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アヒルはないから北京チキン

町中華が大好きで、そんなメニューをおうちで再現して、“うち中華”を楽しんだりしていたある日。

その日も中華の気分でした。餃子を包むか、焼売を蒸すか、酢豚もいいな、きゅうりが多めにあるから棒々鶏もいいかもな。

そんなことを考えながら、スーパーに向かう道すがら。中華料理屋さんの前を通るとき、メニューを載せた立て看板が目に入りました。

その瞬間。やつが降臨してきたのです。


🦆北京ダック降臨

ガァガァ。そんな声が耳の奥でこだまします。ガァガァ。そう、そのとき頭に浮かび、そして脳内を支配したのは北京ダックでした。

以前の記憶になりますが、北京ダックは食べたことがあります。高級中華のお店で。だから味付けとか、食べかたとか、概要は把握してます。昔のことすぎて、思い出すのに時間はかかっても。

なんといってもこの2年、記憶や情報を頼りに、いろんなご当地グルメをアレンジしつつ再現してきたトケイヤkitchenです。北京ダックだってなんとかなるかもしれない。アヒルが売っていれば。

🦆アヒルを求めて

そんな妄想とともにスーパーに足を踏み入れました。気分は完全に北京ダック。なんならいまの自分こそ、この世に爆誕した歴史上初めての“北京ダッカー”ともいえる…そんな気分です。

が、さすがにアヒルは売ってません。

そもそも、北京ダックのアヒルって丸焼きにして、皮を食べるんだったな…。もし売っててもまるごとオーブン焼きにするというのか。きょうは普通の日。これから家でパーティの約束があるわけでもなし。

いや、よかった。売ってなくて。まかり間違って万が一の100億が一、まるごとのアヒルが売っていたら30分後に冷静に戻った自分が、自宅のキッチンで、アヒルをかかえて立ち尽くしている姿が脳裏に浮かびます。ほんと、よかった…。

でも、こういう絵面も浮かびっぱなし。

脳内から消える気配がありません。

じゃ、じゃあつくろうじゃないの。アヒルの代わりにあれを使って。

自分が立つのはフレッシュミートコーナー。アヒルを心が求めていたので、その中でも鶏肉のショーケースの目の前です。ガァガァではなく、いま呼び掛けてくる声はコケコッコ。

🐓代役が決まったので

というわけで、今回は北京ダックを胸に、鶏肉を使ってそれっぽくアレンジ再現してみたお話です。

まず、記憶の断片をつなぎ合わせて、北京ダックの構成を再確認。

  • ダックはパリパリの皮を食べる

  • 細く切ったねぎときゅうりが添えられている

  • 甘い味噌をつける

  • 皮で包んで食べる

思い出せる範囲で、しぼりだした要素はこんな感じ。分解してみるとわりとシンプル。いける、いけるぞ。

そもそも、本物が目の前にあって、再現したアレンジメニューと食べ比べたりするわけではないので、思い出したが吉日、記憶のままにアレンジクッキングの道を突き進みます。

🍗北京チキンづくり

🔥皮はおなじみ天ぷら粉

まずは皮から。

🦆材料
・天ぷら粉
・水

材料はシンプル。仕上がりを四角くカットしたいので、玉子焼き用のフライパンを使います。

四角いやつね。

両面を焼いて、ぱりっとしたらOK。

キッチンペーパーにとっておきます。

💧たれは甘味噌系

続いて味付け。具を包むときに皮に塗ったり、具の上に載せたりするたれです。

🦆材料
・甜麺醤…大さじ1
・砂糖…大さじ1
・醤油…小さじ1
・みりん…小さじ1
・こしょう…ひとつまみ

これをよく混ぜます。

基本的には甘味噌だれで、そこにちょっと刺激がほしいのですが、豆板醤などのとうがらし系や花山椒だと、北京じゃなくて四川感が強まりそう。

なので、今回はこしょうを採用。北京でこしょうを使うのかはちょっとわかりませんが、こしょうはオール・オーバー・ザ・ワールドと信じて進みます。味見しましたが、なかなかいい感じ。

🥒野菜は細く

続いて具というか、薬味というか迷いますが、要はメインと一緒に皮に巻く野菜たち。

ねぎときゅうりを千切りにしておきます。ねぎの辛みが気になる場合は、水にさらして絞っておいてください。

🍗鶏肉は皮だけでなく

そしていよいよ、メインになる鶏を準備します。使うのは胸肉。お財布にも優しい優等生。

今回は皮が主役なので、皮の大きな個体を選びます。とはいえ、皮を下にしてパックしてあるのが普通なので、透視能力でもないとなるべく大きそうなものを選ぶしかないですね。あとは大きくありますように、と祈るばかり。

ふと思いましたが、もしアヒルが売ってたりしたらいったい、いくらしたんだろう。北京ダックがそもそも高級料理なんだから、胸肉何枚分になるのか。

スーパーって、たまに誰が買うんだろうと思うような珍しい食材が売ってるときがありますが、あの勢いの自分の前に、アヒルを品揃えしてくれているスーパーじゃなくてよかった。あらためてそう思いつつ、鶏肉の調理を進めます。

まずは皮と身に分けました。

🍗身はしっとり

今回北京ダック風のポイントになるのは、皮なので、身のほうはいつもの常備菜、鶏ハムにしちゃいます。

沸騰したお湯に投入。

2分ほど煮立てます。

あとは火からおろし、蓋をして冷めるまで置いておくだけ。茹で汁に漬けたままにしておくことで、しっとり仕上げになります。

🍗皮はパリパリ

続いてメインキャストの鶏皮。広げてみると、わりと大きめでした。よかった。祈りが通じました。

しっかり広げて、両面に粉をまぶします。今回使っているのは、我が家の定番天ぷら粉ですが、小麦粉でもOK。

油を熱して煙が立ってきたら火を小さくして、鶏皮投入。

あとはじっくりじわじわ、弱火で両面がぱりぱりするまで焼いていきます。

焼き上がった鶏皮を切ると、さくっと歯切れのいい音が。大成功です。

北京ダックは皮だけを食べるはずですが、今回はそもそもアヒルじゃなくて鶏肉にアレンジしてるので、こまかいことは気にしない。

茹でた鶏胸肉本体も使うことにします。スライスしてから、手で細く裂けば、ほかの具にもなじむサイズ、形に。

🍗あとは巻くだけ

どうでしょう。北京ダックぽく見えてきませんか。

皮に載せます。

甘味噌だれをのっけます。

巻き巻き。

できました。あとはパクリといくだけ。

これが北京ダックもどき。

いや、もうちょっといい名前がほしいですね。そうだな…。鶏だし…。

“北京チキン”でどうでしょう。北京とチキン、“キン”が韻を踏んでる感じもしますしね。口に出してみると、なんだか弾むようなリズムがあって、いい名前に思えてきました。

🍗アレンジでサラダに

そんな北京チキン、ちょっとアレンジをすると、こんな感じにも。

多めに切った具材をトッピング。

味玉を添えて、ちょっとおしゃれなサラダ風。

もっともきっかけは、具材を切りすぎて余ったからですが。

でも、足りないよりいいですよね。こういうとき、残ったらなにかアレンジが思い付くくらいには、料理ができてよかったと思ったりします。

アヒルが見つからず、鶏胸肉を使ってつくってみたところ、本家とは一変、お財布にも優しいひと品に仕上がりました。

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