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私のショートショートの書き方・解説 #1|ショートショートnote杯

こんにちは、戸画美角とがびかくです。

前回の記事からの続きです。

今回からは具体的な作品について、アイディアを思いつくまでの過程や、どうやって書いたかなどについて、応募した順で語っていきたいと思います。

今回は以下の3作品です。

しゃべるピアノ
株式会社リストラ
違法の冷蔵庫

ネタバレを含むので、事前に作品を読んでいただけると幸いです。

最初の作品にあたり

以前の記事とも重複する内容ですので、興味のない方などは読み飛ばしてください。

『しゃべるピアノ』は #ショートショートnote杯 で最初に書いた作品で、ショートショートとしては2作目に書いた作品でした。

これ以前に書いたのは以下の1作だけでした。

それでも読み返してみると、最後の1文で落とすという私らしいショートショートだなと改めて思います(タイトルの意味付けもそれっぽいですよね)。

さて『しゃべるピアノ』ですが、お題の一覧を見たときに惟一すぐにアイディアが思いついた作品でした。

1.『しゃべるピアノ』
2.『1億円の低カロリー』
3.『株式会社リストラ』
4.『アナログバイリンガル』
5.『違法の冷蔵庫』
6.『数学ギョウザ』
7.『コロコロ変わる名探偵』
8.『空飛ぶストレート』
9.『金持ちジュリエット』
10.『君に贈る火星の』
11.その他、カードゲーム「ショートショートnote」に収録されているお題カード200枚から、自由な2枚の言葉を並べて作った題名

以前の完走記事でも触れましたが、他のお題についてはさっぱり思いつかなかったので、2つか3つくらい書ければ十分だと思ったのをよく覚えています。

もともと(超)ショートショートは書き慣れておらず、以下の1作くらいしか書いていなかったので、「まぁ3つくらい書ければ十分かな」くらいの気持ちで始めた感じでした。

しゃべるピアノ

まず、「ピアノ自体がしゃべる」という誰もがお題から想起しそうなアイディアが頭に浮かびましたが、さすがにそれでは捻りがありません。

そこで「ピアノの中に誰かが隠れていて、その人物がしゃべったらどうだろう?」と発想を変えてみました。

でも、普通にしゃべるだけじゃ面白くありません。

そこで「口でピアノを演奏するというのはどうだろう?」と考え、裏方としてピアノの演奏をしているという設定を考えました。今考えてみると、これは『ゴーストライター』などからの連想だったのかもしれません。

そこまで考えたところで「いや、だったら自分で演奏して稼げよ!」みたいな自分ツッコミが入って、物語の落とし方が決まりました。

あとはそれほど難しくありませんでした。

意図せぬアクシデントによって観客にそのことがバレて、最後に観客が先ほどのツッコミを素で入れる、という構成ですんなり書けました。

まぁ冷静に考えれば、口でピアノを演奏するなんてありえませんし、そもそもピアノの中に人が隠れられるのかという問題もありましたが、ショートショートは不思議な話でもOKという感覚があったので、この形となりました。

株式会社リストラ

さて、 2作目にして私が完全に失敗したと後悔しているのが本作です。

前回の記事で、

例外として大幅にオーバーして大量に削った作品もあるのですが、そうした作品は自分のなかでもギリギリ及第点くらいかなという感じで、実際に読んでくださった方の評価も低いように感じます。

と書きましたが、これが本作でして500文字を余裕でオーバーしてしまい大幅に削った結果、オチどころかどういう話なのかも全然わからないという問題作になってしまいました。

そんなわけで物語の構成から書きたいと思います。

リストラを専門に行う会社に務めている男が、お金欲しさに恣意的なリストラをし始めてしまいます。

気に入らない上司。ムカツク同僚。自分を振った女性社員。そういう気に入らない奴をリストラしてくれって訳さ、金を出してよ。

しかし、ついに上司にバレてしまって呼び出されますが、その後で記憶の混乱が起こります。

「俺はクビだな」って自分から言ってやった。

そしたらよ…う、なんだこれ…

すると場面が切り替わり、今度は男と会話するもうひとりの人間のセリフが続きます。

「やれやれ、まだ洗脳(リストラ)が足りないようだ。いい名前もやったのにな」

目の前の男を見ながら、私はそうつぶやいた。

実は男はすでに処分を受け、洗脳という記憶のリストラクチャリングが行われ、新しい名前として火人多新ひとだしんという名前(”死んだ人”のアナグラム)を与えられていたものの、記憶のリストラが不十分だったのか苦しみ続けているというオチです。

つまり、社員のリストラをする会社とは別に、脳のリストラをする会社もあった、というダブルミーニングがオチでした。

えーと、他に何か語ることはあるでしょうか?(苦笑)

お金欲しさに不正を始めるという設定は、今見ても悪くないと思うのですが……うーん、もったいないですね。

というわけで、リストラ(リストラクチャリング)を行う会社が2つあったら面白いのではないかというのが発想の原点かつそれがオチという一種のホラー作品を目指した感じでした。

違法の冷蔵庫

前作の失敗を乗り越えて、何とか立て直したのが本作です。

お題から真っ先に思い浮かんだのは、冷蔵庫に違法なモノ(例えばバラバラ死体)などが入っているというホラーなネタでした。私、小林泰三さんの作品とか好きですしね。

しかしです。冷静に考えるとそれは「違法冷蔵庫」ではなく、ただ違法なものが入っている・・・・・・・・・冷蔵庫であって、タイトルの意味付けが正しくないと感じました。

そこで『違法』という単語から『スピード違反』を連想し、「違法改造された冷蔵庫を走らせてスピード違反させてしまうというのはどうだろう」と考え、これが原点となりました。

あとは落とし方ですが「そもそも冷蔵庫を走らせる理由って何よ?」と自分ツッコミが入って「そりゃ冷やすためだろ」と。「するとビールでも冷やしたかったのかな」と考えてみました。

そこから留置場で頭を冷やす、ビールはガス欠でぬるくなっていた、という”一方で○○は✗✗だった。”てきな落とし方になりました。

あとは冷蔵庫が走るという馬鹿げたネタを成立させるために「なんだかすごい違法改造がされたぞ!」という印象を与える文章を入れるようにしました。

4つの巨大な車輪に水平対向エンジンとジェットエンジンを搭載し、空気抵抗を極限まで減らすように設計された空力ボディーは戦闘機を連想させるデザインで、その加速性能は時速100kmに達するまで5秒、最高時速は500kmに至るほどだった。

ちなみに、このあたりは「ポルシェ」とかで検索して調べて書いたので、そこそこ説得力のある数値になっています。

あとがき

そんなわけで、3作品について作者による解説・ネタバレでした。

最近、記事を書いていて「これ本当に需要あるの?」と不安に感じることも多いので、スキ・コメントなどでリアクションをいただけると励みになります。

もちろん、意見・感想などあればお気軽にです。

それではまた。

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