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買い食いの王様メンチカツ

小学生のころ、授業が終わると家にランドセルを置きに帰って、友だちの家へダッシュしたものです。晴れた日はお宮さんの境内で鬼ごっこをしたり、公園を駆け回ったりして、雨の日は友だちの家でゲームをしたり。

ひとしきり遊んで、夕方5時をすぎると、そろそろきょうはおしまい。家に帰れば、母のつくったごはんが待っています。きょうのごはんはなんだろう。そんな楽しみを抱えて家路につくのですが、遊び回った子どものことだから、おなかはペコペコです。


🥩お肉屋さんの揚げ物

帰り道、商店街をとおると、そこにあるのはお肉屋さん。お店の表まで、いいにおいが漂っていました。もちろん、そのにおいはあれです。お肉屋さんといえば、店頭で揚げてくれる揚げ物の数々。ふわっと鼻孔をくすぐる、あのフライの香り。嗅いでしまうと、たまらなく食べたくなったものです。

ポッケのおこづかいを確認して、いつも買うのはコロッケ。お肉屋さんのおじさんとは顔なじみでした。

そんな買い食いの時間、大人になったいまでは特になんでもない日常の1コマですが、あの頃は自分のおこづかいでお店で買って、外で食べるということが、なんだか誇らしく感じられたものです。

🥩買い食いの王様は

そして、そんな買い食いの中でも、いつものコロッケと違う特別な存在がありました。

それがメンチカツ。

コロッケと比べると値段が高くて、食べると、中身はいつものポテトじゃなく、ぎっしりとひき肉。ハンバーグも子どもの頃から好物でしたが、紙に包んで渡してくれるメンチカツの存在は、まるでなにかの賞で獲たメダルのように輝いて感じられたものです。幼い自分にとって、メンチカツは買い食いの王様的存在でした。

🥩王様をおうちごはんに

想い出の力もあるのか、メンチカツはいまでも大好物。洋食屋さんや定食屋さんのメニューにあると、つい頼んでしまうことも。

そしてもちろん、おうちごはんにも活躍しています。

🥩材料(小ぶりのメンチカツ6個分)
・ひき肉…120グラムくらい
・卵…1個
・玉ねぎ…1/4個
・パン粉…1/2カップ
・マヨネーズ…大さじ1
・ケチャップ…大さじ1
・お好みソース…大さじ1
・こしょう…ひとつまみ

ハンバーグをつくるときとの違いは、パン粉の量を控えめにすること。

 

個人的にハンバーグはわりとふわっとした食感になるのが好みですが、衣に包むメンチはお肉の感じをしっかり感じたいと思います。

けっこうやわらかめのタネになるので、ねりおわったらいったん冷蔵庫で冷やしておくのがおすすめ。すこしひきしめてから、手早く衣をつけるようにしています。

パン粉の白をとおして、ほんのりピンクに見えるひき肉の色がきれいです。

揚げるときは中温で。底になった面が固まってきたら返して、揚げていきます。

両面がこんがりきつね色になれば揚げ上がり。心配なときは竹串を刺して、透明な汁が出てくればOK。

しっかりと油を切ります。

🥩付け合わせとソース

付け合わせはもちろんキャベツの千切り。おなじ揚物でも、天ぷらのときはそうでもありませんが、パン粉の衣をまとったフライものには、絶体キャベツの千切りが嬉しいです。

付け合わせがつく時点で、買い食いとはひと味違った感じになりますが、おうちごはんとしてはさらにソースにも凝りたいところ。

🧂ソースの材料
・お好みソース…大さじ2
・ウスターソース…大さじ1
・ケチャップ…小さじ1
・フレンチマスタード…小さじ1
・砂糖…小さじ1
・こしょう…ひとつまみ

このソースのポイントはなんといっても砂糖。この甘味が、すごくいいコクを生み出す気がします。

ちょっとカツサンドのソース的な雰囲気で、本格的なデミグラスソースには及ばなくとも、なんとなく高級感があるんですよね。

たっぷりソースをかけていただきます。

🥩懐かしい王様でおうちごはん

シンプルな盛り付けが、またいい感じ。今夜はメンチだよ、的な潔さに食欲がそそられます。

買い食いのときはそのままかじりついたメンチカツも、ちょっとよそゆきに食べるときはこれ。フォークとナイフ。

懐かしい買い食いの王様が、おうちごはんの食卓の主役になりました。

ところで、実家にいた頃、このメニューの名前はメンチカツではなく、ミンチカツでした。上京するとみんなメンチって呼んでますね。ひき肉そのものは東京でもミンチと呼んでいると思うのですが、なんだか不思議です。そう思いつつ、いまはお肉屋さんで買うとき、メンチひとつ。そう言葉にしている自分がいるのです。

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