換してしまったのだ。なんとお茶目なパソコンだろうか。こうした誤変換は、カリカリした気分を和らげてくれる。いったんキーボードを叩く手が止まるので、休憩を挟むきっかけにもなる。

 誤変換はイラつくこともあるけれど、ときには心を安らげてくれる、原稿の箸休め的な存在だと知った。

 以来、私は誤変換が出るたび、なんだか嬉しくなった。もちろん、なかには面白くもなんともない、ただのアホみたいな誤変換もあるのだが、こちらの予想を裏切ってくる誤変換は、いい感じの「休息スポット」となった。

 そこで、以下では私がこれまで誤変換してしまった文字、ならびにネットで見つけた「おもしろ誤変換」の中から、気に入ったものをご紹介したいと思う。

 カリカリした気分で仕事にのぞんでいるときは、ぜひこれを思い出してほしい。そして誤変換が表示されたら、椅子から立ち上がり、コーヒーでも淹れるといい。ちょっと休憩を挟むことで、その後の仕事もまたはかどるハズである。

 では、珠玉の誤変換を、いくつかご紹介する。[]☜このカッコ内が、実際に打とうとしていた文字だ。★が付いているのが、私が実際に出してしまった誤変換である。

・琴田豆板 [言霊めいた]★

・馬食い家内 [うまくいかない]

・一瞬デカいケツ [一瞬で解決]

・超修理機 [長州力]


・馬汁のパスタ [バジルのパスタ]

・荒らす歌集 [アラスカ州]

・電車マニア移送 [電車間に合いそう]

 うーむ、こうして見ると、カタカナが入っていると、より面白く感じる気がする。

 もし秘蔵っ子のおもしろ誤変換を持っている方がいれば、教えていただければ幸いである。

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