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全アドベントカレンダー、開き終わりましたでしょうか。大変でしたでしょう、お疲れさまでし…
昨晩サバトへ行かなかったのを、伯母たちに咎められた。 正確には、伯母のように世話を見…
母には姉が一人いて、二人の下には異父妹がいる。 そう珍しい話ではない。貧困に妻と娘二…
春から夏にかけて、水路はとても賑やかになる。 適切な気候にぶらぶら歩きを楽しむ人が増…
ところが、池の水面は青々とした浮草で埋まっていて、水中の様子は杳として知れません。王様…
月曜日の登校中に、一羽のカラスに話しかけられた。 実は彼女は未来人で、意識だけを過去…
浴室の鏡に、指紋を見つけた。 わたしのものではなかった。壁に鏡を押さえつけているような跡だった。わたしはそんなことをした覚えはない。それに、こんなに太い指も持っていない。 白い線が渦を描いて、湯気の中ではっきりと浮かび上がっていた。タオルで拭っても消えない。どうやらそれはガラスの内側についたもので、設置のときにうっかり素手で触ってしまったものらしかった。 わたしはバスタブから出たばかりで、水滴の残る素肌からは、まだ湯気が出ていた。 でも入浴した記憶がない。 よく考
鳩に倣い、ものを忘れることにした。 わたしの住む団地は多くの場所と同じく、鳩に餌をや…
僕は知らなかったことだけれど、第二次世界大戦が終わってより制定された住居法によれば、そ…
僕の職場はカムデンの方にあって、そこへ行くまでにアビーロードを通る。 そう、ビートル…
夏、期末試験が終わった直後から行方不明になっていた友人から、連絡をもらった。 夏休み…
僕の家では休みの度に、田舎の祖父母の家で何日か過ごすのが決まりのようになっていた。 …
三十代を半ばすぎると、健康診断が大事だと周辺がうるさくなる。 婦人系の病気の検査も、…
女あり。 舟にひとり、七つの児を抱え渡る。 腕四本あり、乳房豊かに六つほど腹に連なる。足はなく、足りぬ乳に代わり末児に含ませし、片の目を欠く。 長く砂の海を行く。 昼の暑さ厳しく、これを避け休む。幼しの子、繭を作りこの中にて過ごす。年かさの子、弱き弟妹を飲み込み腹の中にて守らんとす。その上に母、骨を広げ自らの肢体で日の傘とする。女の背、陽に焼け肉落つ。 夜、空に花咲く。 花の色、闇に露降りて移り、雨を赤く染める。女これを飲む。時に髪を糸として魚を釣り、児らの腹を