見出し画像

4、【10年以上続く事業】となるための理念を作成する方法①

「私の住んでいる地域を活性化したい」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)

前回までの投稿では…
(第1回)
●事業とは【社会的課題】を解決すること

よって、
●事業を始めるときにはまず【社会的課題】を発見することが大切!

(第2回)
【10年以上続く事業】を始めるために必要な【社会的課題】を発見するには・・・
●自分自身が感じる課題に注目することが大切。

そして
●自分自身の課題が他の人に共感されるものなのかを考えてみる。他の人に共感される課題でなければ、顧客がいない事業となってしまう。

(第3回)
【10年以上続く事業】を“具体化”するために最初にすること
●「なぜあなたが、その課題に取り組むのか?」を言葉で端的に表現する!

その理由として・・・
①自分がどんな課題に取り組むのかを忘れないようにしておくため
②自分が本当に知りたい解決法を探しやすくするため
③多くの人を事業に巻き込みやすくなるため


★「なぜ、その課題に取り組むのか?」を言葉にしたものを「理念」と言います。

今回からは3回にわけて【10年以上続く事業】を具体化できる「理念」の作成法について考えていきます。

【10年以上続く事業】を具体化できる「理念」の作成法


(1)課題と向き合うきっかけとなった「ネガティブなストーリー」をまとめる

自分が事業をしようと思ったきっかけとなる「課題」は、自分が苦労した経験やつらかった経験をまとめる中でみつかります。
課題とは、自分が乗り越えるべき経験だからこそ、ネガティブな経験が元になっていることが多いのです。

【事例】排尿・排泄タイミング検知アプリを開発したトリプル・ダブリュー・ジャパン

介護現場で高い需要がある排尿・排泄のタイミングを検知するアプリ「D Free」を開発したきっかけになったのは、中西敦CEOのひとつの「恥ずかしい経験」でした。
 
アメリカの大学に留学していた頃、引っ越し途中に我慢できずに便を漏らしてしまった「恥ずかしい経験」をしました。まだ若かった中西CEOにとってはトラウマになりかねない経験でした。

「家を出る前にわかっていれば漏らすことは無かった!」

中西CEOは、この「恥ずかしい経験」を「自分のような犠牲者をだしたくない!」「排泄のタイミングを予測するアプリの開発をして世に出す!」と言語化し、事業に踏み出したのでした。

(2)「誰が聞いても課題と感じるもの」を避けて考える

誰が聞いても「課題」と感じる課題から事業を考える方が、事業の成功率は高まるように感じると思います。

しかし、誰が聞いても「課題」と感じる課題から事業を始めると、事業は失敗に終ることが多いと言われています。その理由として、「誰もが感じる課題はすでに誰かがその課題解決に取り組んでいる」可能性が高いからです。

つまり誰もが考える「課題」から事業を始めることは、最初から競争しなければならばなくなる可能性が高くなります。もし大企業がすでに取り組んでいる場合は圧倒的な資金力で事業への参入さえ難しくなってしまいます。


よって、まだ世間が、課題としてはっきりと感じてはいなけれども、いわれてみれば確かに「課題」と感じる課題を発見することが大切です。


ヤマハ発動機グループのモーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレーのCOOであるジョージ・ケラマン氏は「99%の人がアンセクシーと感じるけれど、1%の人はセクシーと感じるアイデアを見付けることが事業成功の決め手となる」と語っています。

また、アメリカのPayPalの創業者の一人でもある投資家のピーター・ティール氏も「競争は負け犬がすることだ」と語っています。


世間が課題としてはっきりと感じてはいなけれども、いわれてみれば確かに「課題」と感じる課題を探し続けることが事業成功のカギとなります。

あなたが見付けた課題を聞いた相手が、リアクションやコメントに困りながらも、世の中ではまだ未解決のままである課題を見付けることがポイントになります。

【事例】クレージーな発想と言われた排泄タイミング予測アプリ「D Free」

先にあげた排泄タイミング予測アプリの「D Free」。超音波で直腸や膀胱に溜まった便や尿の量を検知し、排便と排泄のタイミングを予測するアプリです。
もともとは中西CEOの恥ずかしい経験をもとに開発されたアプリです。

中西CEOは実際に自分と同じ経験をもつ人の話をほとんど聞いたことがなく、「はたして自分と同じ課題を持つ人はいるのだろうか?」と感じたそうです。

しかし、そんな時に気が付いたことがあります。「恥ずかしい…」と感じる経験であればあるほど、「その事を他の人に話している人も少ないはず…」。実際は表面化されていない課題なのではないのか!と考えたそうです。

言語化されないけれども、自分と同じ課題を持つ方々のことを考えた結果、介護を受けている人たちのことに考えをめぐらせたそうです。

「自分と同じ課題をもちながらも、”恥ずかしさ”から言語化しきれないモヤモヤな思いを持っているはず」

また、介護している方々の事にも思いを馳せました。実際に介護現場に足を運び、話を聞いた結果、介護を受けている方がさまざまな理由でなかなか声をあげられず、介護をする側の人は排泄・排尿の対応が遅れてしまうなどの課題に直面している現場の声を実際に聞くことができました。

確実に、排泄・排尿アプリには需要がある!と考え、開発・商品化し、事業に成功したのでした。

―まとめー

・課題と出会うきっかけとなった「ネガティブなストーリー」をまとめる
⇒ネガティブなストーリーこそが「課題発見」のカギとなる。

・「誰が聞いても課題と感じるもの」を避けて考える
⇒解決が求められながらも、まだ事業化されていない課題はなにか?


今回は【10年以上続く事業】を具体化できる「理念」作成のための最初の一歩となる課題を見付け、言語化する方法について考えました。

本来ならば成功にはつながらないネガティブなストーリーが成功につながるカギとなる…意外と感じる視点ですが、今回の事例を知ると、なるほど!ですよね。

次回は、【10年以上続く事業】となるための理念を作成する方法の第2回目です。

最後までお読みくださりありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?