【勝因】『対策を上回った閃き』~ラ・リーガ第16節アトレティコ・マドリードVSバルセロナ~
試合結果
スタメン
対策を上回った閃き
相手に対策を講じられても、それを越えていく。バルセロナが首位を走る理由を見せつけた。
ロベルト・レヴァンドフスキを出場停止で欠くバルセロナは、最前線にアンス・ファティを起用し、左ウイングにペドリが入った。抜群の決定力を誇るストライカーの不在に対し、シャビ・エルナンデス監督は位置的優位で得点を狙う。
バルセロナは[4-1-2-3]でスタートすると、左右で非対称な立ち位置を取った。右サイドはウイングのウスマヌ・デンベレが幅を取り、サイドバックのジュール・クンデが後方支援に回る。デンベレが果敢にドリブルを仕掛けていき、サイドの攻略を図った。
左サイドはウイングのペドリが内側に入り、サイドバックのアレックス・バルデがサイドの高い位置に張り出す。2選手が内側と外側で起点を作り、連係プレーで相手守備網の突破を試みた。
しかし、アトレティコ・マドリードが対策を講じてくる。自陣に[5-3-2]のブロックを敷いて幅を埋めてしまい、バルセロナにスペースを使わせない作戦だった。
さらにバルセロナの左サイドのマークを明確にした。
右サイドバックのナウエル・モリーナがペドリをマンマーク。サイドバックはその名の通りにサイドを守る役割を担うことが多い。しかし、モリーナはペドリのポジションに合わせて躊躇なく持ち場を離れる。まるでペドリの影のように、モリーナは執拗なマークを続けた。
では、右サイドのスペースは誰が守るのか。それは右サイドハーフのマルコス・ジョレンテだった。背番号14はバルデのマンマークを徹底して行うことで、ディフェンスラインに下がってサイドのスペースを埋めた。
バルセロナは相手の徹底した対策により、左サイドからゴール前に入っていけない。高い位置を取るバルデがゴールに向かうプレーを出せず、右サイドのデンベレのドリブルに頼るしかなくなる。しかし、右サイドからの攻撃は、あくまでも左がダメだから、というもの。雨に濡れて滑りやすいピッチコも影響し、デンベレはレイニウドに止められてしまう。
攻めあぐねるバルセロナだったが、ペドリのアイディアと決断力が均衡を破った。
22分、モリーナのマンマークに苦戦していたペドリは、PA付近からピッチ中央まで下がってボールを受ける。すると、背番号8は一瞬の隙を突いて相手3選手の間を突破してゴール前に進入し、並走するガビにパス。ガビが右サイドにボールを流すと、PA右に走り込んだデンベレが右足でネットを揺らした。
それまでアトレティコは一瞬の隙も作らなかった。しかし、ペドリが穴を開けた。
モリーナがマークを受け渡すことを踏んで、あえてアトレティコの中盤のど真ん中でパスを受けた。その結果、思惑通りにモリーナのマークを外すことに成功する。さらに突如としてペドリがフリーな状態で中盤に現れたことで、アトレティコの中盤は誰がペドリを捕まえればいいのか不透明に。機転を利かせたペドリが急所に潜り込み、決勝点を演出した。
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