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六 月 の 花 と 金 平 糖



梅雨のこの季節は
町を歩くたびに、
儚い桃色の、または淡紫うすむらさきや空色の花に
出会います。

こんなところにも、と驚くほど
六月の花、紫陽花は、
そこここに賑やかに咲いて
町全体に、色彩を灯してくれています。


つい先日は
とある一軒のおうちの玄関先に
鉢で育てられていた
一株の紫陽花に
思わず、ひとめぼれをしました。

ひし形の萼片がくへんが八重に重なってできた
愛らしい装飾花。
中心の、くっきりしたピンクから
じゅわっと滲むように色が変化し、覆輪は白。
ガクアジサイで、その装飾花は
真ん中の小花を囲うように
放射状に散って、咲いています。

雨空の下。
紫陽花の表情は、凛と明るく
瞬く“星”が
咲いているようでした。


紫陽花というと、
まるく玉になって咲く姿が象徴的ですが

道端に咲いているところを
よくよく眺めてみると、
紫陽花、とひとくちに言っても
色もかたちも咲きぶりも個性豊か。
めいめいに、思いの花を咲かせていることに
気がつきます。

つい気になって図書館へ寄り、
紫陽花の図鑑を引いてみました。

すると、ひとめぼれしたその紫陽花は
「コンペイトウ」という
名前を持つことが分かりました。
言われてみると、
あの鮮やかな色味と
先のとがった萼片が重なる様子は
和菓子の金平糖を連想させます。


それにしても、
調べてみるとおもしろいものです。

ダンスパーティー、久住の涼風、シンデレラ、
コットンキャンディー、九重の花吹雪、
エンジェルワルツ。
ティンカーベルに池の蝶まで、、、

紫陽花に、
こんなにいくつもの
可憐な名前が付けられていたなんて。

そして、そのどれもが
それぞれの花の佇まいを巧みに言い得ていて
名付けた方の
美しい感性が伝わってくるようです。

紫陽花の魅力に
いっそう心惹かれながら、
静かに図鑑を閉じました。



家に帰ると、私は
さっそくペンを執りました。


こちらは今日も雨模様です。
そちらはどうですか。

もうすっかり、季節は梅雨ですね。
今日、紫陽花の図鑑を調べたら
おばあちゃんの庭に咲く紫陽花は
「藍姫」という品種みたいです。
あの花にぴったりな、綺麗な名前です。

今年も、庭の紫陽花は
綺麗に咲いてくれていますか。

ちあきより

横に紫陽花の絵を添えました。

祖母へ送る葉書は
明日、ポストへ投函するつもりです。



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