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オリックス ローカル5G開発参入

【記事概要】
オリックスが基幹機器メーカーのアプレシアシステムズを買収し、ローカル5Gインフラ事業に参入する。多くの通信機器が密集する場所で効果を発揮するローカル5Gを活用することで、IT機器リースなどの事業との相乗効果を図る。通信分野の強化でグループ全体の競争力を底上げする狙いがある。

【ローカル5Gとは??】
NECの公式HPでは、ロカール5Gについて以下の説明があった。

地域・産業のニーズに応じて地域の企業や自治体等が個別に利用できる5Gネットワークのこと。通信事業者が全国で展開する均一な5Gの通信サービスに対して、地域・企業が主体となって、自らの建物内や敷地内といった特定のエリアで自営の5Gネットワークを構築・運用・利用することができる。(https://jpn.nec.com/nsp/5g/local5g/index.html)

つまり、ローカル5Gとは、①wi-fiが苦手とする広範囲のネットワーク環境を実現させ、②キャリア会社に左右されることなく商用での活用が期待されるネットワークである。

【オリックスの戦略の背景は?】
ここで、3C分析に基づいて、オリックスのローカル5G戦略の背景を探ってみよう。

①Customer
リース市場の規模は変動幅は見られるものの、2018年から2020年の3年で大幅に成長している(下図)。

リース市場

具体的には、情報通信機器やその関連装置の取扱高が増加している(下図)。

リースマーケ

言えること:IT情報機器のリース市場規模は増加傾向にある。

②Competitor
リース市場の競合では、NECキャピタルソリューション 、三井住友ファイナンス&リース 、三菱UFJリース 、東京センチュリーリースなどの企業が存在するが、オリックスの経常利益は群を抜いて1位である。
言えること:競合は存在するが、市場の中ではリーダー的存在である。

③Company

オリックス・レンテック株式会社が行うレンタル事業においては、電子測定器やIT関連機器に加え、ロボットやドローンなど
の新たなサービスを拡大するなど、エンジニアリングソリューション事業を強化しています。

オリックスの利益構成は下図の通りで、IT機器リースが含まれるメンテナンスリース事業の利益は減少傾向にある。

オリックス セグメント利益構成比

さらに詳しく見ても、メンテナンスリース事業のうち、IT機器リース(レンテック)事業も昨年度に比べて、利益が減少している。

オリックス 法人 セグメント利益

レンテックのバリューチェーンは以下のとおりであり、専門性に特化したサービス提供を行っている。

オリックス レンテック

また、2020年6月期有価証券報告書には、レンテック事業について、以下のような記述があった。

オリックス・レンテック株式会社が行うレンタル事業においては、電子測定器やIT関連機器に加え、ロボットやドローンなどの新たなサービスを拡大するなど、エンジニアリングソリューション事業を強化しています。

つまり、成長性が見込まれるIT情報機器リース市場へのさらなる参入を行うに際し、オリックスの強みである業界No.1のブランドと専門性の高いサービス提供の向上が必須であった。そこで、キャリアにも左右されず商用に強いローカル5Gを開発し、IT情報機器リースに活用することで、リース市場での競争優位性を強化させる狙いがあったといえる。



#日経COMEMO #NIKKEI




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