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2021年3月の記事一覧

月から降る涙

初めて歌声を載せた旋律は 涙が心の底に溜まって、それから それが膨れて、破裂して、その時に…

12

無垢な接吻

大気で一心に 肺を満たす 両の手を 朝露で 湿らせて ただ 母になってくれないかと 願う …

5

いびき

ただのいびきでありました。 よく騒ぐ夜であるので、 星を一つ、天から取って その光を以て夜…

3

夏たる条件

騒がしく響く蝉を 一匹、一匹、撃ち殺すと 驚くほど静かな夏を、 あなたは手にすることが出来…

3

夜色の猫

徐々に青く染まっていく たまらなく美しい街並みを見つつ 内では湿気が顔に抱擁するので たま…

2

君の死

ぬかるんだ蛙の皮膚にある土色のような 気持ちで、君は淡々と呼吸をする のを僕は傍から見てい…

無音と瞬き

眠気で、瞼が今か今かと、待ち侘びる 最愛の、無二の相方との再会を おぉその時だ、静かな雨音が よくよく空に 響くのは 姦しい無音 が頭骨を揺らす 雨よりも 蛙よりもずっと 響くもの 誰かのモールス信号の ような 最後の命の叫び 神風の ような 葉っぱを散らす 蜘蛛の巣解く 互いに命 そこに壁の あるべきか 誰彼答え 存ぜぬ問 無限の空は 雲に聞いても 返答は 「明日は、雨。」 雪を降らす時だけ 騒ぐ空は どうやら緑が お嫌いなようで や

乾燥地帯

生まれた瞬間を誰も覚えていないのに、じゃあ貴方が母、と呼んでいる人は誰ですか。貴方が証明…

1

旅情風景・燕

夏を迎えにゆきたくなるほど、突き抜けて青、の空に浮かんだ燕よ、あぁ燕よ。 お前の眼前の人…

2

無力

あの山の、向こうの海を、 超えて丘を登ると、見える景色 それが、見える世界の中で、 一番美…

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