見出し画像

6、【10年以上続く事業】となるための理念を作成する方法③

「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)

今回は【10年以上続く事業】をたてあげる為の基となる、〈理念作成法〉の第3回目です。

(第6回) 
【10年以上続く事業】となるための理念作成法③

(1)発見したニッチな課題への応答を言語化する

解決が求められながらも、まだ事業化されていないニッチな課題を見つけたら、その課題に応答する文書を言語化していきます。それが「理念」です。

この「理念」を基に、顧客を具体的に想定し、解決の具体的方法を開発することで事業がカタチになっていきます。

ここで気を付けるべきポイントがあります。それは、あくまでも「課題に応える言葉」であり、「具体的な解決法」ではないという点です。つまり、課題を持つ人に対して、どんな「価値」を提供すればよいのかということです。少しわかりにくいので具体例から考えます。

【事例】スターバックスインターナショナルのコアバリューとミッション元々はシアトルのコーヒーの焙煎会社でしかなかったスターバックスコーヒー。1980年代に、ハワード・シュルツ氏は、焙煎会社でしかなかったスターバックスにて、コーヒー豆だけでなく、エスプレッソを主体としたドリンク類の販売を提案し実現させました。

結果として、シアトルで28店舗を展開するカフェのチェーン店へと成長したスターバックス。その功績が認められシュルツ氏は社長となります。しかし、スターバックスの成功に目をつけた他の事業者が類似店舗を展開しはじめたため、結果としてそれ以上の成長は望めず、売上も若干低迷するようにもなっていました。

そんな時に、スターバックスのカフェを43か国で展開する世界企業にまで押し上げた立役者といわれたハワード・ビーハー氏が入社し、役員に就任しました。

社長となりスタバを立て直したビーハー氏は成長の原動力についてこう語りっています。

「スターバックスの成長の原動力は、洗練された戦略や戦術ではありません。コアバリュー(文化・価値観)を明確した上で、ミッションとビジョンを明確にしたことでした。結果として具体的な目標や戦略がその都度見えてくるようになりました。」

ビーハー氏の語る、コアバリュー…これが理念といわれるものです。

スターバックスのコアバリューは「人を大切にする」

なぜ、この「人を大切にする」がスターバックスのコアバリューになったのでしょうか?

ビーハー氏はシュルツ氏が飛躍的にスターバックスを成長させた1980年代前半の時代状況を思い起こしました。アメリカの1980年代は、「ふたごの赤字」と呼ばれる構造的な不況により国民の貧困が問題となっていました。貧困が原因となり、犯罪率、離婚率が大幅にアップしていました。貧困により人が人として扱われない状況が続き、様々な社会問題が引き起こされていた状況でした。

構造的不況を乗り越えていかなければならないのに、貧困からくる社会問題により、人々の心から活力がどんどん奪われていく状況が続いていたのです。

そのような中で、ビーハー氏はなぜシュルツ氏がカフェを始めたのかを分析したのです。するとだんだんとシュルツ氏の想いが見えてきました。

「人々の心にすこしでもゆとりを与えたい。一人でも多くの人に、大切にされた、親切にされた、そんな感覚をもってほしい。いつでも立ち寄れる居場所としてカフェを始めたい。」

ビーハー氏はこのようなシュルツ氏の想いに気が付いたのです。

カフェはあくまでも手段であり、カフェ事業を通じて、不況を乗り越えるための活力となる「人を大切にする」という文化を構築するということが、スターバックスが不況に苦しむ人々に提供したい価値であること気が付いたのでした。

そして、ビーハー氏はコアバリュー(=理念)を「人を大切にする」と、言語化したのです。

そして、その理念を達成するために、「私たちはコーヒーを売っているのではなく、コーヒーを提供しながら人を喜ばせるという仕事をしている」という具体的な解決策を明確化したのでした。

コアバリュー(理念)が策定された上で、具体的なミッション(事業概要=ソリューションともの呼ばれています)が明確になったのでした。

コアバリューが明確化された結果、従業員が、「カフェ事業を通じて何をしているのか?」をはっきりと理解するようになり、結果として従業員一人一人から「人を大切にする」という想いが伝わるようになり、事業は急成長し、世界企業となったのです。

理念があるからこそ、〔課題の解決策となる事業〕の未来図を明確化できるという事例です。


★スターバックスの事例からの考察

スターバックスは社会課題を見つけた上で策定した「コアバリュー」。これが理念です。

つまり、具体的な解決策ではなくて「どうなったら、解決といえるのか?」を突き詰めた言葉が理念なのです!

これを言語化できれば、スターバックスの事例のように具体的な事業内容が明確化され、事業がカタチとなっていくのです。

よって、課題を発見したら、次にすることは「どうなったら、解決といえるのか?」を言語化することです。


(2)最後に気を付けるべきこと

「いち早く事業を始めたい!」起業時はそのような思いから、前のめり気味になり、ニッチな課題発見や理念の言語化をおろそかにしてしまう傾向があります。結果として、事業をカタチにする前に挫折してしまうということが起こり得ます。

よって、課題発見と理念の言語化のプロセスの中で、常に「自分は前のめりになっていないか?」ということを自分自身に問いかけ続けましょう。課題発見・理念の言語化のプロセスは迅速であることともに、慎重さも必要です。時に「これでいいのか・・・?」と、すでに事業をしている人や専門家や友人に意見を聞くのもいいかもしれません。そのようにして、課題と理念を磨く中で、具体的な事業がだんだんと見えてくるようになっていきます。


―まとめー

・ニッチな課題を発見したら

⇒「どうなったら解決といえるのか?」(理念)を言語化する(「何をしたら解決するのか?」を考えるのは理念策定後)。


・課題発見・理念策定時に気を付けるべきこと

⇒前のめりになっていないか?を常に自分に問いかける。


今回は【10年以上続く事業】の基本となる理念を策定する具体的な方法について学びました。


当たり前のように感じますが、前のめりになると忘れがちな理念!常に大切にしていきたいですね!


次回は、理念を策定した上で、具体的なターゲットを定める方法について考えます!


最後までお読みくださりありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?